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環境に配慮した建設(3)〜新時代の土木工事〜

環境に配慮した建設技術について考えるシリーズ。第3回は、護岸工事や土砂災害防止の法面保護工事、建設残土の再利用など、主に土木工事技術の環境配慮について調べていきます。

環境に配慮した建設(3)〜新時代の土木工事〜

自然の景観を守ることの重要性


海に囲まれた島国である日本の自然は、海に流れ込む川と内陸の山々にあります。一方で急峻な山と、流れの速い川は、古来から土砂崩れや土石流、洪水などの自然災害を起こしやすい危険を抱えていました。

近代国家となってからは、安全の確保のため、山の法面や川岸をコンクリートで固める工事が盛んに行われてきました。しかし、無機質なコンクリートによる工事は、景観を損ない、人々の自然への興味を薄れさせることにつながります。その結果、環境を守るという意識も薄れ、深刻な環境破壊が進む一因となったのです。

安全の確保は非常に重要なことではありますが、それと同じぐらい自然の景観を守ることも重要なことだったのです。

自然の景観を損なわない新工法


最新の土木技術では、法面や護岸を緑化させる工法があります。これは、土嚢のような構造の袋状マットに植物が育ちやすい基盤材を入れ、同時に植物の種子も入れておきます。そのマットをコンクリートや岩盤、土砂などで保護した法面や護岸に敷き詰めると、やがて種子が発芽し、数か月ほどで法面や護岸が緑に覆われるという仕組みです。

もともと急な崖などには植物が根付きにくいため、土がむき出しになってしまうか、木が根付いたとしても地中深くまでは根が伸びないため、大雨などで地盤が緩むと木が倒れて大規模な土砂災害を引き起こす危険がありました。それに対して、新しい緑化工法は、法面を緑で覆い景観を守りつつ、土砂崩れも防止することができます。

ほかにも、落石などが心配される法面では、特殊な接着剤を法面に浸透させることで、岩石と地盤を安定させる工法などもあります。この工法では、自然の景観を完全にそのままの形で残すことができるため、特に景観が重視される景勝地などでも、景観を損なわず安全を確保することが可能です。

また、従来の金網などによる落石防止では、地盤そのものが崩れる土砂崩れには効果が見込めませんでしたが、新工法では接着剤が地盤を固めるため、雨水の浸透を防ぎ、土砂崩れを起きにくく効果も望めます。さらに、工事には大型の重機などを必要としないため、重機の侵入による自然破壊の恐れもありません。

飛躍的に進んだ、コンクリートやアスファルトのリサイクル


高度経済成長の時代、建設現場で発生した廃コンクリートや、張り替えられたアスファルトのほとんどは利用価値のない廃棄物として処理されていました。こられの廃棄物は膨大で、いずれは日本の国土が建築廃材や土木廃材で埋め尽くされるのではないかと思われるほとで、自然環境への影響も深刻でした。

しかし、昭和の50年代ごろから、リサイクルの必要性が重要視され、リサイクル技術の研究が始まります。その結果、アスファルト廃材は比較的早い段階でリサイクル技術が確立され、現在では100%に近い率で、リサイクルが実現しています。さらに、10年ほどの早いサイクルで張り替えられるアスファルトは、すでに2周目、3周目、それ以上のリサイクルに入っており、循環型の仕組みが出来上がっているといえます。

技術的に困難だったのは、石灰を化学反応させて作り上げるコンクリート廃材でした。一度反応させた石灰は二度ともとのセメントに戻ることはありません。ただ、コンクリートの材料の中で大半を占めるのはセメントではなく、骨材と呼ばれる砂利と砂であり、セメントは接着剤にすぎません。そのため、コンクリートのリサイクルでは、廃コンクリート塊から砂利と砂を分離して、骨材として再利用することに主眼が置かれます。

そして、様々な技術的なブレイクスルーを経て、砂利と砂の分離技術が飛躍的に進歩し、現代ではコンクリート塊のリサイクル率も100%に近づくところまで達しています。リサイクルの現状を知らずにビルの取り壊し現場の様子を見ると、大量の廃棄物が発生しているように思えますが、実際は相当の廃棄物が適切にリサイクルされているのです。

「環境に配慮した建設」はこちら↓
(1)建設がもたらした環境破壊
(2)見直される木材建築
(3)新時代の土木工事
(4)清浄な土壌を取り戻す取り組み
(5)超耐久建築は実現するか
(6)都会のオアシス 屋上緑化

「関連記事①-エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは」はこちら↓
(1)一家に一台の時代がやってくる
(2)HEMSによる家庭の省エネ
(3)企業向けのBEMSとFEMS
(4)目標はスマートシティの実現

「関連記事②-自然エネルギー活用建築とは」はこちら↓
(1)パッシブデザインの考え方
(2)環境配慮型の新技術

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