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エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは(1)〜一家に一台の時代がやってくる〜

政府は2012年11月末に省エネの推進や再生可能エネルギーの普及などを目指すため、「グリーン政策大綱」の骨子案を示しました。その中で、2030年までに家庭用のエネルギーマネジメントシステムであるHEMSを全世帯に普及させることを目標として掲げ、大きく注目されました。

近い将来、全ての人に関係して来るであろうHEMSですが、現在の認知度はそれほど高いとはいえません。そこで今回は、HEMSやBEMSなどエネルギーマネジメントシステムについて調べてみます。

エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは(1)〜一家に一台の時代がやってくる〜

エネルギーマネジメントシステム(EMS)とは


HEMSやBEMSの「EMS」がエネルギーマネジメントシステムの頭文字です。そして「H」はホームの頭文字で家庭用を、「B」はビルの頭文字で主に商業施設向けをあらわしています。ほかに、工場(Factory)向けのFEMSや、それらを統括する地域社会(Community)向けのCEMSといった用語があります。

マネジメントとは管理という意味ですが、エネルギーを管理するシステムと聞いてもあまりピンと来ないかもしれません。簡単にいうと、効果的に省エネを実現するためのシステムということです。

スマートメーターはEMSの入り口


EMSはひとつの機械などを表す言葉ではなく、様々な機械が連動したシステム全体のことを表しています。ただ、システムを導入するうえで、必要になるのがスマートメーターと呼ばれるデジタル式の電力量測定器です。

従来の電力量を測定する検針器は、円盤がグルグルと回転し、メーターの数値が上がっていくアナログ式でした。住宅の入り口付近などに設置されているので見たことがある人も多いでしょう。このアナログメーターを電気会社の検針員が目視して電力の使用量を把握していました。

それに対してスマートメーターは、このアナログ式の測定器をデジタル化し、ネットワークに接続することで、測定したデータをオンラインで扱えるようにしています。このことにより、人が目視で行っていた検針が自動化されるメリットがありますが、それはスマートメーターに期待されている機能のほんの一部にすぎません。

本命のメリットは、測定データーをデジタル化しオンラインで利用可能にすることで、EMSのシステムが目指すエネルギー管理に役立てることにあるのです。まさにEMSの初めの一歩がスマートメーターであるといえるでしょう。

スマートメーターの導入は始まっている


冒頭で政府が2030年までにHEMSの全世帯への普及を目指していることを紹介しました。ところが、2016年現在はHEMSの普及は進んでいるとはいえず、それどころか存在そのものを知らない、なんとなく聞いたことがある程度、という人のほうが大多数です。これで本当に普及は実現するのでしょうか。

実はHEMSの入り口となるスマートメーターの普及は2016年度から本格的に始まっており、2023年〜24年頃までにほぼ全世帯に普及する見込みとなっています。

そう聞くと、「え? うちはそんなことまだ全然考えてないんだけど」、と思う方もいるかもしれませんね。しかし、スマートメーターは電力会社が管理する装置なので、個人が自分で交換する必要はありません。ただ待っていれば、そのうち電力会社から連絡が来て、交換してもらえるので大丈夫です。

スマートメーターからHEMSへ


HEMSの入り口となるスマートメーターの導入は2030年に向けて順調に進んでいます。ただ、スマートメーターだけではHEMSは実現しません。スマートメーターから得られるデータを生かすためのシステムができあがって初めてHEMSは実現します。次回はHEMSについて具体的に紹介します。

「エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは」はこちら↓
(1)一家に一台の時代がやってくる
(2)HEMSによる家庭の省エネ
(3)企業向けのBEMSとFEMS
(4)目標はスマートシティの実現

「関連記事①-環境に配慮した建設」はこちら↓
(1)建設がもたらした環境破壊
(2)見直される木材建築
(3)新時代の土木工事
(4)清浄な土壌を取り戻す取り組み
(5)超耐久建築は実現するか
(6)都会のオアシス 屋上緑化

「関連記事②-自然エネルギー活用建築とは」はこちら↓
(1)パッシブデザインの考え方
(2)環境配慮型の新技術

「関連記事③-建設業を変革しえるBIMとは?」はこちら↓
(1)BIMとは何か
(2)ソリューションとしてのBIM
(3)BIMの導入状況と課題

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