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環境に配慮した建設(4)〜清浄な土壌を取り戻す取り組み〜

環境に配慮した建設技術について考えるシリーズ。第4回は、ごみの焼却や工場などから排出された化学薬品などによる汚染されてしまった土壌を浄化する技術について調べていきます。

環境に配慮した建設(3)〜新時代の土木工事〜

深刻さが徐々に判明した土壌汚染


日本でダイオキシンによる土壌汚染が一般的に広く認知されたのは、1997年のこと。大阪府の豊能郡能勢町のごみ処理施設周辺で高濃度のダイオキシンが検出され、社会問題となりました。しかし、塩素を含む物質(プラスチックや発泡スチロールなど)が不完全燃焼した際に発生するダイオキシンによる汚染は、この時代よりはるかに昔から、全国的に発生していたと予想されます。

また、除草剤や殺菌剤などの特定の農薬にも不純物としてダイオキシンが含まれており、ごみ焼却施設に限らず、農地などの至るところで汚染が発生しているという研究報告もあります。

かなり古い時代から発生していたと思われる土壌汚染が近代まで明るみに出なかった理由は、そもそもダイオキシンの有害性がわかっていなかったことや、検出技術が確立されていなかったことなどが挙げられます。

ダイオキシンと同様に、VOC(揮発性有機化合物)や、重金属による汚染についても、大気汚染や水質汚染については早くから研究が進みましたが、土壌汚染については深刻さが理解されるのに時間がかかり、対策が遅れてきた経緯があります。しかし、現代では土壌汚染の深刻さが理解され、その対策法も大幅に進化しています。

ダイオキシンによる土壌汚染への対策



ダイオキシンによる汚染問題が明るみに出た当初は、汚染された土壌を撤去し、濃度の高いものは管理施設で保管するしかなく、濃度が一定以上に低いものは管理された埋め立て施設に埋めるしかありませんでした。しかし、現在では汚染土壌の浄化処理や、セメント焼成処理技術などが開発され、清浄な土壌として再利用することができるようになっています。

また、ダイオキシンを発生させないための技術についても進化しています。まず、ダイオキシンを含む農薬等はすでに販売が禁止されています。ごみ焼却の際に発生するダイオキシンについては、ダイオキシンが生成されにくい焼却温度を厳密に管理することで、発生そのものを最小限に抑える技術が確立されています。ただ、現在の技術でもダイオキシンの発生を完全に防ぐことは難しいため、わずかに発生してしまったダイオキシンは、焼却場からの排気をフィルターを通すことでダイオキシン除去し、環境中に排出されないように対策されています。吸着したダイオキシンについては、環境中に排出されないように固化処理されたのちに、管理施設で保管されています。

VOC(揮発性有機化合物)に汚染された土壌の浄化



VOCとは、トルエンやベンゼン、塩化メチレンフロン類などの有機溶剤や、シックハウス症候群の原因として知られるホルムアルデヒドなどが代表的です。これらの物質は揮発性であることから、当初は大気汚染の原因として、空気中への排出が特に問題視されていました。しかし、土壌に接触すると吸収されて定着することから、土壌汚染の原因にもなることが判明しています。

VOC汚染の厄介なところは、地中深くまで浸透し、地下の帯水層にまで達することにあります。土壌の表面近くに留まる重金属汚染などの場合は、土壌そのものを入れ替えることで対策が可能ですが、VOCに汚染された土壌や地下水は、その場で除染するしかありません。

しかし、近年では、地中に高圧水流を通して土壌に浄化剤を浸透させる方法や、清浄な土壌と置き換える技術、さらには微生物を利用してVOCを浄化するバイオ技術なども確立しており、効果的な浄化が可能になっています。

「環境に配慮した建設」はこちら↓
(1)建設がもたらした環境破壊
(2)見直される木材建築
(3)新時代の土木工事
(4)清浄な土壌を取り戻す取り組み
(5)超耐久建築は実現するか
(6)都会のオアシス 屋上緑化

「関連記事①-エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは」はこちら↓
(1)一家に一台の時代がやってくる
(2)HEMSによる家庭の省エネ
(3)企業向けのBEMSとFEMS
(4)目標はスマートシティの実現

「関連記事②-自然エネルギー活用建築とは」はこちら↓
(1)パッシブデザインの考え方
(2)環境配慮型の新技術

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