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エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは(4)〜目標はスマートシティの実現〜

エネルギーマネジメントシステムについて考えるシリーズ、第4回は最上位のシステムであるCEMSについてと、近未来型都市の計画に必須となるスマートグリッド、それによってもたらされるスマートシティの考え方について紹介します。

エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは(4)~目標はスマートシティの実現~

CEMS(Cluster/Community Energy Management System)とは


CEMSのCはCluster(直訳は房。「集団」のような意で用いられる)と、Community(地域社会)という2つの意味があります。具体的には、HEMSやBEMS、FEMSの上位にあたる存在で、地域全体のエネルギーを管理するシステムといえるでしょう。

CEMSは地域社会におけるエネルギーの消費状況をリアルタイムで管理します。例えば、家庭では、外出していることが多い日中は電力使用量が低くなりますが、オフィスや商業施設では高くなります。夜はオフィスでは低くなり、家庭と飲食店などで高くなります。このような地域社会でのエネルギー消費動向を把握することで、ピークカットやピークシフトの計画を立てやすくなるなど省エネにつながる効果が見込めるのです。

また、近年はCEMSのさらに上位存在として、複数の地域を管理するAMES(Area Energy Management System)という概念も登場しています。より広い範囲でエネルギー消費を管理することで、例えば住宅地と繁華街とオフィス街などを組み合わせて、エネルギーバランスを整えることができるようになります。

電力需給を最適に管理するスマートグリッド


これまで、電気は電力会社が発電所で作り出し、それを各地に配電するものでした。しかし、太陽光発電など再生可能エネルギーが普及すると、電気の発送元は発電所だけに留まらなくなります。

現在でも家庭用の太陽光発電などで得られた電力のうち、余剰した分については、売電という形で電力会社が買い取りを行っています。ただ、家庭で余った電力を売るという形のうえ、発電量が天候によって左右されるため、余剰電力量が変化しやすく、買い取った電力を効率よく使用することが難しいという問題がありました。

スマートグリッドは、CEMSを通してHEMSやBEMSなどからエネルギーの需要・供給の動向を把握し、太陽光発電などで得られた電力を地域内で有効に活用しようという構想です。そのため、スマートグリッドの実現には、エネルギーマネジメントシステムの本格的な普及が必須といえるでしょう。

次世代型都市構想のスマートシティ


スマートシティとは、先端的な技術を活用してエネルギーを有効活用し、省資源化を追求した次世代型の環境配慮都市構想のことを表しています。

具体的には、再生可能エネルギーを効率的に活用することや、蓄電池などによるピークシフトの実現、省エネ電気製品の開発などによるピークカットの実現を目指しています。この具体策を実現するための技術が、前述したスマートグリッドであり、エネルギーマネジメントシステムなのです。

スマートシティの理想が実現すると、電気エネルギーはもっとも環境負荷の少ないエネルギーになりえます。その結果、電気自動車の導入や電気を使った暖房器具などの普及が進み、石油やガスなどの環境負荷の高いエネルギーの使用量を減らせるようになり、ますます環境負荷が減るという好循環が期待されます。

スマートシティ構想の導入例


次世代型と呼ばれるスマートシティの構想は、すでに社会実験が行われています。その代表格といえるのが、「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)」です。

2013年から開始されたYSCPでは、HEMSやBEMSの導入実験に協力する市民や企業を募集し、実験が行われています。2016年現在、多くの実験結果が出ており、ピークカットの効果も確認されています。また、今後は社会実験の段階から、本格的な実装の段階に進めることも発表されています。

こうした成功例をもとに、スマートシティ構想や、エネルギーマネジメントシステムの導入は、今後ますます加速していくものと予想されます。

「エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは」はこちら↓
(1)一家に一台の時代がやってくる
(2)HEMSによる家庭の省エネ
(3)企業向けのBEMSとFEMS
(4)目標はスマートシティの実現

「関連記事①-環境に配慮した建設」はこちら↓
(1)建設がもたらした環境破壊
(2)見直される木材建築
(3)新時代の土木工事
(4)清浄な土壌を取り戻す取り組み
(5)超耐久建築は実現するか
(6)都会のオアシス 屋上緑化

「関連記事②-自然エネルギー活用建築とは」はこちら↓
(1)パッシブデザインの考え方
(2)環境配慮型の新技術

「関連記事③-建設業を変革しえるBIMとは?」はこちら↓
(1)BIMとは何か
(2)ソリューションとしてのBIM
(3)BIMの導入状況と課題

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