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環境に配慮した建設(5)〜超耐久建築は実現するか〜

環境に配慮した建設技術について考えるシリーズ。第5回は、省資源や廃棄物削減につながる超耐久建築技術について紹介します。

環境に配慮した建設(5)〜超耐久建築は実現するか〜

耐久力を上げて省資源・廃棄物削減を目指す


建物を取り壊した際に発生する廃棄物、特にマンションやビルを解体すると膨大な量のコンクリート廃材が発生します。

本シリーズの第3回で、近年はコンクリート廃材のリサイクルが100%に近いところまで実現していることを紹介しましたが、リサイクルコンクリートは品質的に通常のコンクリートと同等とまではいえないため、その用途は限られています。省資源や廃棄物削減に貢献していることは間違いありませんが、その効果は一定の範囲に留まっていると見るべきでしょう。

そこで、さらに効果の大きな省資源・廃棄物削減につながる技術として期待されているのが、建築物の耐久力をこれまでよりも飛躍的に上げることで、建て替えの頻度そのものを大幅に減らすことです。

耐久力アップの切り札、高耐久コンクリート


一般的な鉄筋コンクリート造りに使われるコンクリートは、おおよそ60年程度の耐久度があるといわれています。これに対して、高耐久コンクリートと呼ばれるものは、100年から最大で500年程度までの高い耐久度を持っています。これは技術としてはすでに確立されており、実際に使用されている施工例もあります。

ただ、高耐久コンクリートが使われているのは、一部の超高層建築が主で、一般的な中・小型のビルやマンションにはあまり普及していません。また、500年レベルのは超高耐久コンクリートは寺社などの歴史的な建造物の土台などにしか用いられていないのが実情です。これはなぜでしょうか。

超耐久建築にはコンクリート以外の要素も必要


高耐久コンクリートが普及しない要因として、まず考えられるのはコスト面です。ところが、実は高耐久コンクリートは、耐久年数だけを考えた費用対効果でいえば、むしろ低コストになるといわれています。わかりやすくいうと、2倍の耐久力を持たせるために必要なコストは2倍までは必要ないということです。

コスト的には見合うはずなのにいまひとつ普及しない理由は、マンションやビルなどの寿命がコンクリートの耐久力だけでは決まらないためです。例えば、一般的なコンクリートの寿命は60年といわれていますが、現実には平均で40年〜50年程度で建て替えられています。

これはコンクリートが寿命を迎えたわけではなく、配管や電気系統、空調などの設備面や、マンションなら天井高や間取りなどのデザイン面が現代の要求に合わなくなり、需要がなくなったことが主な原因です。

超耐久建築の実現を目指す取り組み


建設業界では、省資源・廃棄物削減の切り札ともいえる高耐久コンクリートを使った建築を普及させるための努力を続けています。

例えば、配管類などの耐久性を上げることや、メンテナンス性を高くすること。躯体はそのままに外壁だけ交換できる技術の開発。梁をなくしてリフォームの自由度上げて時代の変化に対応しやすくすることなどなど。

こうした周辺技術が進化していけば、高耐久コンクリートを使った超耐久建築が本格的に普及するようになるでしょう。

「環境に配慮した建設」はこちら↓
(1)建設がもたらした環境破壊
(2)見直される木材建築
(3)新時代の土木工事
(4)清浄な土壌を取り戻す取り組み
(5)超耐久建築は実現するか
(6)都会のオアシス 屋上緑化

「関連記事①-エネルギーマネジメントシステムのHEMS、BEMSとは」はこちら↓
(1)一家に一台の時代がやってくる
(2)HEMSによる家庭の省エネ
(3)企業向けのBEMSとFEMS
(4)目標はスマートシティの実現

「関連記事②-自然エネルギー活用建築とは」はこちら↓
(1)パッシブデザインの考え方
(2)環境配慮型の新技術

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