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地方活性化と建設業(4)〜経営多角化の事例〜

地方活性化と建設業の関わりについて考えるシリーズ、第3回では経営多角化の目的と農業への参入事例を紹介しました。最終回の第4回は農業コントラクターと農業分野以外の多角化の事例を紹介します。
地方活性化と建設業(4)~経営多角化の事例~

農業を活性化する農業コントラクター


これまで、日本の農業は個人経営が基本であり、農業機械も各農家が保有してきましたが、使用頻度の高くない機械に大金を投資する必要があり、農家の大きな負担になっています。また、農業従事者の高齢化が進み、収穫などの体力が必要な作業が難しくなり農業をやめてしまう農家も目立ちました。

こうした状況に対応するために、作業負荷の高い農作業を請け負ったり、機械の貸し出しなどを行っている組織が農業コントラクターです。

建設業者が参入する場合、保有している重機を生かせる機会が多く、農作業の専門知識もそれほど必要としないため、農業そのものに参入するよりも敷居が低いといえます。地域の農業の活性化にもつながるため、今後より推奨されていく参入分野であると予想されます。

高齢化社会に注目した福祉関連事業


高齢化が進む日本では、今後ますます老人介護などの福祉関連産業の成長が予想されています。特に地方では高齢化が進んでいるため、住宅のバリアフリー化や手すりの設置など介護向けの改修工事の需要が高まるでしょう。

それに関連して、福祉関連の用具の販売やレンタル事業に進出した建設業者もでてきております。さらに踏み込んだ例としては、自らがグループホームなどの老人向け施設の運営に乗り出した会社もいくつか見られます。老人向けの施設の建設は地方で増加する空き家対策としても有効で今後ますます注目されていくと考えられます。

職人の技能を生かす便利屋事業


高齢化が進む地方において重宝されているのが、家庭で発生する重労働や危険作業などを代行する便利屋事業です。

建物のちょっとした補修などでは、建設業者の持つ技能や余り資材、廃材などを生かせますし、重量物の移動などでは重機の投入も可能です。既存の便利屋では対応できなかったような作業が可能で、新規需要を掘り起こす効果も期待できるため、建設業界から参入する業者が増加しています。

DIYの大流行で新規事業の可能性が広がる


近年、日本ではいわゆる手作りで家具などを製作するDIYが流行しています。一昔前までは、日曜大工と呼ばれて、主に男性の趣味として知られていましたが、現在は家庭の主婦などを中心に女性でDIYを趣味とする人が大幅に増加しています。

こうしたDIYユーザー向けの新サービスが、建設業者の持つ資源を生かせる場として期待されています。

例えば、作業場所の提供、電動工具の貸し出し、建設現場で発生した中古部材や余剰部材の販売、素人には困難な作業の代行、DYI教室の開校などが考えられます。ホームセンターとかぶる部分も多くなりますが、プロ仕様の工具の貸し出しや、職人の技術の提供などで既存のサービスと差をつけられる可能性があります。

地方再生に結び付く経営の多角化を目指す


ここまで紹介した以外にも、多種多様な経営多角化の事例が存在します。重要なことは建設業の強みと、その地域の特色を生かせる事業を考えること。そして、地方自治体や地元の各産業の組合と協力して、地方建設業者の新規事業への挑戦が地方再生に結びつくようにすることだといえるでしょう。

「地方活性化と建設業」はこちら↓
(1)建設業の果たしてきた役割と現状
(2)人材移動の功罪
(3)経営の多角化がカギを握る
(4)経営多角化の事例

「関連記事①-災害と建設業」はこちら↓
(1)災害発生直後の対応
(2)災害復興最初期の対応
(3)災害復興初期の対応
(4)災害復興中期の対応
(5)災害復興後期の対応
(6)災害復興対応のまとめ

「関連記事②-建設業の社会保険未加入問題」はこちら↓
(1)現在の状況と問題の背景
(2)ガイドライン改訂の影響と今後の予測

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2016.7.19
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