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建設業の未来(2)~日本ならではの技術~

建設業の未来を考えるシリーズ、第2回も引き続き期待される技術革新について考えますが、今回は特に日本ならではの伝統や特性を生かす技術を調べます。

建設業の未来(2)~日本ならではの技術~

地震大国日本が誇る耐震・耐火建築のさらなる進化に期待


古くから地震大国だった日本の耐震技術は、世界のトップに立つ高い技術を誇るといわれています。特に、ゆらりゆらりと大きく動きながらも決して壊れることのない高層ビルの技術は、インターネットを通じて国境を越えて拡散し、世界中に人を驚嘆させました。

その一方で、阪神・淡路大震災や東日本大震災、そして記憶も冷めやらぬ熊本地震など、平成に入ってからも、日本では大地震による大きな被害が発生しています。特に熊本地震では、震度7の揺れが続けて発生するなど、これまでの常識では予測できなかった揺れ方により、比較的新しい住宅まで倒壊するなど被害が拡大しました。

しかしながら、古い住宅で最新の工法で耐震補強されたものは、強烈な揺れにも耐えており、耐震技術が一定の効果を上げることが証明されてもいます。今後はさらに、耐震補強や耐震建築の技術を高めていけば、どんな地震にも耐えられる住宅の実現も夢ではないといえます。

また、地震とともに発生する可能性のある火事や津波、土砂崩れ、洪水などでも、被害を最小限に抑えられる住宅開発も期待されています。

自然と一体化する快適でエコな住宅の実現


太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーを利用したエコな住宅の開発が進んでいます。これらの技術を進化させることは、資源の少ない日本に明るい未来をもたらすとともに、大気汚染や放射能汚染など、負の遺産を次世代に残さないことにもつながります。

現在は、再生可能エネルギーの考え方をさらに発展させた自然エネルギーを利用した建築技術も注目を集めています。エアコンや暖房器具など、エネルギーを消費する装置を極力使わずに、自然の風や光、地熱などの身近なエネルギーを住宅設計の工夫で室内に取り入れて、快適空間を実現する技術です。

さらに住宅の周辺環境まで考えて、トータルデザインで快適性をアップさせるパッシブデザインの考え方が現在のエコ住宅の最先端といえるでしょう。

この最先端の考え方は、実は古来日本家屋で用いられてきた技術がもとになっているものが多々存在します。柱で支える構造で開口部を広くとった日本家屋は風通しがよく、茅葺の高い屋根は熱をためることがなく、木々や池などの自然を活用した日本庭園の技術も、快適性に大きな役目を果たしています。

《古きを訪ね新しきを知る》の精神で、日本家屋の技術をさらに高めつつ未来に継承していくことが期待されています。

宮大工の技術を取り入れて、文化の継承と発展を


日本特有の建築技術としては、自然を取り入れて快適性を増した日本家屋の技術のほかに、城や神社・仏閣などで見られる、宮大工による木組みなどの高度な建築技術や、デザイン性があります。
こうした技術は、日本国内よりも海外で非常に高く評価されていますが、日本人もこうした伝統的な技術を見直して、現代建築にも積極的に取り入れていくべきだと思います。

先の地震で大きな被害を受けた熊本城については、非常に残念な出来事ではありましたが、その修復は、現代の建築技術を持つ建設業者と、伝統技法を守る宮大工や石垣職人などが協力しなければなしえないことでしょう。現代技術と伝統技法の融合を試みる絶好の機会として、熊本城の修復には国を挙げて取り組んでいくべきではないでしょうか。

そして、現代建築にもその技法を取り込むことができれば、日本の建築業は美的センスなどの面で、世界に誇るものに成長していく可能性があります。

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「建設業の未来」はこちら↓
(1)期待される技術革新
(2)日本ならではの技術
(3)建設業界の構造改革が未来を創る
(4)空想が現実になる超先進技術

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(2)工期や建設費への影響
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