ハウスメーカーと工務店との違い(2)〜価格面の比較〜
ハウスメーカーと工務店の違いについて考えるシリーズ。第2回からは、住宅を建てる際に重要になるポイントごとに、ハウスメーカーと工務店でどのような違いがあるのか、具体的なメリットやデメリットについて考えていきます。
住宅を建てる際に考慮するポイント
まず、住宅を建てる際にどういった点がポイントになるのかを考えてみます。
多くの人にとって重要なポイントになるのは価格です。もちろん単に安ければいいというわけではなく、品質が伴うことや、建てたあとのアフターサービスの手厚さなども含めて総合的に判断することになるでしょう。
性能やデザイン面も非常に重要です。例えばエコ性能が高い住宅なら、実際に住みだしてからの冷暖房費などイニシャルコストの削減にもつながります。そして、気に入ったデザインの家に住むと、家に対する愛着が生まれ、それが充実した生活につがります。
ほかにも、納期という明確に数字に表れる部分や、逆に安心感という感覚的な部分も重要です。こうした点がハウスメーカーと工務店でどう違ってくるのかを調べていきます。
価格面は単純比較なら経費の少ない工務店が割安
もし住宅を、まったく同じ材料と工法を用いてハウスメーカーと工務店、それぞれで建てるとすれば、工務店に発注した場合の価格の方がハウスメーカーに発注した場合より安くなるケースが多いでしょう。
全国展開するハウスメーカーは多くの支店を持ち、営業マンも多く抱えています。各地に設けられた住宅展示場の経費や、テレビCMなどの宣伝広告費もかかります。また、最新の建築技術や新素材などの研究や、設計やデザインの開発などにも多額の費用が必要になります。
こうした経費分を住宅の販売価格に上乗せしなければ、ハウスメーカーの経営は成り立ちません。したがって、工務店よりも割高になるのはやむを得ないといえるでしょう。
施工の原価はハウスメーカーのほうが割安
ハウスメーカーの特徴は、あらかじめ設計を用意しており、必要な材料と工法を確立していることにあります。
材料は大量に仕入れることで割安になりますし、独自に開発した特殊な材料などは、開発したメーカーでないと入手困難なものもあります。また、工法が確立していれば短期間で施工することができるため、職人の経費を節約することができます。こうした点は工務店が同等レベルに追いつくことが難しい点です。
前項では単純に同じ材料、同じ工法で比較しましたが、これは現実的ではありません。材料調達や工法面ではハウスメーカーのほうが優れているケースが多く、原価面でも割安になりやすいということです。
価格面の優位性はケースバイケース
営業や技術開発に必要な経費の上乗せが少ない工務店と、仕入れや施工を効率的に行うことで原価を抑えるハウスメーカー。最終的な価格面ではどちらが優位なのでしょうか。
例えば、材料や工法が一般的に確立されていて、住宅を手掛ける工務店ならどこでも問題なく建てられるような住宅であれば、経費が少ない工務店のほうが間違いなく割安になります。逆に、先進的な材料や工法を駆使した住宅であれば、経費分が上乗せされたとしても、ハウスメーカーのほうが割安になる場合もあるでしょう。
つまり、工務店とハウスメーカーのどちらが割安になるかは、建てようとする住宅のタイプや住宅に求める条件によってケースバイケースで変わるのが一般的であるということがいえます。
「ハウスメーカーと工務店の違い」はこちら↓
(1)住宅設計のスタイルの違い
(2)価格面の比較
(3)設計、デザイン面の比較
(4)安心感があるのはどちらか
(5)満足度が高いのはどちらか
「関連記事①-持ち家か賃貸住宅か」はこちら↓
(1)支出を比較する方法
(2)持ち家の維持・修繕の実際
(3)35年後の資産価値
(4)賃貸住宅における原状回復の範囲
(5)最終結論
「関連記事②-自社ビルか賃貸か」はこちら↓
(1)自社ビルのメリット
(2)自社ビルのデメリット
(3)賃貸のメリット
(4)賃貸のデメリット
(5)財務面の影響とこれまでのまとめ