ハウスメーカーと工務店との違い(3)〜設計、デザイン面の比較〜
ハウスメーカーと工務店の違いについて考えるシリーズ。第3回は、住宅の設計や性能、デザインなどの面で、ハウスメーカーと工務店でどのような違いがあるのかを考えていきます。
先進的な設計やデザインが豊富なハウスメーカー
ハウスメーカーでは、自社に専門の設計士やデザイナーを抱えています。それにより、最新の建設技術や自社開発の独自技術などを駆使した設計をしているほか、デザイン的にもコンセプトを明確にした現代的で美しいデザインを用意しています。注文者は住宅展示場で実物を見て判断できるほか、カタログなども豊富で、じっくりと比較して選べることが利点です。
設計やデザインにはハウスメーカーごとに特色が見られます。鉄骨系住宅を得意にする会社や木造住宅に高いノウハウを持つ会社、スマートハウスなどのエコ住宅に強い会社、耐震構造に力を入れている会社などなど。デザイン面でも、洋風デザインを特徴とする会社や、木質系の素材を取り入れて、ロハスなデザインを売りにする会社など様々です。
注文者は、WEBカタログなどで各社の持つ特徴をつかんだうえで、自分の希望に近い会社を決めて、住宅展示場などを回って絞り込んでいくことができます。
住宅展示場には心を惑わせるデメリットも
住宅展示場で実際の物件を見ることができる、ということはハウスメーカーの大きな利点です。ただ、そこにはちょっとした落とし穴もあるので注意が必要です。
ハウスメーカーの用意する住宅設計には、様々なオプションプランがありますが、展示場の住宅には多くの場合、最上級のオプションがフル装備されています。また、見本として置いてある家具なども、高級品であることがほとんどです。
オプションや家具にいくらでも予算をかけられる、という人ならばいいのですが、現実的には予算と相談しながら、オプションや家具のグレードを決めていくことがほとんどでしょう。オプションを外したり、グレードダウンした住宅を実際に建ててみたら、展示場で見たイメージと全然違ってガッカリした、ということもありえるのです。
住宅展示場では華やかなイメージに惑わされない冷静さが必要といえるでしょう。
工務店は特殊設計の対応力がある
ハウスメーカーはあらかじめ設計を用意して、工法を確立していることが強みでした。それは逆にいうと、規格から外れた工事への対応力に問題が出やすいということです。一方、工務店はもともと注文者の要望に合わせて設計を行うことを基本としているため、特殊な要望にも対応しやすい強みがあります。
例えば、所有している土地が三角形だったりすると、ハウスメーカーの通常設計のままでは建てられなかったり、あるいは建てても土地の無駄が多くなってしまいます。自宅でピアノ教室を開くので防音室を作りたい、というような特殊な要望も、工務店なら無理なく対応してくれることでしょう。
このような特殊な要望については、ハウスメーカーでも対応が不可能、というわけではありません。ただ、確立された工法で短期間で施工するというハウスメーカーの強みが生かされなくなるため、費用がかさみますし、工期も長くなるでしょう。
設計・デザインに強い工務店もある
ハウスメーカーにも様々な特色があるように、工務店も会社によって特色があります。規模が小さいからこそ、特徴が色濃く出るともいえるところで、むしろ特色の違うはハウスメーカーよりも大きいといえるでしょう。
例えば、木造建築で、通気性や遮熱性に優れたエコ住宅を非常に得意にしている会社や、伝統的な和風建築のノウハウを持っている会社など、ハウスメーカーよりも細分化された分野を得意にしている会社が多いことが特徴です。
自分の希望する住宅のイメージがはっきりしていて、その方向性に合う工務店が近くに存在するなら、ハウスメーカーよりも低価格で希望の住宅を建てられる可能性が高くなります。
「ハウスメーカーと工務店の違い」はこちら↓
(1)住宅設計のスタイルの違い
(2)価格面の比較
(3)設計、デザイン面の比較
(4)安心感があるのはどちらか
(5)満足度が高いのはどちらか
「関連記事①-持ち家か賃貸住宅か」はこちら↓
(1)支出を比較する方法
(2)持ち家の維持・修繕の実際
(3)35年後の資産価値
(4)賃貸住宅における原状回復の範囲
(5)最終結論
「関連記事②-自社ビルか賃貸か」はこちら↓
(1)自社ビルのメリット
(2)自社ビルのデメリット
(3)賃貸のメリット
(4)賃貸のデメリット
(5)財務面の影響とこれまでのまとめ