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自社ビルか賃貸か(3)~賃貸のメリット~

自社ビルと賃貸オフィスを比較するシリーズ。第1回、第2回と自社ビルを持つことのメリットとデメリットについて考えました。今回は賃貸オフィスのメリットを考えていきます。

前回、自社ビルのデメリットとして挙げた、従業員の増減に対応し難いこと、管理・メンテナンスの手間と費用については、その裏返しが賃貸オフィスのメリットになると考えられます。ここでは、単なる裏返しだけでない部分にスポットを当ててみましょう。

自社ビルか賃貸か(3)~賃貸のメリット~

時代に沿った立地条件を得られる


自社ビルでも賃貸でも、立地条件が良ければ高額になり、悪ければ安くなるのは同じ理屈です。ただ、自社ビルは建ててしまうと何十年もその立地に縛られることになりますが、賃貸であればその時に合わせた立地を選ぶことが可能です。

例えば、業績が上向きだから都心に出てさらなる飛躍を狙う、ということもできますし、不調時は、いったん都落ちして立て直すという運用もできます。IT関連ベンチャー企業など時代の先端を進む企業にとって、再開発などによって誕生した注目度の高いオフィス街に拠点を構えることは、郊外で自社ビルを所有するよりも大きなステータスを持つことになるでしょう。

特定の企業と多くの取り引きを行なう企業の場合は、主要な取引先の近くに拠点を構えることで、より関係性を深くすることも可能です。

ワンフロアオフィスで自社ビルよりも高い集約性を実現


自社ビルのメリットとして、拠点を集約することにより業務の効率化や社員の一体感が生まれることを挙げましたが、実は賃貸の場合、それを上回る集約化を実現している企業が多数あります。
それが、巨大な賃貸ビルのワンフロアを借りきって、全部門を1つのビル内どころか、ワンフロアに集約してしまうことです。

せっかく自社ビルに全部門を集約しても、自分の所属する部門があるフロア以外にはほとんど足を運ぶ機会がなく、他部署の社員の顔も満足に知らない、というのはよくありがちな話です。そうした階層の違いという壁を取り払って集約効果を高めているのが、最近流行している巨大なワンフロアオフィスです。

社内の全部門を見通せる構造にして、場合によっては社長の椅子まで同じフロアに配置して全従業員の一体感を高めている企業もあります。オフィス内の流動性が高く、部門ごとの人数の増減にも対応がしやすく、フリーアドレス(特定の座席を決めず、ノートPCなどを持ち歩いて任意のデスクで業務を行うスタイル)などの先進的な試みも実現しやすくなります。

最新の設備の恩恵を享受する


賃貸オフィスの分かりやすいメリットとしては、ビルが古くなってきたら新しいオフィスに移ることができるということがあります。
新しいオフィスに移ることで社員の気分も一新しますし、耐震性能などの面でも安心感が得られるでしょう。

また、特に貸しビル業で実績のある大手不動産会社の提供する最新のオフィスは、その技術力において群を抜いています。環境に配慮し、省エネも実現する最新のエコ設計ビルや、高度なセキュリティシステムの構築など、自社ビルで整備したのでは容易に得られないメリットを享受できる場合もあります。

他社との交流機会が生まれる場合も


賃貸オフィスに他社とともに入居することは、一般的には気を使うなど、デメリットととらえられがちですが、最近は賃貸ビルの所有者が、入居する複数企業を対象にした交流パーティーを企画するなど、賃貸オフィスに新しい流れが生まれています。

ほかにも、人材交流で社員を育成したり、社内に新しい風を送り込むといった試みも、同じビルに入居する企業同士であれば効率的に行うことができます。

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「自社ビルか賃貸か」はこちら↓
(1)自社ビルのメリット
(2)自社ビルのデメリット
(3)賃貸のメリット
(4)賃貸のデメリット
(5)財務面の影響とこれまでのまとめ

「関連記事①-遊休不動産の活用」はこちら↓
(1)増加する遊休不動産と問題点
(2)遊休不動産がマイナス資産と化す時代
(3)遊休不動産の活用方法
(4)管理・活用を支援するサービス
(5)遊休不動産活用を支援する施策

「関連記事②-持ち家か賃貸住宅か」はこちら↓
(1)支出を比較する方法
(2)持ち家の維持・修繕の実際
(3)35年後の資産価値
(4)賃貸住宅における原状回復の範囲
(5)最終結論

「関連記事③-ハウスメーカーと工務店の違い」はこちら↓
(1)住宅設計のスタイルの違い
(2)価格面の比較
(3)設計、デザイン面の比較
(4)安心感があるのはどちらか
(5)満足度が高いのはどちらか

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