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自社ビルか賃貸か(4)~賃貸のデメリット~

自社ビルと賃貸オフィスを比較するシリーズ。前回は賃貸オフィスのメリットについて考えました。今回は引き続き賃貸オフィスのデメリットについても考えていきます。

自社ビルか賃貸か(4)~賃貸のデメリット~

家賃相場のリサーチ能力が必要


アパートの賃貸住宅の場合は、一般に入居者を募集する段階で家賃が公開されますが、オフィスビルの場合は、入居者が契約している金額は非公開なのが一般的です。

オフィスビルの賃貸はあくまでも会社同士の交渉事であり、契約内容は貸主側、借主側のどちらにとっても機密情報であるといえるでしょう。また、公開してしまうと、最も安い契約と同等にするよう要求されてしまうという事情もあります。

そのため、賃貸オフィスを借りる際は、自分で周辺の相場をリサーチする能力がないと、ほかの契約者に比べて不利な契約を結ばされてしまう恐れがあります。また、契約の交渉術も必要になってきます。

家賃の改定を迫られる恐れも


家賃の改定は賃貸住宅でもありうることですが、そう滅多にあることではありません。賃貸オフィスの場合は、あらかじめ数年ごとに契約の見直しを行う前提の契約になっていることが多く、その際、周辺地域の相場が上がっていれば、貸主側は家賃の値上げを求めてくるでしょう。

特に再開発などで地域の価値が飛躍的に上がった場合は、家賃相場も大きく上昇します。借りていたオフィスが再開発で注目されている地域に近く喜んでいたら、家賃が大幅に上がって出て行かざるを得なくなったということも起こりうるのです。

設備やセキュリティ面の不安


前回記事で紹介した賃貸のメリットでは、大手ビル事業者の建てた最新のビルであれば、時に自社ビルよりも設備やセキュリティが強力で安心できるとしました。そのことは、裏を返せば、老朽化したビルや、設備に力を入れていないビルを借りるようなケースでは、設備やセキュリティ面に大きな不安を抱えることになります。

例えば、電気設備に不安のあるビルでは、コンピュータで重要なデータを保管していると致命的な打撃を受けかねませんし、古いビルでは電気設備の容量不足で十分なOA機器を導入できないことも考えられます。LANを床下などに配線できず、ケーブルをむき出しにせざるを得ないケースもあります。エレベーターが旧式だと出勤時や昼休みに大混雑したり、故障が多ければ業務に支障をきたすこともあるでしょう。

セキュリティ面に関しても、オフィス内でどれほど厳重に対策しても、ビル自体のセキュリティが脆弱だと、高いセキュリティは期待できません。ビル内の全てのフロアに自由に出入りできる管理業者に信頼が置けないという最悪のケースすら考えられます。

優秀な設備を備えるグレードの高いビルに入居する予算が確保できない場合、さまざまな不安がつきまとうことになりかねないのです。

同居する会社との関係性などの問題


同じビルに入居する他社との関係性も、ときに大きな問題となることがあります。例えば社員同士のちょっとしたトラブルから関係性が悪くなり、やがては互いを敵視してギスギスした関係になってしまうこともあります。そうなると社員のモチベーションに大きな悪影響を与えてしまうでしょう。

また、入居する際は、どんな会社が入居済みなのかリサーチすることができますが、入居後の入れ替わりでどんな会社が入って来るかは選べません。いつのまにか、ライバル企業の息のかかった事務所が入居してスパイ行為を受ける恐れもあります。反社会勢力関連の企業が入居してくれば、社員は安心して業務に打ち込めなくなってしまいます。そう滅多に起こることではありませんが、危機対策として想定しておく必要はあります。

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「自社ビルか賃貸か」はこちら↓
(1)自社ビルのメリット
(2)自社ビルのデメリット
(3)賃貸のメリット
(4)賃貸のデメリット
(5)財務面の影響とこれまでのまとめ

「関連記事①-遊休不動産の活用」はこちら↓
(1)増加する遊休不動産と問題点
(2)遊休不動産がマイナス資産と化す時代
(3)遊休不動産の活用方法
(4)管理・活用を支援するサービス
(5)遊休不動産活用を支援する施策

「関連記事②-持ち家か賃貸住宅か」はこちら↓
(1)支出を比較する方法
(2)持ち家の維持・修繕の実際
(3)35年後の資産価値
(4)賃貸住宅における原状回復の範囲
(5)最終結論

「関連記事③-ハウスメーカーと工務店の違い」はこちら↓
(1)住宅設計のスタイルの違い
(2)価格面の比較
(3)設計、デザイン面の比較
(4)安心感があるのはどちらか
(5)満足度が高いのはどちらか

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