アーキブックコスト

自社ビルか賃貸か(1)~自社ビルのメリット~

個人や家族の人生のテーマの1つに、住居を購入するか、ずっと賃貸するかがあります。この比較は住宅問題の大きなテーマとして、いろいろなところで比較・検討されています。

一方で、企業にも同様に、自社ビルとするか、賃貸オフィスにするかという問題があります。この問題は、個人の住居の問題と似ている部分もありますし、異なる部分もあります。企業ならではの事情に注意しつつ、第1回は自社ビルのメリットについて考えてみます。

自社ビルか賃貸か(1)~自社ビルのメリット~

対外的な信用とステータスシンボル


起業した経営者は、まず企業価値を向上させて株式上場を目指すことが多いと思います。そして、自社ビルを建てることもそれに匹敵する目標としている場合も多いでしょう。上場することは会社の信用度を飛躍的に上げますが、自社ビルにもそれと同様の効果を期待するわけです。

具体的には、取り引きする企業に「自社ビルを建てるほど、あの会社の経営は順調だ」と思ってもらえる、同じく取引銀行にも同じような信用を得られる、といった効果です。また、資産を持っているということは、いざというときに会社の体力があることを表します。さらに、社名を掲げた自社ビルは、それ自体が巨大な宣伝搭のような役割も果たしてくれるでしょう。

社員のやる気と就職先としての魅力


自社ビルを所有することは、対外的な意味だけでなく、社内的にも大きな意味を持ちます。個人が、夢のマイホームを持つことで仕事にやる気が出てくるように、会社の社員も、自分たちの城を持つことで愛社精神が増して、やる気を増していく効果が期待できます。

また、自社ビルを所有することは、人材募集という面でも効果を発揮します。ここまでに挙げてきたステータスシンボルを持つ魅力のほかにも、自社ビルがあれば、通勤先が変わる心配が少ないというメリットがあります。就職先選びに自宅からの通勤のしやすさを求める人にとっては、自社ビルを所有する企業は有力な候補の1つになるでしょう。

利用方法の自由度が高い


自社ビルの具体的なメリットといえるのが、利用方法の自由度の高さが挙げられます。例えば社員食堂など本格的な調理を行うことは、ビルの管理上、賃貸オフィスでは制約を受けることが多いですが、自社ビルならば自由に使うことができます。

ほかにも、危険な薬品を扱う研究室や火薬類の保管なども考えられます。いかに厳重に管理したとしても、危険物の取り扱いは賃貸オフィスでは許可が下りにくいでしょう。また、1階をショールームや販売スペースにするような使い方も自社ビルならではといえます。

さらに、社員の利便性を高める施設に力を入れるというのも1つの手です。例えば、シャワールームや仮眠室、 社内託児所や健康管理室などを設けることなどが考えられます。こうした社員向けの設備は、そのために賃貸のスペースを増やすとなると予算の確保が難しいことが多いですが、自社ビルでスペースが容易に確保できるなら実現する可能性が高まります。

オフィスの集約効果が望める


もう一つ具体的なメリットといえるのが、自社ビルに全部門を集約できることです。賃貸でも十分な広さのオフィスを借りて集約させることは可能ですが、ある程度以上の規模になると、そうそう都合のよい広さの空き物件を見つけることは困難で、拠点を分散せざるを得ないのが実情でしょう。
その点、自社ビルであれば自然に1ヵ所に集約させることができます。全部門を1拠点に集約させれば、社内の連携の向上が見込めるでしょう。また、外部からの侵入や内部からの機密情報の持ち出しなど、セキュリティ対策も拠点が集約されていれば、格段に行いやすくなります。

次回は自社ビルのデメリットについて考えてみます。

実務で役立つ建築費の相場【最新版】TOPへ
実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ
業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】TOPへ

「自社ビルか賃貸か」はこちら↓
(1)自社ビルのメリット
(2)自社ビルのデメリット
(3)賃貸のメリット
(4)賃貸のデメリット
(5)財務面の影響とこれまでのまとめ

「関連記事①-遊休不動産の活用」はこちら↓
(1)増加する遊休不動産と問題点
(2)遊休不動産がマイナス資産と化す時代
(3)遊休不動産の活用方法
(4)管理・活用を支援するサービス
(5)遊休不動産活用を支援する施策

「関連記事②-持ち家か賃貸住宅か」はこちら↓
(1)支出を比較する方法
(2)持ち家の維持・修繕の実際
(3)35年後の資産価値
(4)賃貸住宅における原状回復の範囲
(5)最終結論

「関連記事③-ハウスメーカーと工務店の違い」はこちら↓
(1)住宅設計のスタイルの違い
(2)価格面の比較
(3)設計、デザイン面の比較
(4)安心感があるのはどちらか
(5)満足度が高いのはどちらか

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

記事を気に入ったらシェア!

合わせて読みたい

オススメの最新記事

この記事と同じカテゴリの質問


アーキブックコスト

コラムカテゴリ

カテゴリー

専門家の種類

建物用途

資格

課題解決

サイトニュース

2016.7.19
「アーキブック」をリリースしました。