長谷工コーポレーションの状況｜準大手ゼネコンの状況把握【2019年版】
【業績から把握する長谷工コーポレーション｜2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである長谷工コーポレーションについて紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考｜主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度における長谷工コーポレーションの受注高は4855億円と前年度から約0.3%の増加となりました。受注高は2011年度より5年連続で2016年度の5022億円まで増加傾向で推移しました。その後2017年度に4838億円まで若干減少した後、2018年度は概ね横ばいで推移しています。この2018年度の水準は2011年度の水準と比較すると約73.0%高い水準にあり、この7年間では非常に大きく増加していることが分かります。（下図参照）
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約95.2%、土木工事が約0.4%を占め、大半が建築工事となっていることが分かります。（下図参照）
準大手ゼネコン9社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、長谷工コーポレーションは準大手ゼネコンの中でも特に建築工事に特化したゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は6523億円と前年度より約12.2%の増加となりました。売上高は2011年度より4年連続で2015年度の5609億円まで増加傾向で推移しましたが、2016年度に若干減少しています。その後、2018年度まで2年連続の増加傾向で推移し、直近の8年間で最も高い水準となりました。この2018年度における売上高の水準は2011年度と比較して約77.2%高い水準と、この7年間で非常に大きく増加したことが読み取れます。（下図参照）
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度における長谷工コーポレーションの繰越高は6013億円と前年度から約2.3%の増加となりました。繰越高は2012年度より6年連続の継続的な増加傾向で推移しています。そして、この2018年度の水準は2012年度の水準と比較して約109.1%の増加と2倍以上高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この6年間で飛躍的に増加したことが分かります。（下図参照）
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度における長谷工コーポレーションの手持ち工事月数は11.1ヵ月と2017年度における12.1ヵ月より若干低い水準となりました。しかしながら、この水準は2011年度からの8年間では3番目に高い水準であり、また、2012年度の水準と比較すると約31.9%高く、依然として高水準にあることが分かります。（下図参照）
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度における営業利益は815億円と前年度より約3.7%の減少となりました。長谷工コーポレーションの営業利益は2011年度から2017年度まで6年連続の長期的な増加傾向で推移しましたが、2018年度は7年ぶりの減少となっております。しかしながら、この2018年度の水準は2011年度と比較すると約5.3倍以上と、この7年間で極めて大きく増加していることが読み取れます。（下図参照）
一方、2018年度の営業利益率は12.5%でした。営業利益率は2012年度の4.0%を底として2017年度の14.6%まで継続的に、かつ飛躍的に上昇傾向で推移していましたが、2018年度は営業利益の減少を反映するように6年振りの下落となっています。
5. 従業員の状況
2018年度における長谷工コーポレーションの従業員数は3336人と2011年度より7年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。この2018年度の従業員数は2011年度と比較すると約29.0%増加しており、この7年間で大きく増加していることが分かります。（下図参照）
続いて、2018年度における従業員の平均年齢は41.3歳、平均勤続年数は17.1年、平均年収は934.4万円でした。
さらに長谷工コーポレーションの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約145.5（百万円/人）、195.5（百万円/人）、180.2（百万円/人）、24.4（百万円/人）となっていることが分かります。（下図参照）
参考｜主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【長谷工コーポレーションの状況｜主要データ一覧】
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 受注高 | 4855億円 | |
| ② 売上高 | 6523億円 | |
| ③ 繰越高 | 6013億円 | |
| ④ 営業利益 | 815億円 | |
| ⑤ 営業利益率 | 12.5% | ④÷② |
| ⑥ 手持ち工事月数 | 11.1ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
| ⑦ 従業員数 | 3336人 | |
| ⑧ 平均年齢 | 41.3歳 | |
| ⑨ 平均勤続年数 | 17.1年 | |
| ⑩ 平均年収 | 934.4万円 | |
| ⑪ 従業員あたり受注高 | 145.5（百万円/人） | ①÷⑦ |
| ⑫ 従業員あたり売上高 | 195.5（百万円/人） | ②÷⑦ |
| ⑬ 従業員あたり繰越高 | 180.2（百万円/人） | ③÷⑦ |
| ⑭ 従業員あたり営業利益 | 24.4（百万円/人） | ④÷⑦ |
| ⑮ 受注高（建築） | 4624億円 | |
| ⑯ 受注高（土木） | 19億円 | |
| ⑰ 受注高（その他） | 212億円 | ① －（⑮＋⑯） |
注）値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである長谷工コーポレーションの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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