「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!-面白いほどよくわかる建設市場-供給編(2)

建設業をわかりやすく解説する「面白いほどよくわかる建設市場」の「供給編」、初回であった前回のコラムでは建設市場における「供給」を「建設業者の忙しさ」に置き換える考え方や、どのような「要因」が影響を与えるのかについて解説しました。2回目である今回は、建設市場の「供給」にもう一歩踏み込み、「建設業者の忙しさ」を把握する為の指標にフォーカスして解説していきたいと思います。

建設業者の忙しさを把握する具体的アプローチに迫る!-面白いほどよくわかる建設市場-供給編(2)

「建設業者の忙しさ」を把握する際に活用できる指標とは!?


それでは実際に「建設業者の忙しさ」に影響を与える「要因」の傾向を把握する指標として具体的に紹介していきます。また、下図から読み取れるように、これらの指標からは直接的に「建設業者の忙しさ」を把握できる指標でないものの、影響要因の状況を読み取ることが可能であり、それぞれの「影響要因」の傾向に関して得られた結果を総合的に判断して「建設業者の忙しさ」を把握しようとする考え方です。


建設業者の忙しさを把握する考え方のイメージ


建設業者が「抱えている工事の量」を把握する為の指標!


まずは、建設業者が「抱えている工事の量」を把握する指標として「未消化工事高(円)」「手持ち工事高(円)」「繰越工事高(円)」などと呼ばれる指標が挙げられます。これらの指標はいずれも「受注済みの工事金額のうち、ある時点で工事が終わっていない金額(その時点で消化できていないで残っている、または、その時点以降に繰り越している金額)」を指します。

この指標について統計データを活用して見てみると、下図1のように、未消化高は10年の時点で20兆円程度の水準でしたが、その後、15年までに28兆円超の1.4倍の水準までに膨らんでおり、金額ベースで「抱えている工事の量」が大幅に増加していることが分かります。


未消化工事高(兆円)


また、建設業者が「抱えている工事の量」を把握する指標として「手持ち工事月数(カ月)」という指標が挙げられます。この指標は、先に挙げた「未消化工事高(円)」として抱えている工事の量を解消するために必要な期間を表しているおり、直接的ではないものの、建設業者の「抱える工事の量」を計る指標として挙げられます。下図2より、この指標についても10年から15年にかけて手持ち工事を解消する期間が5.7ヵ月から6.7ヵ月に延びていることが読み取れます。


手持ち工事数(ヶ月)


このように、これら「未消化工事高(円)」と「手持ち工事月数(カ月)」の2つの指標から、その傾向を読み取ることで、「抱えている工事の量」の観点から建設業者は10年から15年にかけてだんだんと「忙しくなっている」と判断できます。

「確保可能な人手(職人や技術者)の状況」を把握する為の指標!


「確保可能な人手(職人や技術者)の状況」を把握する指標として「建設技能労働者過不足率」と呼ばれる指標や「有効求人倍率」などが挙げられます。例えば、「建設技能労働者過不足率」は「型枠工」「鉄筋工」「電工」など技能労働者8種についての過不足状況を全国で調査したものであり、値がプラスであれば「不足」、マイナスであれば「過剰」を示します。

実際に「建設技能労働者過不足率」を活用し、全国における06年から15年までを見てみるとは、下図3から分かるように09年に「最も過剰な状況」で翌年から14年の「最も不足な状況」まで不足状況が加速し、15年には「不足気味な状況」となっています。これより「確保可能な人手(職人や技術者)の状況」の観点からは、建設業者は09年からだんだんと忙しくなり、14年に人手の確保が最も困難な状況となり「最も忙しかった」、15年にその状況は若干緩和されたと判断することができます。


建設技能労働者過不足率


「工事の生産性」を把握する為の指標!


最後に「工事の生産性」を把握する指標として「建設業就業者数(人)」や「建設業就業者数の年齢構成別比率(%)」などが挙げられます。これは、建設現場における職人や技術者の技術力を上手く把握する指標が無い為、若い就業者数が多い状況であれば、少ない状況と比較したときに「工事の生産性」が高くなると置き換えて考えるためであります。

まず下図4より「建設業就業者数」は06年の560万人から15年の500万人まで大幅に減少しているものの、10年から15年までの6年間は500万人前後とほぼ同じ水準で推移していることが読み取れます。


建設業就業者数(万人)


また、下図5からは建設業就業者のうち34歳以下の割合は09年の24%より段々と減少傾向にあり15年では19%となる一方、55歳以上の割合は若干であるものの年々増えていて、建設業における就業者の高齢化が徐々に進んでいることが分かります。


建設業就業者数の年齢別構成比率(%)


これら図4および図5から、建設業における就業者の人数は近年ではあまり大きな変動はないものの、徐々に高齢化が進んでいる為「工事の生産性」の観点から建設業者は少しずつ「忙しくなっている」と判断することができます。

以上のように「建設業者の忙しさ」を把握する際に活用できる指標について、影響要因の観点からいくつか紹介してきました。また、前述してきた指標より、15年における「建設業者の忙しさ」は「非常に忙しい水準にある」と判断することができます。このように「建設業者の忙しさ」に影響する要因に着目して、それらを把握できる指標を活用し、総合的に「建設業者の忙しさ」を判断することが極めて重要となります。何故ならば「建設業者の忙しさ」を把握することは建設市場の「供給」について理解を深めるだけでなく、後の、「価格編」で解説する「建築費」に強く影響を及ぼすこととなるからであります。

次回は建設市場の「供給」にさらに踏み込んで、「建設業者の忙しさ」について、建設業者の規模別に把握するアプローチにフォーカスして分かりやすく解説していきたいと思います。

建設市場における供給のPoint(2)
①「影響要因」の傾向に関して得られた結果を総合的に判断して「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
②「抱えている工事の量」は「未消化工事高」や「手持ち工事月数」といった指標から把握しよう!
③「確保可能な人手(職人や技術者)の状況」を把握するには「建設技能労働者過不足率」や「有効求人倍率」といった指標を活用しよう!
④「工事の生産性」は「建設業就業者数」や「建設業就業者数の年齢構成別比率」といった指標を活用して把握しよう!

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