東洋建設の状況｜中堅ゼネコンの状況把握【2024年版】
【業績から把握する東洋建設｜2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである東洋建設について紹介していきます。具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考｜主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2023年度における東洋建設の受注高は1,543億円と前年度から約8.3%の減少となりました。受注高は、2016年度の1,335億円から2017年度の1,627億円まで大きく増加した後、2019年度の1,183億円まで2年連続で減少しましたが、2020年度から3年連続で増加していることが読み取れます。一方で、2023年度には減少へ転じています。また、この2023年度の水準は、底となった2012年度の1,021億円と比べて約51.1%高い水準となっていることが分かります。（下図参照）
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約40.4%、土木工事が約59.3%となっており、6割近くを土木工事が占めていることが分かります。（下図参照）
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約56%であることを踏まえると、東洋建設は中堅ゼネコンの中でも土木工事の割合が大きいゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2023年度における売上高は1,620億円と前年度より約8.1%の増加となりました。売上高は、2011年度の996億円から増加傾向で推移し、2017年度に1,582億円と直近の10年間で最も高い水準となったものの、2018年度は1,488億円まで減少しました。そこから2019年度の1,567億円まで増加した後、2021年度の1,366億円まで2年連続で減少しましたが、2022年度から増加に転じています。2023年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較すると約62.7%高い水準にあることが読み取れます。（下図参照）
3. 繰越高の状況
続いて、2023年度における東洋建設の繰越高は1,677億円と前年度から約3.7%の減少となりました。繰越高は、2015年度の1,546億円から2017年度まで1,500億円前後の水準で推移した後、2018年度は1,615億円と直近の10年間で最も高い水準まで増加しました。その後、2019年度に1,234億円まで大きく減少しましたが、2020年度から3年連続で増加しています。一方で2023年度は減少に転じています。また、この2023年度の水準は、底となった2012年度の1,053億円と比べて約59.3%高い水準になっていることが分かります。（下図参照）
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2023年度における東洋建設の手持ち工事月数は12.3ヵ月と2022年度の13.9ヵ月から減少していることが分かります。（下図参照）
4. 営業利益・営業利益率の状況
2023年度における東洋建設の営業利益は93億円と前年度より約19.2%増加しました。営業利益は、2015年度の72億円まで増加傾向で推移した後、2016年度は63億円まで減少したものの、2017年度は97億円まで増加しました。そして営業利益は、2018年度の70億円まで減少した後、2019年度から2年連続で増加していましたが、2021年度から2年連続で減少し、2023年度は増加に転じていることが分かります。（下図参照）
また、2023年度の営業利益率は5.7%でした。この10年間の営業利益率の推移は、営業利益の推移と極めて類似した推移となっており、2017年度の6.1%を山として2018年度に4.7%まで下落、2020年度に8.4%まで上昇した後、2021年度から2年連続で下落し、2023年度は上昇に転じていることが分かります。
5. 従業員の状況
2023年度における東洋建設の従業員数は1,451人でした。また、従業員数は2012年度の1,184人から8年連続の増加傾向で推移していましたが、2021年度から2年連続で減少していることが読み取れます。（下図参照）
また、2023年度における従業員の平均年齢は43.3歳、平均勤続年数は17.9年、平均年収は824.7万円でした。
さらに東洋建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約106.4（百万円/人）、111.6（百万円/人）、115.6（百万円/人）、6.4（百万円/人）となっています。（下図参照）
参考｜主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【東洋建設の状況｜主要データ一覧】
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 受注高 | 1,543億円 | |
| ② 売上高 | 1,620億円 | |
| ③ 繰越高 | 1,677億円 | |
| ④ 営業利益 | 93億円 | |
| ⑤ 営業利益率 | 5.7% | ④÷② |
| ⑥ 手持ち工事月数 | 12.4ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
| ⑦ 従業員数 | 1,453人 | |
| ⑧ 平均年齢 | 43.3歳 | |
| ⑨ 平均勤続年数 | 17.9年 | |
| ⑩ 平均年収 | 824.7万円 | |
| ⑪ 従業員あたり受注高 | 106.4（百万円/人） | ①÷⑦ |
| ⑫ 従業員あたり売上高 | 111.6（百万円/人） | ②÷⑦ |
| ⑬ 従業員あたり繰越高 | 115.6（百万円/人） | ③÷⑦ |
| ⑭ 従業員あたり営業利益 | 6.4（百万円/人） | ④÷⑦ |
| ⑮ 受注高（建築） | 623億円 | |
| ⑯ 受注高（土木） | 915億円 | |
| ⑰ 受注高（その他） | 5億円 | ① －（⑮＋⑯） |
注）値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである東洋建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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