ゼネコン大手23社の状況|ゼネコン規模別の状況把握【2024年版】
【業績から把握するゼネコン大手23社|2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点から、ゼネコン大手23社の状況について紹介していきます。
具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに以下の点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2023年度におけるゼネコン大手23社の受注高は平均で6,114億円と前年度から約11.9%の増加となりました。受注高は2011年度の3,858億円から2014年度の5,147億円まで増加傾向で推移した後、2015年度に4,942億円まで減少しています。(下図参照)
その後、2016年度から2017年度までは約5,100億円と横ばいで推移し、2018年度には5,606億円と直近の13年間で2番目に高い水準まで増加しました。そして2019年度から2年連続で減少したものの、2021年度から3年連続の増加傾向で推移しています。また、この2023年度の水準は底となった2011年度の水準と比較してみると約58.5%高い水準にあることが分かります。
ここで、ゼネコン大手23社の業界シェアを受注高ベースで見てみると、建設業全体のうちゼネコン大手23社で占める割合は18.3%となっています。(下図参照)
国内の建設業者数が約47万社であることを踏まえると、ゼネコン大手23社で占める業界シェアは非常に大きく、建設需要に対してかなり強い影響力があると考えられます。
2. 売上高の状況
次に、2023年度におけるゼネコン大手23社の売上高は平均で5,707億円と前年度より約8.7%の増加となりました。売上高は2011年度の3,905億円から2015年度の4,750億円まで増加傾向で推移した後、2016年度の4,645億円まで減少しました。(下図参照)
そして、売上高は3年連続の増加傾向で推移し、2019年度は5,285億円と過去10年間で最も高い水準になりました。その後、2020年度は4,680億円まで減少しましたが、2021年度から3年連続で増加していることが読み取れます。また、この2023年度の売上高は、底であった2011年度の水準と比較してみると、約46.1%高い水準にあることが分かります。
3. 繰越高の状況
続いて、2023年度におけるゼネコン大手23社の繰越高は平均で8,718億円と前年度から約6.9%の増加となりました。繰越高は底であった2012年度の4,452億円から2018年度の7,437億円まで6年連続で右肩上がりの増加傾向で推移しました。(下図参照)
そして、2019年度は7年ぶりに減少へ転じましたが、2020年度から4年連続で増加し、2023年度は過去13年間で最も高い水準となっています。そして、この2023年度の繰越高の水準は、底であった2012年度の水準と比較して約95.8%も高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量は非常に高い水準にあることが分かります。

ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2023年度におけるゼネコン大手23社の手持ち工事月数は18.3ヵ月となりました。手持ち工事月数は、2020年度から2年連続で増加し、2021年度の19.5ヵ月は過去10年間で最も高い水準となりましたが、2022年度以降は2年連続で減少しています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2023度におけるゼネコン大手23社の営業利益は158億円と前年度より約9.2%減少しました。営業利益は底となっていた2012年度の-0.3億円から2017年度の425億円まで5年連続の増加傾向にありましたが、2018年度から6年連続の減少となっていることが読み取れます。(下図参照)
また、2023年度におけるゼネコン大手23社の営業利益率は2.8%と前年度から0.5%下落しました。営業利益率は営業利益の推移を反映する形で2012年度を底として5年連続で2017年度の8.9%まで上昇した後、2018年度から6年連続で下落していることが読み取れます。
5. 従業員の状況
2023年度におけるゼネコン大手23社の従業員数は平均で4,236人と2013年度の3,674人より10年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2023度のゼネコン大手23社における従業員の平均年齢は43.4歳、平均勤続年数は17.6年、平均年収は972.4万円(注1)でした。
さらに、ゼネコン大手23社の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約144.3(百万円/人)、134.7(百万円/人)、205.8(百万円/人)、3.7(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
最後に、今回対象としたゼネコン大手23社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【対象としたゼネコン大手23社】
ゼネコン規模 | 会社名 |
スーパーゼネコン | 清水建設 大成建設 大林組 鹿島建設 竹中工務店 |
準大手ゼネコン | 五洋建設 長谷工コーポレーション 戸田建設 熊谷組 前田建設工業 西松建設 三井住友建設 安藤ハザマ 東急建設 フジタ |
中堅ゼネコン | 奥村組 鉄建建設 東洋建設 東亜建設工業 淺沼組 飛島建設 錢高組 大豊建設 |
【ゼネコン大手23社の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 14兆625億円 | 23社の総額 |
② 売上高 | 13兆1,256億円 | 23社の総額 |
③ 繰越高 | 20兆517億円 | 23社の総額 |
④ 営業利益 | 3634億円 | 23社の総額 |
⑤ 営業利益率 | 2.8% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 18.3ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 97,443人 | 23社の総数 |
⑧ 受注高(平均) | 6,114億円 | ①÷23社 |
⑨ 売上高(平均) | 5,707億円 | ②÷23社 |
⑩ 繰越高(平均) | 8,718億円 | ③÷23社 |
⑪ 営業利益(平均) | 158億円 | ④÷23社 |
⑫ 従業員数(平均) | 4,236人 | ⑦÷23社 |
⑬ 平均年齢 | 43.4歳 | 総年齢÷⑦ |
⑭ 平均勤続年数 | 17.6年 | 総年数÷⑦ |
⑮ 平均年収 | 972.4万円 | 総年収÷⑦ |
⑯ 従業員あたり受注高 | 144.3(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑰ 従業員あたり売上高 | 134.7(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑱ 従業員あたり繰越高 | 205.8(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑲ 従業員あたり営業利益 | 3.7(百万円/人) | ④÷⑦ |
注1)前田建設工業はインフロニア・ホールディングスの値を採用して作成。
注2)値は「単独」に基づく。
注3)フジタの繰越高は弘文社による推計値
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点からゼネコン大手23社の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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