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清水建設の状況|スーパーゼネコンの状況把握【2025年版】

【業績から把握する清水建設|2025年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである清水建設について紹介していきます。具体的には、2025年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2024年度における清水建設の受注高は1兆4042億円と前年度から約24.2%減少しました。受注高は2015年度の1兆3419億円より3年連続の増加傾向で推移し、2018年度には1兆7255億円と直近の10年間で最も高い水準になりました。そして、2019年度から2年連続で減少した後、2021年度の1兆5435億円まで大きく増加したものの、2022年度は減少に転じています。2023年度の受注高の水準は、底となっていた2012年度の水準と比較して約59.7%高い水準であり、過去13年間で最も高い水準となりましたが、2024年度は大きく減少に転じていることが分かります。(下図参照)


    清水建設の受注高


    続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約74.7%を占めている一方、土木工事は16.3%となっております。(下図参照)


    清水建設の受注高内訳構成


    スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約78%であることを踏まえると、清水建設は、建築工事と土木工事のバランスがスーパーゼネコンの平均と比べ、土木工事の割合が若干高いゼネコンであると言えます。

    2. 売上高の状況


    次に、2024年度における売上高は1兆5015億円と前年度より約4.8%の減少となりました。売上高は2011年度の1兆1849億円から2015年度の1兆4068億円まで4年連続で増加した後、2017年度の1兆2626億円まで2年連続で減少しています。その後、2019年度には1兆4176億円と直近の10年間で最も高い水準まで増加しました。2020年度は1兆2500億円の水準まで大きく減少したものの、2021年度から3年連続で増加し、2023年度は過去13年間で最も高い水準となりました。2024年度は減少に転じましたが、1兆5000億円を超える高い水準を維持しています。(下図参照)


    清水建設の売上高



    3. 繰越高の状況


    続いて、2024年度における清水建設の繰越高は2兆3283億円と前年度から約4.0%の減少となりました。繰越高は増加傾向で推移し、2018年度には2兆1385億円まで増加しました。繰越高は2019年度から2年連続で減少した後、2021年度に直近の10年間で最も高い2兆1928億円まで増加しました。2022年度は減少に転じましたが、2023年度は過去13年間で最も高い水準となりました。2024年度の繰越高の水準は、底であった2012年度の1兆1984億円と比較して約94.3%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)


    清水建設の繰越高


    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2024年度における清水建設の手持ち工事月数は18.6ヵ月となりました。手持ち工事月数は、2019年度から2年連続で増加し、2021年度は過去10年間で最も高い水準となった20.4ヵ月まで増加しましたが、2022年度は大きく減少し、2024年度まで2年連続で増加に転じています。(下図参照)


    清水建設の手持ち工事月数


    これは、2021年度から2022年度にかけて、売上高の変動率が繰越高の変動率を上回り、2022年度から2024年度にかけては売上高の変動率が繰越高の変動率を下回っていることを示しています。具体的に、2021年度から2022年度にかけて売上高は約21.0%増加しているのに対して、繰越高は約1.9%の減少でした。

    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2024年度における清水建設の営業利益は440億円と前年度の-502億円より増加しました。営業利益は、2018年度から2年連続で増加して2019年度には1153億円と、直近の10年間で最も高い水準となりましたが、そこから4年連続で大きく減少していることが読み取れます。2024年度は2021年度を上回る水準まで増加していることが分かります。(下図参照)


    清水建設の営業利益と営業利益率


    また、2024年度の営業利益率は2.9%と前年度より6.1%上昇しました。営業利益率は2012年度の0.2%を底として2017年度の8.6%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度は8.1%と6年振りに下落しています。その後、2019年度は横ばいで推移し、2020年度からは営業利益の推移と同様に4年連続で下落したものの、2024年度は2021年度を上回る水準まで上昇していることが分かります。

    5. 従業員の状況


    2024年度における清水建設の従業員数は11,163人となっています。2011年度の10,776人より2018年度の10,336人まで7年連続の穏やかな減少傾向で推移していましたが、2019年度から6年連続で増加していることが読み取れます。(下図参照)


    清水建設の従業員の状況


    続いて、2024年度における従業員の平均年齢は43.7歳、平均勤続年数は16.0年、平均年収は1012万円でした。

    さらに清水建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約125.8(百万円/人)、134.5(百万円/人)、208.6(百万円/人)、3.9(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)


    清水建設の従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【清水建設の状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高1兆4042億円
    ② 売上高1兆5015億円
    ③ 繰越高2兆3283億円
    ④ 営業利益440億円
    ⑤ 営業利益率2.9%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数18.6ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数11,163人
    ⑧ 平均年齢43.7歳
    ⑨ 平均勤続年数16.0年
    ⑩ 平均年収1011.6万円
    ⑪ 従業員あたり受注高125.8(百万円/人)①÷⑦
    ⑫ 従業員あたり売上高134.5(百万円/人)②÷⑦
    ⑬ 従業員あたり繰越高208.6(百万円/人)③÷⑦
    ⑭ 従業員あたり営業利益3.9(百万円/人)④÷⑦
    ⑮ 受注高(建築)1兆0483億円
    ⑯ 受注高(土木)2287億円
    ⑰ 受注高(その他)1272億円① -(⑮+⑯)
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2025年3月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである清水建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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