戸田建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2024年版】
【業績から把握する戸田建設|2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである戸田建設について紹介していきます。具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2023年度における戸田建設の受注高は5,234億円と前年度から約17.4%の増加となりました。受注高は2016年度の4786億円から、2017年度の4495億円まで若干減少した後、2018年度には過去10年間で最も高い水準となった5,492億円まで大きく増加しました。そこから2020年度の4,289億円まで2年連続で減少した後、2021年度は4,731億円まで増加しましたが、2022年度から増加に転じています。また、2023年度の水準は底であった2012年度の3,468億円と比較すると50.9%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約72.2%、土木工事が約23.5%を占めていることが分かります。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、戸田建設は建築工事と土木工事のバランスが、準大手ゼネコンの平均と比べて、建築工事の割合が大きいゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2023年度における売上高は4,231億円と前年度より約9.1%の減少となりました。売上高は2014年度の3,838億円まで減少傾向で推移した後、2015年度の4,635億円まで増加しました。その後、売上高は、2016年度の3,996億円まで減少したものの、過去10年間で最も高い水準となった2019年度の4,714億円まで3年連続の増加傾向で推移しました。そこから、2021年度の4,518億円まで2年連続で減少した後、2022年度は増加に転じましたが、2023年度は再び減少に転じています。また、この2023年度における売上高の水準は、底であった2014年度と比較して約10.2%高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2023年度における戸田建設の繰越高は8,189億円と前年度から約13.9%の増加となりました。繰越高は2015年度の5,328億円から4年連続の増加傾向で推移し、2019年度には7,512億円と直近の10年間で最も高い水準となっています。そこから、2020年度の7,188億円まで減少した後、2021年度の7,385億円まで増加しましたが、2022年度は再び減少へ転じ、2023年度は再び増加へ転じています。また、この2023年度の水準は、底であった2012年度の4,507億円と比較して約81.7%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が依然として高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2023年度における戸田建設の手持ち工事月数は23.2ヵ月と、2022年度の18.5ヵ月から増加しています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2023年度における戸田建設の営業利益は129億円と前年度より約35.8%の増加となりました。営業利益は2012年度の-485億円から2019年度の326億円まで7年連続の長期的な右肩上がりの増加傾向で推移していましたが、2020年度から4年連続で減少していることが読み取れます。(下図参照)
また、2023年度の営業利益率は3.1%でした。営業利益率は損益となった2012年度を底として2017年度の7.2%まで継続的に上昇傾向で推移した後、2018年度は6.9%と下落へ転じました。その後、営業利益率は、2019年度まで横ばいで推移しましたが、2020年度からは営業利益の減少を反映する形で、3年連続で下落し、2023年度は上昇へ転じています。
5. 従業員の状況
2023年度における戸田建設の従業員数は4,231人と2015年度の3,823人から8年連続の穏やかな増加傾向で推移していることが読み取れます。また、この2023年度の従業員数は過去13年間で最も高い水準となっています。(下図参照)
続いて、2023年度における従業員の平均年齢は44.1歳、平均勤続年数は18.7年、平均年収は841.1万円でした。
さらに戸田建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約123.7(百万円/人)、100.0(百万円/人)、193.6(百万円/人)、3.1(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【戸田建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 5,234億円 | |
② 売上高 | 4,231億円 | |
③ 繰越高 | 8,189億円 | |
④ 営業利益 | 129億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.1% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 23.2ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 4,231人 | |
⑧ 平均年齢 | 44.1歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 18.7年 | |
⑩ 平均年収 | 841.1万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 123.7(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 100.0(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 193.6(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 3.1(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 3,778億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1,230億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 226億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである戸田建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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