建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?-建設統計からみた建設市場(2)

建設統計からみた建設市場シリーズ、前回のコラム では2016年の建設市場を「建築需要」と「建築費」の観点より解説しました。今回のコラムでは、国交省より発表された「建設工事受注動態統計調査(全国)」「建設工事受注動態統計調査(大手50社)」「建設総合統計」などの調査から16年の建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」について「全国」と「大手50社」の観点より解説していきます。

建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?-建設統計からみた建設市場(2)

16年の受注高は対前年比4.0%程度の増加に!


①全国の受注高は10年の2倍の水準へ
全国における16年の受注高は58.2兆円となり前年比で約4.6%増(約2.5兆円増)でした。増加の内訳としては、民間発注工事が2.0兆円の増加(建築工事1.4兆円増、土木工事0.6兆円増)、公共発注工事が0.5兆円の増加(建築工事0.1兆円減、土木工事0.6兆円増)となり、民間発注工事の増加による影響が大きいことが分かります。また、この水準は、受注高の水準が過去最低であった10年の2倍の水準であり、同年より毎年増加しております。(下図1参照)


受注高(兆円)|全国


②大手50社の受注高は09年の1.5倍の水準へ
一方、大手50社の受注高は14.7兆円と前年比で約4.1%の増加(約0.6兆円増)でした。内訳としては、国内における民間発注工事と公共発注工事がそれぞれ0.34兆円、0.33兆円の増加、海外での受注工事が0.1兆円程度の減少となりました。国内外を合わせた建築工事と土木工事では、いずれも約0.3兆円程度の増加となっています。この16年の水準は、受注高の水準が過去最低であった09年の約1.5倍の水準であり、同年より毎年順調に増加しております。(下図2参照)
※「大手50社」についてはこちらにおける「建設業者規模」の解説を参照


受注高(兆円)|大手50社


16年の施工高は前年比で伸び悩む結果に!


①全国の施工高は概ね横ばいに
全国における16年の施工高は51.3兆円と前年比約0.4%増(約0.2兆円増)と伸び悩み概ね前年と同程度の水準でした。この水準は、施工高の水準が直近で最低であった11年の水準と比較して約22%高い水準で毎年増加傾向にある一方、10年より2倍の水準へと急増した受注高の増加率と比較して大きく伸びていないことが読み取れます。(下図3参照)
※「施工高」についてはこちらにおける「完成工事高」の解説を参照


施工高(兆円)|全国


②大手50社の施工高は前年比でマイナイスに
大手50社では施工高は13.4兆円と前年比約5.0%減(約0.7兆円減)と前年より減少する結果となりました。この水準は施工高の水準が直近で最低であった11年の水準と比較して約28%高い水準ですが、09年と比較して約1.5倍の水準へと増加した受注高の増加率と比較して伸び率が小さいことが分かります。(下図4参照)


施工高(兆円)|大手50社


結果として16年の未消化工事高は大きく増加へ!


①全国の未消化工事高は前年比で約11%の増加へ
全国における16年の未消化工事高は、受注高が大きく増加したものの施工高が概ね横ばいとなった影響を受け、結果として31.4兆円と前年比約10.9%増(約3.1兆円増)と大きく増加しました。この水準は、未消化工事高の水準が直近で最低であった10年の水準と比較して約54%高い水準で毎年増加しており、受注したものの施工できていない手持ち工事の量が増加傾向にあることが分かります。(下図5参照)
※「未消化工事高」についてはこちらにおける「未消化工事高」の解説を参照


未消化工事高(兆円)|全国


②大手50社の未消化工事高は前年比で約8.2%増に
大手50社における未消化工事高は15.3兆円と前年比約8.2%増(約1.2兆円増)と大きく増加しました。これは、全国における未消化工事高と同様に、大手50社における受注高が増加している一方で、施工高が伸び悩んだ影響を受けております。この16年の水準は未消化工事高の水準が過去最低であった10年の水準と比較して約42%高い水準であり、これら大手50社が消化しきれていない工事量がこの6年間で大きく増加していることが読み取れます。(下図6参照)


未消化工事高(兆円)|大手50社



「建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?

「関連記事①-面白いほどよくわかる建設市場-需要編」はこちらから↓
(1)主力とするターゲットや商品開発を建設需要から導こう!
(2)知りたい情報に辿り着ける3つのアプローチ!
(3)簡単に無料で手に入る「統計データ」を積極的に活用しよう!
(4)需要の傾向を読み解いて市場の先行きを考えよう!
(5)「影響要因」を把握して説得力のある需要予測を導き出そう!

「関連記事②-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
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「関連記事③-面白いほどよくわかる建設市場-価格編」はこちらから↓
(1)「建築費」とは!?と聞かれたら!
(2)「建築費」ってどうやって算出されるの!?
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(4)「建築費」に影響を与える要因とは!?
(5)「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチとは!?

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(1)「建設市場」は「予想」でなく「予測」しよう!
(2)建築費が高騰/下落する仕組みとは!?
(3)建築費がいつ頃下落するか予測しよう!

「関連記事⑤-海外建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?
(2)世界の建設市場における労務費を比べてみる!
(3)世界における建設市場規模はどの程度か!?

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