飛島建設の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2024年版】
【業績から把握する飛島建設|2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである飛島建設について紹介していきます。具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2023年度における飛島建設の受注高は1,114億円と前年度から約6.7%の増加となりました。受注高は2017年度の1,224億円から過去10年間で最も高い水準となった2018年度の1,517億円まで大きく増加しています。そして、2019年度の1,067億円まで減少した後、2020年度の1,250億円まで増加したものの、2021年度から2年連続で減少していることが読み取れます。一方で、2023年度は僅かに増加に転じました。この2023年度の水準は、この2011年度の1,003億円と比較すると約11.1%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約49.8%、土木工事が約49.1%となっており、5割近くを土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約56%であることを踏まえると、飛島建設は中堅ゼネコンの中でも土木工事の比重が比較的高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2023年度における売上高は1,158億円と前年度より約2.3%の増加となりました。売上高は、2014年度から2016年度までは1,150億円前後の水準で推移し、2017年度に直近10年間で最も高い1,282億円の水準まで増加しました。そして売上高は、2019年度まで概ね1,230億円程度で推移した後、2021年度の1,057億円まで2年連続で減少しましたが、2022年度から増加に転じています。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2023年度における飛島建設の繰越高は1,978億円と前年度から約2.2%減少しました。繰越高は、2016年度の1,762億円まで増加傾向で推移した後、2017年度の1,704億円まで減少したものの、2018年度は1,990億円まで増加しました。そこから、2019年度に1,822億円まで減少した後、2021年度の2,110億円まで2年連続で増加しましたが、2022年度から2年連続で減少していることが読み取れます。また、2023年度の水準は、底となった2012年度の水準と比較して約65.9%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2023年度における飛島建設の手持ち工事月数は20.5ヵ月と、直近10年間で最も高い水準となった2021年度の23.9ヵ月から2年連続で減少しています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2023年度における飛島建設の営業利益は42億円と前年度より約27.3%増加しました。営業利益は、2012年度の13億円から2015年度の61億円まで3年連続で増加した後、2016年度の54億円まで減少しましたが、2017年度に過去10年間で最も高い83億円まで増加しました。そして営業利益は、2020年度に36億円と2019年度の73億円から半減した後、2021年度は若干の増加となったものの、2022年度は再び減少し、2023年度は増加に転じていることが分かります。(下図参照)
また、2023年度の営業利益率は3.7%でした。営業利益率は、営業利益の推移と非常に類似した形で、2017年度に過去最高の6.4%となった後、2018年度の5.5%まで下落ましたが、2019年度は上昇に転じています。そこから、2020年度に3.4%と下落した後、2021年度の3.6%まで上昇したものの、2022年度に再び下落し、2023年度には上昇に転じています。
5. 従業員の状況
2023年度における飛島建設の従業員数は1,274人でした。従業員数は2013年度の1,142人より2021年度の1,324人まで8年連続の増加傾向で推移していましたが、2022年度以降は減少していることが読み取れます。(下図参照)
また、2023年度における従業員の平均年齢は44.8歳、平均勤続年数は18.7年、平均年収は841.5万円でした。
さらに飛島建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約87.4(百万円/人)、90.9(百万円/人)、155.2(百万円/人)、3.3(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【飛島建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1,114億円 | |
② 売上高 | 1,158億円 | |
③ 繰越高 | 1,978億円 | |
④ 営業利益 | 42億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.7% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 20.5ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1,274人 | |
⑧ 平均年齢 | 44.8歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 18.7年 | |
⑩ 平均年収 | 841.5万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 87.4(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 90.9(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 155.2(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 3.3(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 554億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 547億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 12億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである飛島建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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