三井住友建設の状況｜準大手ゼネコンの状況把握【2024年版】｜アーキブック

【業績から把握する三井住友建設｜2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである三井住友建設について紹介していきます。具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。

• 1. 受注高の状況


• 2. 売上高の状況


• 3. 繰越高の状況


• 4. 営業利益と営業利益率の状況


• 5. 従業員の状況


• 参考｜主要データ一覧



1. 受注高の状況


まず、2023年度における三井住友建設の受注高は2,407億円と前年度から約25.8%の減少となりました。受注高は、2011年度の2,630億円から2014年度の3,561億円まで増加傾向で推移した後、2017年度まで3,500億円前後で推移していました。そして、2018年に5,652億円と前年比で6割以上増加した後、2021年度の3,096億円まで3年連続で減少しましたが、2022年度は増加に転じ、2023年度は再び減少に転じています。また、この2023年度の水準は2011年度の水準と比較して約8.5%低い水準となり、過去13年間で最も低い水準となっていることが分かります。（下図参照）







続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約45.7%を占めている一方、土木工事は54.3%となっております。（下図参照）







準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、三井住友建設は準大手ゼネコンの中でも特に土木工事の比重が高いゼネコンであると言えます。



2. 売上高の状況


次に、2023年度における売上高は3,372億円と前年度より約0.1%の減少となりました。売上高は、2015年度の3,208億円まで増加傾向で推移した後、2016年度は3,057億円まで減少しましたが、過去10年間で最も高い水準となった2019年度の3,694億円まで3年連続で増加しました。その後、売上高は、2021年度の3,044億円まで2年連続で減少していましたが、2022年度に増加に転じ、2023年度は概ね横ばいで推移していることが読み取れます。（下図参照）










3. 繰越高の状況


続いて、2023年度における三井住友建設の繰越高は5,983億円と前年度から約13.9%の減少となりました。繰越高は、2011年度の3,039億円から2018年度の7,385億円まで7年連続で増加していました。そこから繰越高は、2019年度に7,076億円まで減少した後、2022年度まで4年連続で7000億円前後と概ね横ばい傾向で推移していましたが、2023年度には大きく減少しています。この2023年度の繰越高の水準は、2011年度の水準と比較して約2倍高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量は非常に高い水準にあることが分かります。（下図参照）







ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

2023年度における三井住友建設の手持ち工事月数は21.3ヵ月と、2021年度の27.9ヵ月から2年連続で減少していることが分かります。（下図参照）










4. 営業利益・営業利益率の状況


2023年度における三井住友建設の営業利益は34億円となりました。営業利益は2013年度の17億円から4年連続の増加傾向で2017年度の253億円まで推移しましたが、その後は2018年度から5年連続で減少していることが読み取れます。（下図参照）







一方、2022年度の営業利益率は-6.8%でした。営業利益率は、営業利益の推移と同様に、2013年度の0.6%を底として2017年度の8.0%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度から2022年度まで5年連続で減少し、2023年度は上昇に転じています。



5. 従業員の状況


2023年度における三井住友建設の従業員数は4,406人と前年より400人程度減少しています。従業員数は2012年度の2,558人から2021年度の5,355人まで9年連続の増加傾向で推移していましたが、2022年度から減少に転じていることが読み取れます。また、2023度の水準を2013年度と比較すると、2年連続で減少したものの、この10年間で約1,800人以上も増加していることが分かります。（下図参照）







続いて、2023年度における従業員の平均年齢は46.1歳、平均勤続年数は20.9年、平均年収は888.5万円でした。

さらに、三井住友建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約54.6（百万円/人）、76.5（百万円/人）、135.8（百万円/人）、0.8（百万円/人）となっています。（下図参照）










参考｜主要データ一覧


ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

【三井住友建設の状況｜主要データ一覧】


項目	値	備考
① 受注高	2,407億円
② 売上高	3,372億円
③ 繰越高	5,983億円
④ 営業利益	34億円
⑤ 営業利益率	1.0%	④÷②
⑥ 手持ち工事月数	21.3ヵ月	③÷②×12ヵ月
⑦ 従業員数	4,406人
⑧ 平均年齢	46.1歳
⑨ 平均勤続年数	20.9年
⑩ 平均年収	888.5万円
⑪ 従業員あたり受注高	54.6（百万円/人）	①÷⑦
⑫ 従業員あたり売上高	76.5（百万円/人）	②÷⑦
⑬ 従業員あたり繰越高	135.8（百万円/人）	③÷⑦
⑭ 従業員あたり営業利益	0.8（百万円/人）	④÷⑦
⑮ 受注高（建築）	1,101億円
⑯ 受注高（土木）	1,306億円
⑰ 受注高（その他）	0億円	① －（⑮＋⑯）

出典｜有価証券報告書、決算短信等に基づいて作成（2024年3月末時点）
注）値は「単独」に基づく。

以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである三井住友建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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