鹿島建設の状況|スーパーゼネコンの状況把握【2024年版】
【業績から把握する鹿島建設|2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである鹿島建設について紹介していきます。具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2023年度における鹿島建設の受注高は1兆9,440億円と前年度から約26.6%の増加となりました。受注高は、2017年度に1兆2,001億円まで減少した後、2018年度には1兆4,444億円まで増加したものの、2019年度に1兆1,821億円の水準まで減少しています。(下図参照)
そして、受注高は、2020年度の1兆2652億円に増加した後、2021年度の1兆2134億円まで減少しましたが、2022年度は再び増加に転じています。また、2023年度の水準は、この13年間で最も高い水準であり、底となった2012年度の1兆536億円と比較して、約84.5%高い水準にあることが分かります。
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約69.9%を占めている一方、土木工事は23.1%となっております。(下図参照)
スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約75%であることを踏まえると、鹿島建設はスーパーゼネコンの平均と比べ建築工事の割合が若干小さなゼネコンであることが分かります。
2. 売上高の状況
次に、2023年度における売上高は1兆5,530億円と前年度より約8.4%の増加となりました。売上高は2013年度の1兆460億円から2016年度の1兆2,038億円まで増加傾向で推移した後、2017年度は1兆1,652億円まで若干減少しています。(下図参照)
また、売上高は、2019年度の1兆3,051億円まで2年連続で増加した後、2020年度は減少しましたが、2021年度から3年連続で増加していることが読み取れます。この2023年度の水準は、直近の13年間で最も高い水準となっており、底となっていた2013年度の水準と比較すると、約48.4%高い水準にあることが分かります。
3. 繰越高の状況
続いて、2023年度における鹿島建設の繰越高は2兆2,798億円と前年度から約20.7%の増加となりました。繰越高は、底であった2012年度の1兆2,292億円から2018年度の1兆9,165億円まで6年連続の継続的な増加傾向で推移した後、2019年度の1兆7,935億円まで減少しました。そして、2020年度の1兆8,691億円から2021年度の1兆7,858億円まで減少した後、2022年度は増加に転じています。(下図参照)
また、この2023年度の水準は底であった2012年度の水準と比較して約85.5%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が高い水準にあることが分かります。
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2023年度における鹿島建設の手持ち工事月数は17.6ヵ月でした。この2023年度の手持ち工事月数は、直近の10年間で最も高い水準となった2020年度の18.9ヶ月から約1.3ヵ月の減少となっています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2023年度における鹿島建設の営業利益は950億円と前年度より約14.2%増加しました。営業利益は、2014年度の-181億円から2017年度の1352億円まで3年連続で増加した後、2021年度の811億円まで4年連続で減少していましたが、2022年度は若干ながら増加に転じたことが読み取れます。(下図参照)
また、2023年度の営業利益率は6.1%となりました。営業利益率は、営業利益の変動を反映する形で、2014年度を底として3年連続で2017年度の11.6%まで上昇した後、2019年度まで2年連続で下落していました。2020年度の営業利益率は、営業利益が減少したものの、上昇しましたが、その後は2021年度から2年連続で下落していることが分かります。また、2023年度は上昇に転じています。
5. 従業員の状況
2023年度における鹿島建設の従業員数は10,321人と2014年度より9年連続の増加傾向で推移しています。(下図参照)
続いて、2023年度における従業員の平均年齢は43.7歳、平均勤続年数は17.9年、平均年収は1,178万円でした。
さらに鹿島建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約188.4(百万円/人)、150.5(百万円/人)、220.9(百万円/人)、9.2(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【鹿島建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1兆9,440億円 | |
② 売上高 | 1兆5,530億円 | |
③ 繰越高 | 2兆2,798億円 | |
④ 営業利益 | 950億円 | |
⑤ 営業利益率 | 6.1% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 17.6ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 10,321人 | |
⑧ 平均年齢 | 43.7歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 17.9年 | |
⑩ 平均年収 | 1,178万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 188.4(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 150.5(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 220.9(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 9.2(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 13,585億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 4,485億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 1,370億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである鹿島建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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