戸田建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2019年版】
【業績から把握する戸田建設|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである戸田建設について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度における戸田建設の受注高は5492億円と前年度から約22.2%の増加となりました。受注高は2015年度より2016年度の4786億円まで増加傾向で推移しました。その後2017年度に4495億円まで若干減少した後、2018年度は大きく増加しています。この2018年度の水準は底であった2012年度の水準と比較すると58.4%高い水準にあり、この6年間で非常に大きく増加していることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約69.5%、土木工事が約28.4%を占めていることが分かります。(下図参照)
準大手ゼネコン9社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、戸田建設は準大手ゼネコンの中でも若干ながら建築工事の比重が大きいゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は4681億円と前年度より約16.9%の増加となりました。売上高は2012年度から2014年度の3838億円まで減少傾向で推移した後、2015年度に4635億円へ増加しましたが、2016年度に再び減少しています。その後は2018年度まで2年連続の増加傾向で推移し、直近の8年間で最も高い水準となりました。この2018年度における売上高の水準は、底であった2014年度と比較して約22.0%高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度における戸田建設の繰越高は7422億円と前年度から約12.3%の増加となりました。繰越高は2015年度より3年連続の増加傾向で推移しています。そして、この2018年度の水準は2012年度の水準と比較して約64.7%と非常に高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この6年間で大きく増加したことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度における戸田建設の手持ち工事月数は19.0ヵ月と2017年度における19.8ヵ月より若干低い水準となりました。しかしながら、この水準は直近の8年間では2番目に高い水準であり、依然として高水準にあることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度における営業利益は322億円と前年度より約11.2%の増加となりました。戸田建設の営業利益は2012年度から2018年度まで6年連続の長期的な右肩上がりの増加傾向で推移して、この8年間で最も高い水準となっています。また、この2018年度の水準は損益となった2012年度と比較すると約795億円高い水準となっており、この6年間で非常に大きく増加したことが読み取れます。(下図参照)
一方、2018年度の営業利益率は6.9%でした。営業利益率は2012年度を底として2017年度の7.2%まで継続的に上昇傾向で推移していましたが、2018年度は一転して6年振りの下落となっています。これは、営業利益は増加したものの、売上高の増加率が営業利益の増加率を上回った為です。
5. 従業員の状況
2018年度における戸田建設の従業員数は4078人と2015年度より3年連続の穏やかな増加傾向で推移していることが読み取れます。この2018年度の従業員数は2012年度と近い水準にあり、大きな目で見た場合には、この8年間で概ね3900人から4000人前後の水準で推移していることが分かります。(下図参照)
続いて、2018年度における従業員の平均年齢は44.3歳、平均勤続年数は19.1年、平均年収は914.8万円でした。
さらに戸田建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約134.7(百万円/人)、114.8(百万円/人)、182.0(百万円/人)、7.9(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【戸田建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 5492億円 | |
② 売上高 | 4681億円 | |
③ 繰越高 | 7422億円 | |
④ 営業利益 | 322億円 | |
⑤ 営業利益率 | 6.9% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 19.0ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 4078人 | |
⑧ 平均年齢 | 44.3歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.1年 | |
⑩ 平均年収 | 914.8万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 134.7(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 114.8(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 182.0(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 7.9(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 3817億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1559億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 116億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである戸田建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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