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三井住友建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2019年版】

【業績から把握する三井住友建設|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである三井住友建設について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2018年度における三井住友建設の受注高は5652億円と前年度から約60.9%の大幅な増加となりました。受注高は2011年度から2014年度まで増加傾向で推移し、その後は2017年度まで3500億円前後の水準で推移していました。しかしながら、2018年に前年比6割以上の急増となっています。この2018年度の水準は2011年度の水準と比較して約94.5%と2倍近い高い水準にあり、この7年間で飛躍的に増加していることが分かります。(下図参照)


    三井住友建設の受注高


    続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約64.2%を占めている一方、土木工事は35.8%となっております。(下図参照)


    三井住友建設の受注高内訳構成


    準大手ゼネコン9社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、三井住友建設は準大手ゼネコンの中でも建築工事と土木工事のバランスが平均的なゼネコンであると言えます。

    2. 売上高の状況


    次に、2018年度における売上高は3501億円と前年度より約10.7%の増加となりました。売上高は2011年度から2015年度まで継続的な増加傾向で推移した後、2016年度に若干減少したものの、その後は再び増加傾向で推移し、2018年度における水準は直近8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)


    三井住友建設の売上高



    3. 繰越高の状況


    続いて、2018年度における三井住友建設の繰越高は7385億円と前年度から約41.1%の大幅な増加となりました。また、繰越高は2011年度より7年連続で継続的に増加している傾向にあることが読み取れます。この2018年度の繰越高の水準は2011年度の水準と比較して約143.0%と2.4倍以上高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この7年間で非常に大きく増加していることが分かります。(下図参照)


    三井住友建設の繰越高


    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2018年度における三井住友建設の手持ち工事月数は25.3ヵ月と2017年度における19.9ヵ月から飛躍的に高い水準へとなっていることが読み取れます。この水準は過去8年間で最も高い水準となっており、2011年度の水準と比較すると約7割以上も高い水準にあることが分かります。(下図参照)


    三井住友建設の手持ち工事月数



    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2018年度における営業利益は237億円と前年度より約6.5%の減少となりました。三井住友建設の営業利益は2013年度から4年連続の増加傾向で2017年度の253億円まで推移しましたが、2018年度には5年ぶりの下落となっていることが読み取れます。(下図参照)


    三井住友建設の営業利益と営業利益率


    一方、2018年度の営業利益率は6.8%でした。営業利益率は2013年度の0.6%を底として2017年度の8.0%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度には6年振りの下落となっています。

    5. 従業員の状況


    2018年度における三井住友建設の従業員数は3433人と2012年度より6年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。また、2012年度の2558人と比較すると、この6年間で約34.2%と大きく増加していることが分かります。(下図参照)


    三井住友建設の従業員の状況


    続いて、2018年度における従業員の平均年齢は46.3歳、平均勤続年数は21.5年、平均年収は836.9万円でした。

    さらに三井住友建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約164.6(百万円/人)、102.0(百万円/人)、215.1(百万円/人)、6.9(百万円/人)となっています。(下図参照)


    三井住友建設の従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【三井住友建設の状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高5652億円
    ② 売上高3501億円
    ③ 繰越高7385億円
    ④ 営業利益237億円
    ⑤ 営業利益率6.8%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数25.3ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数3433人
    ⑧ 平均年齢46.3歳
    ⑨ 平均勤続年数21.5年
    ⑩ 平均年収836.9万円
    ⑪ 従業員あたり受注高164.6(百万円/人)①÷⑦
    ⑫ 従業員あたり売上高102.0(百万円/人)②÷⑦
    ⑬ 従業員あたり繰越高215.1(百万円/人)③÷⑦
    ⑭ 従業員あたり営業利益6.9(百万円/人)④÷⑦
    ⑮ 受注高(建築)3630億円
    ⑯ 受注高(土木)2022億円
    ⑰ 受注高(その他)0億円① -(⑮+⑯)
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2019年3月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである三井住友建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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