東急建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2019年版】
【業績から把握する東急建設|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである東急建設について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度における東急建設の受注高は2631億円と前年度から約9.7%の減少となりました。受注高は2015年度より2017年度まで概ね2900億円前後の水準で推移していましたが、そこから1割程度下落したことが読み取れます。一方、この2018年度の水準は2012年度の水準と比較すると約28.3%高い水準にあり、6年前の状況と比較すると依然として高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約70.4%、土木工事が約29.6%を占めていることが分かります。(下図参照)
準大手ゼネコン9社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、東急建設は準大手ゼネコンの中でも若干建築工事の比重が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は3099億円と前年度より約0.8%と若干の減少となりました。売上高は2013年度より2015年度の2885億円まで増加傾向で推移した後、2016年度に2363億円の水準まで下落しています。その後、2017年度に3125億円まで急増しましたが、2018年度に再び下落した形になります。但し、この2018年度の水準は2013年度と比較して約40.8%高い水準にあり、この5年間で大きく増加したことが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度における東急建設の繰越高は3533億円と前年度から約11.4%の減少となりました。繰越高は2012年度より4年連続の増加傾向で推移し、2016年度の時点では4183億円の水準にありました。その後、2年連続で落ち込み減少傾向で推移しています。しかしながら、この2018年度の水準は2012年度の水準と比較して約71.4%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、依然として高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度における東急建設の手持ち工事月数は13.7ヵ月と2017年度における15.3ヵ月より低い水準となりました。また、直近8年間でみた場合に底となった2012年度の11.2ヵ月よりは若干高い水準にあるものの、この8年間では3番目に低い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度における営業利益は198億円と前年度より約7.7%の減少となりました。東急建設の営業利益は2012年度から2015年度まで増加傾向にありましたが、2016年度に若干の減少となりました。その後、2017年度に215億円まで増加したものの、今回再び減少した形となっています。(下図参照)
一方、2018年度の営業利益率は6.4%でした。営業利益率は2012年度の0.4%を底として2016年度の7.2%まで4年連続の継続的な上昇傾向で推移していましたが、営業利益の減少傾向を反映するように2018年度までに2年連続の下落となっています。
5. 従業員の状況
2018年度における東急建設の従業員数は2695人と2017年度より若干減少しましたが、大きな目では、2015年度からは概ね2650人前後の横ばい傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
続いて、2018年度における従業員の平均年齢は45.8歳、平均勤続年数は20.7年、平均年収は935.9万円でした。
さらに東急建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約97.6(百万円/人)、115.0(百万円/人)、131.1(百万円/人)、7.3(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【東急建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 2631億円 | |
② 売上高 | 3099億円 | |
③ 繰越高 | 3533億円 | |
④ 営業利益 | 198億円 | |
⑤ 営業利益率 | 6.4% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 13.7ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 2695人 | |
⑧ 平均年齢 | 45.8歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 20.7年 | |
⑩ 平均年収 | 935.9万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 97.6(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 115.0(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 131.1(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 7.3(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1853億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 778億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである東急建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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