ゼネコン大手22社の状況|ゼネコン規模別の状況把握【2019年版】
【業績から把握するゼネコン大手22社|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点から、ゼネコン大手22社の状況について紹介していきます。
具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに以下の点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度におけるゼネコン大手22社の受注高は平均で5635億円と前年度から約8.9%の増加となりました。受注高は2011年度から2014年度の5257億円まで増加傾向で推移した後、2015年度に4970億円まで減少しています。(下図参照)
その後、2016年度から2017年度までは約5170億円と横ばいで推移し、2018年度はそこから約460億円増加して、過去8年間で見た場合に最も高い水準となっています。また、この2018年度の水準は底となった2011年度の水準と比較してみると約43.7%高い水準にあり、この7年間で4割以上も増加していることが分かります。
ここで、ゼネコン大手22社の業界シェアを受注高ベースで見てみると、建設業全体のうちゼネコン大手22社で占める割合は20.6%となっております。(下図参照)
国内の建設業者数が約46万5000社であることを踏まえると、ゼネコン大手22社で占める業界シェアは非常に大きな水準にあり、建設需要に対してかなり強い影響力があると考えられます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度におけるゼネコン大手22社の売上高は平均で5148億円と前年度より約6.8%の増加となりました。売上高は2011年度の3957億円から2015年度の4825億円まで増加傾向で推移した後、2016年度の4680億円まで減少しました。(下図参照)
その後は、2018年度まで2年連続の増加傾向にあり、受注高と同様に過去8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。この2018年度の水準を底であった2011年度の水準と比較してみると、売上高はこの7年間で約30.1%と3割以上も増加していることが分かります。
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度におけるゼネコン大手22社の繰越高は平均で7516億円と前年度から約8.5%の増加となりました。繰越高は底であった2012年度の4560億円から2018年度まで6年連続で右肩上がりの増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
そして、この2018年度の水準は、2012年度の水準と比較して約64.8%も高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量がこの6年間で大きく積み上がることで、過去8年間で最高の水準となっていることが分かります。
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度におけるゼネコン大手22社の手持ち工事月数は17.5ヵ月と2015年度から3年連続の増加傾向で推移して、過去8年間で見た場合に最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度におけるゼネコン大手22社の営業利益は407億円と前年度より約6.2%減少しました。営業利益は底となっていた2012年度の1億円から2017年度の434億円まで5年連続の増加傾向にありましたが、今回6年ぶりに減少へと転じました。しかしながら、この2018年度の水準は、この8年間で2番目に高い水準にあり、前年度から僅かに減少したものの依然として高水準にあることが読み取れます。(下図参照)
また、2018年度の営業利益率は7.9%と前年度から1.1%下落しました。営業利益率は営業利益の推移を反映する形で2012年度を底として5年連続で2017年度の9.0%まで上昇した後、2018年度は下落へ転じていることが読み取れます。
5. 従業員の状況
2018年度におけるゼネコン大手22社の従業員数は平均で4070人と2013年度の3759人より5年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2018年度のゼネコン大手22社における従業員の平均年齢は43.7歳、平均勤続年数は18.2年、平均年収は966.6万円でした。
さらにゼネコン大手22社の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約138.4(百万円/人)、126.5(百万円/人)、184.6(百万円/人)、10.0(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
最後に、今回対象としたゼネコン大手22社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【対象としたゼネコン大手22社】
ゼネコン規模 | 会社名 |
スーパーゼネコン | 清水建設 大成建設 大林組 鹿島建設 竹中工務店 |
準大手ゼネコン | 五洋建設 長谷工コーポレーション 戸田建設 熊谷組 前田建設工業 西松建設 三井住友建設 安藤ハザマ 東急建設 |
中堅ゼネコン | 奥村組 鉄建建設 東洋建設 東亜建設工業 淺沼組 飛島建設 錢高組 大豊建設 |
【ゼネコン大手22社の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 12兆3977億円 | 22社の総額 |
② 売上高 | 11兆3259億円 | 22社の総額 |
③ 繰越高 | 16兆5347億円 | 22社の総額 |
④ 営業利益 | 8963億円 | 22社の総額 |
⑤ 営業利益率 | 7.9% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 17.5ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 8万9549人 | 22社の総数 |
⑧ 受注高(平均) | 5635億円 | ①÷22社 |
⑨ 売上高(平均) | 5148億円 | ②÷22社 |
⑩ 繰越高(平均) | 7516億円 | ③÷22社 |
⑪ 営業利益(平均) | 407億円 | ④÷22社 |
⑫ 従業員数(平均) | 4070人 | ⑦÷22社 |
⑬ 平均年齢 | 43.7歳 | 総年齢÷⑦ |
⑭ 平均勤続年数 | 18.2年 | 総年数÷⑦ |
⑮ 平均年収 | 966.6万円 | 総年収÷⑦ |
⑯ 従業員あたり受注高 | 138.4(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑰ 従業員あたり売上高 | 126.5(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑱ 従業員あたり繰越高 | 184.6(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑲ 従業員あたり営業利益 | 10.0(百万円/人) | ④÷⑦ |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点からゼネコン大手22社の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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