「建築費」ってどうやって算出されるの!?-面白いほどよくわかる建設市場-価格編(2)

建設業をわかりやすく解説する「面白いほどよくわかる建設市場」の「価格編」、第1回であった前回のコラムでは、「建築費」という用語が示す意味や本コラムにおける定義づけ、さらには「建築費」の中身について紹介しました。2回目である今回は「建築費」の一般的な算出方法にフォーカスして分かりやすく紹介していきたいと思います。

「建築費」ってどうやって算出されるの!?-面白いほどよくわかる建設市場-価格編(2)

「建築費」の算出方法を決める4つの「?」とは!


一般に「建築費」を算出する方法は、以下のイメージが示すように「誰が?」「いつ?」「目的は?」「精度は?」といった条件によって決定されます。


建設費の算出方法を決める4つの?とは


まず「誰が?」とは「建築費」を算出する立場が誰であるのかを指します。一般に「発注者」「設計者」「建設会社」などが挙げられますが、近年はプロジェクトをマネジメントする役割として「コンストラクションマネージャー」や「コストコンサルタント」といった役割を担う専門家がプロジェクトに参画して「発注者」に代わって「建築費」を算出するケースも増えてきています。

次に「いつ?」とはプロジェクトにおけるどの段階で「建築費」を算出するのかを指します。例えば、プロジェクトにおける設計の詳細が確定していない「企画」や「基本計画」の段階、ある程度設計の進んだ「基本設計」の段階、設計の詳細が確定する「実施設計」の段階といったように各段階で得られる情報量が異なる為、「いつ?」によって「建築費」の算出方法が異なります。

また「目的は?」とは、例えば「プロジェクトの予算を決める」「設計が予算に収まっているかを確認する」「入札における予定価格を決める」「見積金額や入札金額を決める」といったように「建築費」を算出する目的を指し、「精度は?」とは字の如く「凄く粗い精度」から「凄く高い精度」まで「建築費」を算出する時点や目的に応じて決定されます。

このように「建築費」を算出する際の諸条件によってその方法が異なりますが、大きくは「積算」と「概算」と呼ばれる方法に大別され、これらの方法について順次紹介していきます。

(1)積算とは!?


この方法は公共建築工事や民間の建築プロジェクトで「建築費」を算出する際に活用される方法の一つであり「設計図」や「仕様書」に基づいて細かく金額を算出することを意味します。主に「発注者」や「設計者」が「実施設計が終わった段階」でプロジェクトの最終的な予算として「入札における予定価格を決める目的」で活用されています。また、入札や見積合わせに参加する「建設会社」も「見積金額や入札金額を決定する目的」や「プロジェクトにおける予定価格を把握する目的」などで利用している方法です。

具体的な手法としては「設計図」や「仕様書」などから工事に必要となる資材や手間といった項目別に数量を拾い出し、これらの数量に単価を掛け合わせ項目別の金額を出した後、全ての項目における金額を積み上げて合計し算出されます。

この方法における特徴としては、基本的には設計の詳細が確定している「実施設計が完了した段階」で利用される算出方法である為「建築費」を求める上で「最も精度が高い」方法となります。一方、前述したように「設計図」や「仕様書」に基づいて細かく項目別に金額を算出する必要がある為、「建築費」を求めるのに膨大な「手間と時間」が必要となります。

また「建築費」を求めるプロセスにおいて「積算基準」と呼ばれる基準に基づいて数量が算出される場合があり、その場合は、数量算出方法が共通のルールに基づいているので、積算するのが誰であっても同じ数量が算出されるはずである点が特徴として挙げることができます。

なお、この「積算基準」については、国交省より「公共建築工事積算基準」として「公共建築数量積算基準」「公共建築設備数量積算基準」「公共建築工事共通費積算基準」などが公表されていますのでここで併せて紹介いたします。

(2)概算とは!?


一般に概算の意味そのものは「精密でなく大よその数量や金額を計算すること」であります。よって、「概算」は「建築費」を大まかに算出する方法を指す総称であり、人手や時間をかけて精密に「建築費」を算出する「積算」とは異なります。その為、その具体的な方法は、一度覚えてしまえば誰にでも簡単に利用することができる方法から、多くの経験や判断を必要とする方法まで数多く存在します。そして、数多く存在する方法より、先に挙げた「誰が?」「いつ?」「目的は?」「精度は?」などの条件によって最適な方法がその都度選択されるのです。

「概算」の特徴はその多様性にあり、様々な方法が「建築費」を算出する時点や目的に応じて活用されている点が挙げられます。例えば、プロジェクトの「企画段階」では「発注者」が「プロジェクト予算を決める目的」や「既に決められている予算に対してプロジェクトの企画として予算内に収まるか検討する目的」などで活用されます。一方、「設計者」は「基本計画段階」や「基本設計段階」で「現状の設計が発注者の予算を超過していないか確認する目的」や「既に設計が予算を超過していた場合に、現状の設計でどこにお金がかかっているのかを確認し、予算に収める設計を検討する目的」などで活用しています。

このように「概算」が利用されるプロジェクトの段階は「積算」と比較して詳細な設計が確定する前の段階であることが多いため、その「精度」は「積算」と比べると限界があり劣っていますが、その反面算出に必要となる人手や時間も少ないので、実務において多くのシーンで利用されています。

ここで、これまで紹介してきました「積算」と「概算」の特徴について以下のようにまとめてみます。


建設費を算出する積算と概算の特徴について


このように「建築費」を算出する方法を決定する「条件」について、また、その方法として「積算」と「概算」の特徴について紹介しました。次回のコラムでは「建築費」の「概算」を行う際の具体的な方法について紹介していきたいと思います。

「建築費」のPoint(2)
①「建築費」の算出方法を決める4つの「?」は「誰が?」「いつ?」「目的は?」「精度は?」
②「建築費」を算出する方法は大きく「積算」と「概算」に分類できる!
③「積算」は精度が高いが算出に手間時間がかかる!
④「概算」には様々な方法がある!
⑤「概算」の精度は限界があるが算出手間は「積算」と比べると少ない!

【算出という表現について】
「建築費」を求める際には「算出」ではなく「算定」という表現が用いられるのが一般的であります。しかしながら、本コラムでは「算出」という表現がより伝わり易く、文章が読み易くなると考え、本来「算定」と表現すべきである場合にも「算出」の表現を用いていることにここで触れておきます。

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「面白いほどよくわかる建設市場-価格編」はこちらから↓
(1)「建築費」とは!?と聞かれたら!
(2)「建築費」ってどうやって算出されるの!?
(3)実務で使われる「概算」の方法とは!?
(4)「建築費」に影響を与える要因とは!?
(5)「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチとは!?

「関連記事①-坪単価で把握する建築費」はこちらから↓
(1)住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(2)事務所の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(3)工場の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(4)倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(5)商業店舗の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(6)ホテルの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(7)病院の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
(8)福祉介護施設の建築費は坪単価でどの程度の水準か?

「関連記事②-面白いほどよくわかる建設市場-需要編」はこちらから↓
(1)主力とするターゲットや商品開発を建設需要から導こう!
(2)知りたい情報に辿り着ける3つのアプローチ!
(3)簡単に無料で手に入る「統計データ」を積極的に活用しよう!
(4)需要の傾向を読み解いて市場の先行きを考えよう!
(5)「影響要因」を把握して説得力のある需要予測を導き出そう!

「関連記事③-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!

「関連記事④-面白いほどよくわかる建設市場-建設市場予測編」はこちらから↓
(1)「建設市場」は「予想」でなく「予測」しよう!
(2)建築費が高騰/下落する仕組みとは!?
(3)建築費がいつ頃下落するか予測しよう!

「関連記事⑤-海外建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?
(2)世界の建設市場における労務費を比べてみる!
(3)世界における建設市場規模はどの程度か!?

「関連記事⑥-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?

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