建設需要の把握には「統計データ」を積極的に活用しよう!-面白いほどよくわかる建設市場-需要編(3)

建設業をわかりやすく解説する「面白いほどよくわかる建設市場」の「需要編」、2回目であった前回のコラムでは建設市場で「需要」を把握する為の方法について、どのようにアプローチするかを解説しました。3回目となる今回は、建設市場の「需要」について、その中身にフォーカスして具体的に解説していきたいと思います。

今回は前回のコラムで紹介した3つのアプローチの中から「公的な統計データを活用するアプローチ」を活用し、2015年の統計データに沿って建設市場の「需要」がどこにあるのか紐解く方法について紹介していきます。

面白いほどよくわかる建設市場-需要編(3)

建設市場の「需要」を大きな視点で覗いてみると!


まず、建設市場における工事全体の需要は大きく「建築工事」と「土木工事」に分けることができます。そして、下図1の通り、建設需要の約4分の3は「建築工事」にあることが読み取れます。


建設需要の工事別割合


同様に建設市場の需要を工事の発注機関別にみてみると、下図2より、建設需要の7割以上に関して民間企業が発注した工事であることが分かります。


建設需要の発注機関別割合


また、地域別に建設需要を見てみると、下図3から需要の大きい上位3地域である関東、近畿、中部における需要が全体の4分の3以上といった非常に大きな割合を占めていることが分かります。


建設需要の地域別割合


さらには、建設需要を工事のタイプ別に大きく「新設」と「改修・改装」に分けて見てみると、下図4の通り、建設需要の8割以上が「新設工事」であり、建設市場の中で大きな割合を占めていることが分かります。


 建設需要の工事タイプ別割合


このように建設市場で「需要」を把握する際には、まず大きい視点でどこに需要があるのかについて需要全体における割合(パイ)を読み取ることが重要になります。なぜならば、いきなりある特定の条件に基づいた需要を把握しようとしても、それが建設需要全体の中でどの程度の大きさの需要であるのか判断できないからであります。

「需要」の中身について、もう少し近づいて見てみると!


それでは続いて、建設需要の中身について、もう少し近づいて見てみることにします。まず、先に挙げた「工事別」の視点と「発注者機関別」の視点、この2つを組み合わせた視点で建設市場の需要を見てみると、下図5のように、建設需要の約6割以上が民間機関の発注による建築工事であることが読み取れます。


建築需要の発注機関・工事別割合


次に、建設需要の7割以上を占める「建築需要」の中身について見てみましょう。一般に、建築工事の需要は「用途別」の視点から大きく「住宅建築」と「非住宅建築」に分けられますが、着工床面積に基づく新設需要は下図6が示すように6割弱を「住宅建築」が占めていることが分かります。


建築需要の用途別割合


また、「住宅建築」の需要について新設目的別にみてみると、下図7のように、賃貸目的で建てられる「賃貸用」が4割程度であり、建主自らが住む目的で建てられる「持家用」、分譲マンションや建売住宅として販売目的で建てられる「分譲用」が共に約3割程度であることが分かります。


住宅建築需要の目的別割合


一方で「非住宅建築」の新築需要について目を向けると、下図8より、工場や倉庫が非住宅建築の「需要」のうち3割を、次いで事務所、店舗がそれぞれ1割強を占めていることが読み取れます。


非住宅建築需要の用途別割合


さらには、地域別で見てみた建設需要について、今度は都道府県別で見てみた場合、下図9より全体の4割以上が東京都、次いで1割強が大阪府における需要であり、東京都および大阪府における建設需要が市場全体の半分以上を占めていることが読み取れます。


建設需要の都道府県別割合


このように、建設市場における「需要」を大きい視点からさらに一歩踏み込んで近づいて見てみることで、さらに詳細な「需要」の割合について把握することが可能となります。そして、この「もう一歩近づいて見てみる」考え方に沿ってさらに調べていくと、例えば、「東京における民間発注の新築オフィスで構造がRC造である工事の需要」などといったように、統計データが公表されている限りの詳細まで詳しく調べることができるのです。

「需要」の傾向を把握するには2つ以上の時点におけるデータが必要!


建設市場の「需要」に関して、例を挙げて解説してきましたが、ここまで前述した情報の中で、例えば「建設市場において土木工事の需要が減少している。」とか「建設市場において新設住宅の需要が増加している。」といった需要の傾向が把握できるでしょうか?

答えは「把握できない。」です。なぜならば、これまで前述した「需要」に関する情報は「需要」の占める割合についてのみ、また、2015年といった特定のある一時点のみにフォーカスした情報であるからです。

つまり、「需要が増加した、または減少した」という傾向の把握は、2つ以上の時点で同様の基準によって比べた場合に初めて可能となる為、今回紹介したような「市場の中でどこに需要があるのかを探る方法」では辿り着くことができないのです。

そこで次回のコラムでは建設市場における「需要」の傾向把握にフォーカスして解説したいと思います。

建設需要のPoint(3)
①「需要」の大きさを知るには、まずは需要全体に占める割合を大きな視点で読み取ることが重要!
②「需要」の中身を細かく把握したい場合には、少しずつ近づいて調べてみてみよう!
③「需要」が何処にあるのかを判断することと、「需要」の傾向を判断することは違う!
④「需要」の傾向を判断するには2つ以上の時点における同様のデータ(情報)が必要!

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