フジタの状況|準大手ゼネコンの状況把握【2024年版】
【業績から把握するフジタ|2024年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンであるフジタについて紹介していきます。具体的には、2024年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2023年度におけるフジタの受注高は5,747億円と前年度から約22.1%の増加となりました。受注高は2016年度から2年連続で増加し、2018年度に4,958億円の水準まで増加しました。そして、2020年度の3,998億円まで2年連続で減少した後、2021年度の5,094億円まで増加したものの、2022年度は再び減少に転じ、2023年度は過去13年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成(2022年度)を見てみると、建築工事が全体の約79.1%、土木工事が約20.9%を占め、建築工事の比率が土木工事を大きく上回っています。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、フジタは準大手ゼネコンの中でも建築工事の割合が大きいゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2023年度における売上高は5,290億円と前年度より約1.4%の増加となりました。売上高は2014年度から2019年度の5,208億円まで5年連続の増加傾向で推移しています。その後、売上高は2020年度の3,792億円まで減少しましたが、2021年度から2年連続で増加し、2023年度は直近の13年間で最も高い水準となっていることが分かります。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2023年度におけるフジタの繰越高は5,525億円と前年度から約9.0%の増加となりました。繰越高は2011年度より2018年度まで7年連続の増加傾向で推移した後、2019年度に減少しました。そして、直近の10年間で最も高い水準となっている2021年度の7,086億円まで2年連続で増加した後、2022年度は減少に転じ、2023年度は再びやや増加に転じています。この2023年度の水準は2011年度の水準と比較して約166.9%増と約2.6倍高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2023年度におけるフジタの手持ち工事月数は12.5ヵ月となりました。手持工事高月数は2015年度の18.5ヵ月から2019年度の12.8ヵ月まで4年連続の減少傾向にありました。その後、過去10年間で最も高い水準となった2021年度の20.3ヵ月まで2年連続で増加しましたが、2022年度は大きく減少し、2023年度は増加に転じていることが読み取れます。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2023年度におけるフジタの営業利益は189億円と前年度より約22.7%の増加となりました。営業利益は過去10年間で最も高い水準となった2016年度の231億円から2019年度の99億円まで3年連続で減少していましたが、2020年度から4年連続で増加していることが読み取れます。(下図参照)
また、2023年度の営業利益率は3.6%でした。営業利益率は最も高い水準となった2016年度の6.0%から2019年度の1.9%まで3年連続の下落傾向で推移しました。その後、営業利益率は2020年度の3.2%まで上昇しましたが、2021年度からは僅かながらも2年連続で下落し、2023年度は上昇に転じていることが読み取れます。
5. 従業員の状況
2023年度におけるフジタの従業員数は3,398人となりました。従業員数は2013年度より7年連続の増加傾向で推移した後、2021年度の3,230人まで減少し、2022年度は増加に転じましたが、2023年度は再び減少に転じていることが読み取れます。(下図参照)
続いて、2023年度における従業員の平均年齢は40.9歳、平均勤続年数は14.3年、平均年収は915万円でした。
さらにフジタの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約169.1(百万円/人)、155.7(百万円/人)、162.6(百万円/人)、5.6(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【フジタの状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 5,747億円 | |
② 売上高 | 5,290億円 | |
③ 繰越高 | 5,525億円 | |
④ 営業利益 | 189億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.6% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 12.5ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 3,398人 | |
⑧ 平均年齢 | 40.9歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 14.3年 | |
⑩ 平均年収 | 915万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 169.1(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 155.7(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 162.6(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 5.6(百万円/人) | ④÷⑦ |
注1)値は「単独」に基づく。
注2)繰越高は弘文社による推計値
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンであるフジタの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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