清水建設の状況|スーパーゼネコンの状況把握【2019年版】
【業績から把握する清水建設|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである清水建設について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度における清水建設の受注高は1兆7255億円と前年度から約14.6%の増加となりました。受注高は2015年度の1兆3419億円より3年連続の増加傾向で推移し、過去8年間で最も高い水準にあることが読み取れます。そして、この2018年度の水準は底となっていた2012年度の水準と比較して約48.8%高い水準にあり、この7年間で5割近くも増加していることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約77.8%を占めている一方、土木工事は16.6%となっております。(下図参照)
スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約79%であることを踏まえると、清水建設はスーパーゼネコンの中でも建築工事と土木工事のバランスが平均的なゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は1兆4067億円と前年度より約11.4%の増加となりました。売上高は2015年度の1兆4068億円より2年連続で減少傾向にありましたが、2018年度は増加に転換して、2015年度の水準まで回復していることが分かります。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度における清水建設の繰越高は2兆1385億円と前年度から約17.5%の増加となりました。繰越高は2015年度の1兆3832億円より3年連続の増加傾向で推移して、直近の8年間で最も高い水準まで増加していることが読み取れます。この2018年度の水準は底であった2012年度の水準と比較して約78.4%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この6年間で大きく膨れ上がったことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度における清水建設の手持ち工事月数は18.2ヵ月と2017年度における17.3ヵ月より若干高い水準になりました。また、2015年度より3年連続で増加しおり、同年度の水準と比較すると、約56.4%も高い水準となっています。(下図参照)
これは、2015年度から2018年度にかけて、繰越高の変動率が売上高の変動率を上回っていることを示しています。実際、この3年間で繰越高は約54.6%増加しているのに対して、売上高は概ね同じ水準となっています。
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度における営業利益は1136億円と前年度より約4.9%と増加しました。清水建設の営業利益は2017年度に若干減少しましたが、2018年度は直近の8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
一方、2018年度の営業利益率は8.1%となりました。営業利益率は2012年度の0.2%を底として2017年度の8.6%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度は若干であるものの6年振りの下落となっています。
5. 従業員の状況
2018年度における清水建設の従業員数は10,336人と2011年度より7年連続の穏やかな減少傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
続いて、2018年度における従業員の平均年齢は43.0歳、平均勤続年数は15.4年、平均年収は1010.1万円でした。
さらに清水建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約166.9(百万円/人)、136.1(百万円/人)、206.9(百万円/人)、11.0(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【清水建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1兆7255億円 | |
② 売上高 | 1兆4067億円 | |
③ 繰越高 | 2兆1385億円 | |
④ 営業利益 | 1136億円 | |
⑤ 営業利益率 | 8.1% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 18.2ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 10,336人 | |
⑧ 平均年齢 | 43.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 15.4年 | |
⑩ 平均年収 | 1010.1万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 166.9(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 136.1(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 206.9(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 11.0(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1兆3421億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 2861億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 972億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである清水建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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