鹿島建設の状況｜スーパーゼネコンの状況把握【2019年版】
【業績から把握する鹿島建設｜2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである鹿島建設について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考｜主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度における鹿島建設の受注高は1兆4444億円と前年度から約20.4%の増加となりました。受注高は2014年度の1兆1938億円から2016年度の1兆3500億円まで2年連続で増加した後、2017年度は1兆2001億円と減少しました。（下図参照）
2018年度はそこから2割以上の増加に転じて、この8年間では最も高い水準となっています。また、この2018年度の水準は底となった2012年度の水準と比較してみると約37.1%高い水準にあり、この7年間で4割近くも増加していることが分かります。
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約74.4%を占めている一方、土木工事は21.0%となっております。（下図参照）
スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約79%であることを踏まえると、鹿島建設はスーパーゼネコンの中でも建築工事と土木工事のバランスが概ね平均的なゼネコンであると考えられます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は1兆2804億円と前年度より約9.9%の増加となりました。売上高は2013年度の1兆460億円から2016年度の1兆2038億円まで増加傾向で推移した後、2017年度は1兆1652億円まで若干減少しています。（下図参照）
そして、2018年度は約1割の増加となり、過去8年で最も高い水準となっていることが読み取れます。この2018年度の水準を底となっていた2013年度の水準と比較してみると、売上高はこの5年間で約22.3%と2割以上増加していることが分かります。
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度における鹿島建設の繰越高は1兆9165億円と前年度から約9.4%の増加となりました。繰越高は底であった2012年度の1兆2292億円から2018年度まで6年連続で継続的な増加傾向で推移していることが読み取れます。（下図参照）
また、この2018年度の水準は2012年度の水準と比較して約55.9%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量がこの6年間で5割以上も積み重なり、過去8年で最も高い水準となっていることが分かります。
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度における鹿島建設の手持ち工事月数は18.0ヵ月と2017年度における水準から横ばいで推移しました。この水準は直近の8年間で見た場合、最も高い水準であり、底であった2011年度の13.6カ月と比較して3割以上も高い水準にあることが読み取れます。（下図参照）
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度における営業利益は1203億円と前年度より約11.0%減少しました。鹿島建設の営業利益は2014年度の損益から2017年度の1352億円まで3年連続の増加傾向にありましたが、今回4年ぶりの減少となりました。この2018年度の水準は直近の8年間で3番目に高い水準にあり、前年度から減少したものの依然として高い水準にあることが読み取れます。（下図参照）
また、2018年度の営業利益率は9.4%となりました。営業利益率は営業利益の変動を反映する形で2014年度を底として3年連続で2017年度の11.6%まで上昇した後、2018年度は下落へ転じていることが分かります。
5. 従業員の状況
2018年度における鹿島建設の従業員数は9517人と2014年度より4年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。（下図参照）
続いて、2018年度における従業員の平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は18.5年、平均年収は1138.8万円でした。
さらに鹿島建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約151.8（百万円/人）、134.5（百万円/人）、201.4（百万円/人）、12.6（百万円/人）となっています。（下図参照）
参考｜主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【鹿島建設の状況｜主要データ一覧】
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 受注高 | 1兆4444億円 | |
| ② 売上高 | 1兆2804億円 | |
| ③ 繰越高 | 1兆9165億円 | |
| ④ 営業利益 | 1203億円 | |
| ⑤ 営業利益率 | 9.4% | ④÷② |
| ⑥ 手持ち工事月数 | 18.0ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
| ⑦ 従業員数 | 9517人 | |
| ⑧ 平均年齢 | 44.2歳 | |
| ⑨ 平均勤続年数 | 18.5年 | |
| ⑩ 平均年収 | 1138.8万円 | |
| ⑪ 従業員あたり受注高 | 151.8（百万円/人） | ①÷⑦ |
| ⑫ 従業員あたり売上高 | 134.5（百万円/人） | ②÷⑦ |
| ⑬ 従業員あたり繰越高 | 201.4（百万円/人） | ③÷⑦ |
| ⑭ 従業員あたり営業利益 | 12.6（百万円/人） | ④÷⑦ |
| ⑮ 受注高（建築） | 1兆741億円 | |
| ⑯ 受注高（土木） | 3038億円 | |
| ⑰ 受注高（その他） | 665億円 | ① －（⑮＋⑯） |
注）値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである鹿島建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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