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竹中工務店の状況|スーパーゼネコンの状況把握【2019年版】

【業績から把握する竹中工務店|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである竹中工務店について紹介していきます。具体的には、2018年12月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2018年における竹中工務店の受注高は1兆1029億円と前年から約4.7%の増加となりました。受注高は2015年より3年連続の増加傾向にあることが読み取れます。また、この2018年の水準は過去8年で底となっていた2011年の水準と比較して約46.2%高い水準にあり、この7年間で4割以上も増加していることが分かります。(下図参照)


    竹中工務店の受注高


    続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約89%を占めている一方、土木工事は2.6%となっております。(下図参照)


    竹中工務店の受注高内訳構成


    スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約79%であることを踏まえると、竹中工務店はスーパーゼネコンの中でも建築工事に特化したゼネコンであると言えます。

    2. 売上高の状況


    次に、2018年における売上高は1兆430億円と前年より約3.6%の増加となりました。売上高は2013年の7868億円から2015年の1兆97億円まで増加傾向で推移していましたが、2016年に9555億円の水準まで減少しました。(下図参照)


    竹中工務店の売上高


    そこから売上高は2年連続で増加しており、2018年は過去8年で最も高い水準にあることが分かります。また、この2018年の水準を底となった2013年の水準と比較してみると、約32.6%高い水準にあり、この5年間で3割以上も増加したことが把握できます。

    3. 繰越高の状況


    続いて、2018年における竹中工務店の繰越高は1兆2426億円と前年から約5.1%の増加となりました。繰越高は2012年より6年連続で増加しており、長期的な増加傾向にあることが読み取れます。(下図参照)


    竹中工務店の繰越高


    この2018年の水準は底となっていた2012年の水準と比較して約84.7%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この6年間で8割以上も増加していることが分かります。

    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2018年における竹中工務店の手持ち工事月数は14.3ヵ月と2017年における14.1ヵ月よりは若干高くなったものの、2016年と同等の水準となりました。(下図参照)


    竹中工務店の手持ち工事月数


    これは、2016年から2018年にかけて繰越高と売上高の変動率が概ね同じ率であることを示しています。実際に、この2年間で繰越高は約9.4%、売上高は約9.2%増加しており、両者の変動率は概ね同じ上昇率となっています。

    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2018年における営業利益は693億円と前年より約25.3%と大きく減少しました。竹中工務店における営業利益は2012年より2017年まで5年連続の増加傾向で推移していましたが、2018年は6年振りの減少となりました。(下図参照)


    竹中工務店の営業利益と営業利益率


    また、2018年の営業利益率は6.6%と、減少した営業利益を反映する形で2017年の9.2%と比較して約2.6%低い水準となっています。そして、営業利益率は2012年を底として2017年まで上昇傾向で推移していましたが、2018年で6年振りの下落となっています。

    5. 従業員の状況


    2018年における竹中工務店の従業員数は7862人と2013年より5年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)


    竹中工務店の従業員の状況


    続いて、竹中工務店における従業員の平均年齢は44.0歳、平均勤続年数は19.1年、平均年収は1028.7万円となっています。

    さらに竹中工務店の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約140.3(百万円/人)、132.7(百万円/人)、158.1(百万円/人)、8.8(百万円/人)となっています。(下図参照)


    竹中工務店の従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【竹中工務店の状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高1兆1029億円
    ② 売上高1兆430億円
    ③ 繰越高1兆2426億円
    ④ 営業利益693億円
    ⑤ 営業利益率6.6%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数14.3ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数7862人
    ⑧ 平均年齢44.0歳
    ⑨ 平均勤続年数19.1年
    ⑩ 平均年収1028.7万円
    ⑪ 従業員あたり受注高140.3(百万円/人)①÷⑦
    ⑫ 従業員あたり売上高132.7(百万円/人)②÷⑦
    ⑬ 従業員あたり繰越高158.1(百万円/人)③÷⑦
    ⑭ 従業員あたり営業利益8.8(百万円/人)④÷⑦
    ⑮ 受注高(建築)9817億円
    ⑯ 受注高(土木)284億円
    ⑰ 受注高(その他)928億円① -(⑮+⑯)
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2018年12月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである竹中工務店の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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