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奥村組の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2019年版】

【業績から把握する奥村組|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである奥村組について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2018年度における奥村組の受注高は2688億円と前年度から約33.0%の増加となりました。受注高は2016年度の2429億円から2017年度の2021億円まで減少した後、2018年度は3割以上の大幅な増加へ転じていることが読み取れます。この2018年度の水準は、直近8年間で底となった2011年度の水準と比較すると92.0%増加しており、この7年間で約2倍の水準までに大きく増加したことが分かります。(下図参照)


    奥村組の受注高


    続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約59.1%、土木工事が約40.9%となっており、約6割を建築工事が占めていることが分かります。(下図参照)


    奥村組の受注高内訳構成


    中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約51%であることを踏まえると、奥村組は中堅ゼネコンの中でも建築工事の比重が高いゼネコンであると言えます。

    2. 売上高の状況


    次に、2018年度における売上高は2155億円と前年度より約1.4%の減少となりました。売上高は2014年度から2016年度までは2000億円前後で推移し、2016年度に直近8年間で最も高い2186億円の水準まで増加しました。2018年度はそれから若干ですが減少した形となっています。この2018年度の水準は底となった2011年度の水準と比較すると約26.7%高い水準となっており、この7年間で比較的に大きく増加していることが読み取れます。(下図参照)


    奥村組の売上高



    3. 繰越高の状況


    続いて、2018年度における奥村組の繰越高は3496億円と前年度から約20.2%の増加となりました。繰越高は2012年度から2016年度の3018億円まで増加傾向で推移した後、2017年度には2908億円の水準まで若干ながら減少しました。2018年度はそこから大きく増加して過去8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。また、2018年度の水準は底となった2012年度の水準と比較して約88.3%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この7年間で約1.9倍に膨れ上がったことが分かります。(下図参照)


    奥村組の繰越高


    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2018年度における奥村組の手持ち工事月数は19.5ヵ月と2017年度における16.0ヵ月より3.5ヵ月長くなりました。手持ち工事月数は2016年度から2017年度にかけて減少して推移していましたが、2018年度に一気に増加して、直近8年間で最も高い水準となっています。(下図参照)


    奥村組の手持ち工事月数



    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2018年度における営業利益は129億円と前年度より約14.0%減少しました。奥村組の営業利益は2011年度の損益から2017年度の150億円まで6年連続の継続的な増加傾向で推移していましたが、2018年度は7年ぶりに減少へ転じた形となっていることが分かります。(下図参照)


    奥村組の営業利益と営業利益率


    一方、2018年度の営業利益率は6.0%でした。営業利益率は営業利益の推移と非常に類似した形で、底であった2011年度から2017年度の6.9%まで上昇した後、2018年度は7年ぶりに下落しています。

    5. 従業員の状況


    2018年度における奥村組の従業員数は2442人でした。また、従業員数は2014年度の2280人より4年連続の増加傾向で推移し、この間に約160人増加したことが読み取れます。(下図参照)


    奥村組の従業員の状況


    また、2017年度における従業員の平均年齢は43.3歳、平均勤続年数は17.4年、平均年収は986.7万円でした。

    さらに奥村組の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約110.1(百万円/人)、88.3(百万円/人)、143.2(百万円/人)、5.3(百万円/人)となっています。(下図参照)


    奥村組の従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【奥村組の状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高2688億円
    ② 売上高2155億円
    ③ 繰越高3496億円
    ④ 営業利益129億円
    ⑤ 営業利益率6.0%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数19.5ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数2442人
    ⑧ 平均年齢43.3歳
    ⑨ 平均勤続年数17.4年
    ⑩ 平均年収986.7万円
    ⑪ 従業員あたり受注高110.1(百万円/人)①÷⑦
    ⑫ 従業員あたり売上高88.3(百万円/人)②÷⑦
    ⑬ 従業員あたり繰越高143.2(百万円/人)③÷⑦
    ⑭ 従業員あたり営業利益5.3(百万円/人)④÷⑦
    ⑮ 受注高(建築)1588億円
    ⑯ 受注高(土木)1100億円
    ⑰ 受注高(その他)0億円① -(⑮+⑯)
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2019年3月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである奥村組の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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