東亜建設工業の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2019年版】
【業績から把握する東亜建設工業|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである東亜建設工業について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2018年度における東亜建設工業の受注高は2155億円と前年度から約47.3%の増加となりました。受注高は2014年度の2377億円から2016年度の1309億円まで大きく減少しましたが、2017年度に若干の増加へ転じてから2年連続で回復しています。この2018年度の水準は、直近8年間で底となった2016年度の水準と比較すると64.6%高い水準にある一方、最も高い水準となった2014年度の水準と比較して約9.4%低い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約25.1%、土木工事が約73.9%となっており、7割以上を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約51%であることを踏まえると、東亜建設工業は中堅ゼネコンの中でも特に土木工事の割合が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は1673億円と前年度より約9.8%の増加となりました。売上高は2011年度から増加傾向で推移して、2015年度に1933億円と直近の8年間で最も高い水準となりました。その後は、2017年度の1523億円まで2年連続の減少傾向にありましたが、今回3年振りに増加へ転じた形です。この2018年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較すると約29.9%高い水準となっている一方、最も高い水準となった2015年度の水準からは約13.4%低い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2018年度における東亜建設工業の繰越高は2218億円と前年度から約29.0%の増加となりました。繰越高は2014年度の2155億円から2017年度の1719億円まで減少傾向で推移していましたが、2018年度は一転して、直近の8年間で最も高い水準まで急増していることが読み取れます。また、2018年度の水準は底となった2011年度の水準と比較して約53.0%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この7年間で大きく増加したことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2018年度における東亜建設工業の手持ち工事月数は15.9ヵ月と前年度の13.5ヵ月から増加となりました。手持ち工事月数は2015年度の12.7カ月から3年連続で増加しており、今回の水準は過去8年間で最も高い水準となったことが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2018年度における営業利益は31億円と前年度より約26.5%増加しました。東亜建設工業の営業利益は最も高い水準となった2015年度の109億円から2017年度の25億円まで減少傾向で推移しましたが、今回は3年ぶりに増加へ転じていることが分かります。(下図参照)
一方、2018年度の営業利益率は1.9%でした。この8年間の営業利益率の推移は営業利益の推移と極めて類似した推移となっています。具体的には、2015年度の5.7%を山として2017年度まで下落した後、2018年度では若干の上昇となって推移しています。
5. 従業員の状況
2018年度における東亜建設工業の従業員数は1565人でした。また、従業員数は2011年度より2017年度まで非常に緩やかな減少傾向で推移していましたが、2018年度は増加に転じていることが読み取れます。(下図参照)
また、2017年度における従業員の平均年齢は46.1歳、平均勤続年数は20.3年、平均年収は835.9万円でした。
さらに東亜建設工業の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約137.7(百万円/人)、106.9(百万円/人)、141.7(百万円/人)、2.0(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【東亜建設工業の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 2155億円 | |
② 売上高 | 1673億円 | |
③ 繰越高 | 2218億円 | |
④ 営業利益 | 31億円 | |
⑤ 営業利益率 | 1.9% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 15.9ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1565人 | |
⑧ 平均年齢 | 46.1歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 20.3年 | |
⑩ 平均年収 | 835.9万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 137.7(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 106.9(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 141.7(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 2.0(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 541億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1592億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 22億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである東亜建設工業の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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