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大豊建設の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2019年版】

【業績から把握する大豊建設|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである大豊建設について紹介していきます。具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2018年度における大豊建設の受注高は1483億円と前年度から約30.0%の増加となりました。受注高は2016年度の1288億円から2017年度の1141億円まで減少した後、2018年度は大きく増加へと転じていることが読み取れます。この2018年度の水準は直近8年間で底となった2011年度の水準と比較すると96.3%高い水準にあり、この7年間で飛躍的に増加したことが分かります。(下図参照)


    大豊建設の受注高


    続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約48.7%、土木工事が約51.3%となっており、5割以上を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)


    大豊建設の受注高内訳構成


    中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約51%であることを踏まえると、大豊建設は中堅ゼネコンの中でも若干土木工事の比重が高いゼネコンであると言えます。

    2. 売上高の状況


    次に、2018年度における売上高は1101億円と前年度より約3.4%の増加となりました。売上高は2011年度から緩やかな増加傾向で推移していますが、大きい視点では2014年度以降は2017年度まで概ね1000億円前後の水準で推移しており、2018年度はそこから約100億円増加した形となっています。また、この2018年度の水準は底である2011年度の水準と比較すると約48.9%高い水準となっており、この7年間で大きく増加していることが読み取れます。(下図参照)


    大豊建設の売上高



    3. 繰越高の状況


    続いて、2018年度における大豊建設の繰越高は2176億円と前年度から約21.3%の増加となりました。繰越高は2011年度の955億円から2017年度の1794億円まで堅調な増加傾向で推移していましたが、2018年は大きく増加した形になっています。この2018年度の水準は底となった2011年度の水準と比較して約127.7%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この7年間で約2.3倍へと非常大きく増加したことが分かります。(下図参照)


    大豊建設の繰越高


    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2018年度における大豊建設の手持ち工事月数は23.7ヵ月と2017年度における20.2ヵ月より3.5ヵ月も高い水準となりました。手持ち工事月数は2016年度から2017年度まで若干減少しましたが、今回2年ぶりに大きく増加した形となっています。(下図参照)


    大豊建設の手持ち工事月数



    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2018年度における営業利益は67億円と前年度より約9.9%減少しました。大豊建設の営業利益は底となった2012年度から2015年度の61億円まで増加傾向で推移しましたが、2016年度に減少へ転じました。そこから2017年度は74億円まで増加したものの、今回再び若干ながら減少していることが分かります。(下図参照)


    大豊建設の営業利益と営業利益率


    一方、2018年度の営業利益率は6.1%でした。この8年間の営業利益率の推移は営業利益の推移と極めて類似した推移となっていることが読み取れ、2017年度の7.0%を山として下落して推移しています。

    5. 従業員の状況


    2018年度における大豊建設の従業員数は996人でした。また、従業員数は2013年度より5年連続で緩やかに増加していますが、概ね900人前後で推移していることが読み取れます。(下図参照)


    大豊建設の従業員の状況


    また、2018年度における従業員の平均年齢は45.1歳、平均勤続年数は19.3年、平均年収は770.5万円でした。

    さらに大豊建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約148.9(百万円/人)、110.6(百万円/人)、218.4(百万円/人)、6.7(百万円/人)となっています。(下図参照)


    大豊建設の従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【大豊建設の状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高1483億円
    ② 売上高1101億円
    ③ 繰越高2176億円
    ④ 営業利益67億円
    ⑤ 営業利益率6.1%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数23.7ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数996人
    ⑧ 平均年齢45.1歳
    ⑨ 平均勤続年数19.3年
    ⑩ 平均年収770.5万円
    ⑪ 従業員あたり受注高148.9(百万円/人)①÷⑦
    ⑫ 従業員あたり売上高110.6(百万円/人)②÷⑦
    ⑬ 従業員あたり繰越高218.4(百万円/人)③÷⑦
    ⑭ 従業員あたり営業利益6.7(百万円/人)④÷⑦
    ⑮ 受注高(建築)723億円
    ⑯ 受注高(土木)761億円
    ⑰ 受注高(その他)0億円① -(⑮+⑯)
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2019年3月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである大豊建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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