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中堅ゼネコンの状況|ゼネコン規模別の状況把握【2019年版】

【業績から把握する中堅ゼネコン|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点から、中堅ゼネコンの状況について紹介していきます。

業績から把握する中堅ゼネコンの状況
具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに以下の点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2018年度における中堅ゼネコン8社の受注高は平均で1808億円と前年度から約23.4%の増加となりました。受注高は2011年度から2014年度の1625億円まで増加傾向で推移した後、2015年度に1513億円まで減少しました。(下図参照)


    中堅ゼネコンの受注高


    その後、2016年度の1523億円から2017年度は1465億円まで再び減少しましたものの、2018年度は大きく増加に転じて、過去8年間で見た場合に最も高い水準まで回復しています。また、この2018年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較してみると約55.3%高い水準にあり、この6年間で5割以上と大きく増加していることが分かります。

    ここで、中堅ゼネコンの業界シェアを受注高ベースで見てみると、建設業全体のうち中堅ゼネコン8社の占める割合は2.4%となっております。(下図参照)


    中堅ゼネコンの受注高内訳構成


    国内の建設業者数が約46万5000社であることを踏まえると、中堅ゼネコンが8社で占める業界シェアは比較的に大きな水準にあるものの、建設需要に対しての影響力は限定的であると考えられます。

    2. 売上高の状況


    次に、2018年度における中堅ゼネコンの売上高は平均で1498億円と前年度より約0.1%と若干の増加になりました。売上高は2011年度の1225億円から2015年度の1482億円まで増加傾向で推移した後、2016年度の1394億円まで減少となりました。(下図参照)


    中堅ゼネコンの売上高


    その後は、2018年度まで2年連続の増加傾向にあり、過去8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。この2018年度の水準を底であった2011年度の水準と比較してみると、売上高はこの7年間で約22.3%と2割以上増加していることが分かります。

    3. 繰越高の状況


    続いて、2018年度における中堅ゼネコンの繰越高は平均で2174億円と前年度から約17.5%の増加となりました。繰越高は底であった2011年度の1329億円から2016年度の1869億円まで4年連続の増加傾向で推移しましたが、2017年度は1850億円と若干減少しています。(下図参照)


    中堅ゼネコンの繰越高


    そこから、2018年度は約300億円の増加となり、結果として過去8年間で最高の水準となっていることが分かります。また、この2018年度の水準は2011年度の水準と比較して約63.5%も高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量がこの6年間で6割以上も増加して大きく膨れ上がったことが読み取れます。

    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2018年度における中堅ゼネコンの手持ち工事月数は17.4ヵ月となりました。手持ち工事高月数は2016年度の16.1カ月から2017年度の14.8カ月へと減少していましたが、2018年度は大きく増加へ転じて、その水準は直近の8年間で前最も高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)


    中堅ゼネコンの手持ち工事月数



    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2018年度における中堅ゼネコンの営業利益は69億円と前年度より約13.7%減少しました。営業利益は底となっていた2011年度の損益から2017年度の80億円まで6年連続の継続的な増加傾向で推移していましたが、2018年度は7年振りに減少した形になっています。(下図参照)


    中堅ゼネコンの営業利益と営業利益率


    また、2018年度の営業利益率は4.6%でした。営業利益率は営業利益の推移を反映する形で2011年度を底として6年連続で2017年度の5.3%まで上昇した後、2018年度は下落へ転じていることが分かります。

    5. 従業員の状況


    2018年度における中堅ゼネコンの従業員数は平均で1512人と2014年度の1390人より4年連続で非常に穏やかな増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)


    中堅ゼネコンの従業員の状況


    また、2018年度の中堅ゼネコンにおける従業員の平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は18.7年、平均年収は856.7万円でした。

    さらに中堅ゼネコンの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約119.6(百万円/人)、99.1(百万円/人)、143.8(百万円/人)、4.6(百万円/人)となっています。(下図参照)


    中堅ゼネコンの従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    最後に、今回対象とした中堅ゼネコン8社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【対象とした中堅ゼネコン8社】
    ゼネコン規模会社名
    中堅ゼネコン奥村組 鉄建建設 東洋建設 東亜建設工業 淺沼組 飛島建設 錢高組 大豊建設


    【中堅ゼネコンの状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高1兆4464億円8社の総額
    ② 売上高1兆1986億円8社の総額
    ③ 繰越高1兆7390億円8社の総額
    ④ 営業利益552億円8社の総額
    ⑤ 営業利益率4.6%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数17.4ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数1万2093人8社の総数
    ⑧ 受注高(平均)1808億円①÷8社
    ⑨ 売上高(平均)1498億円②÷8社
    ⑩ 繰越高(平均)2174億円③÷8社
    ⑪ 営業利益(平均)69億円④÷8社
    ⑫ 従業員数(平均)1512人⑦÷8社
    ⑬ 平均年齢44.2歳総年齢÷⑦
    ⑭ 平均勤続年数18.7年総年数÷⑦
    ⑮ 平均年収856.7万円総年収÷⑦
    ⑯ 従業員あたり受注高119.6(百万円/人)①÷⑦
    ⑰ 従業員あたり売上高99.1(百万円/人)②÷⑦
    ⑱ 従業員あたり繰越高143.8(百万円/人)③÷⑦
    ⑲ 従業員あたり営業利益4.6(百万円/人)④÷⑦
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2019年3月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点から中堅ゼネコンの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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2016.7.19
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