長谷工コーポレーションの状況|準大手ゼネコンの状況把握【2020年版】
【業績から把握する長谷工コーポレーション|2020年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである長谷工コーポレーションについて紹介していきます。具体的には、2020年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2019年度における長谷工コーポレーションの受注高は4717億円と前年度から約2.8%の減少となりました。受注高は2011年度の2806億円から2016年度の5022億円まで5年連続の増加傾向で推移しました。その後、2017年度に4838億円まで若干減少した後、2018年度は概ね横ばいで推移しましたが、2019年度は再び減少となっています。この2019年度の水準は、底であった2011年度の水準と比較すると約68.1%高い水準にあり、前年度から減少となったものの、依然として高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約96.0%、土木工事が約0.2%を占め、大半が建築工事となっていることが分かります。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約65%であることを踏まえると、長谷工コーポレーションは準大手ゼネコンの中でも特に建築工事に特化したゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2019年度における売上高は6141億円と前年度より約5.9%の減少となりました。売上高は2011年度の3680億円から2015年度の5609億円まで4年連続の増加傾向で推移しましたが、2016年度に若干減少しています。その後、2018年度の6523億円まで2年連続の増加傾向で推移し、直近の9年間で最も高い水準となりましたが、2019年度は減少に転じています。この2019年度における売上高の水準は、2011年度と比較して約66.8%高い水準と、前年度より減少するも、高い水準に位置していることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2019年度における長谷工コーポレーションの繰越高は6008億円と前年度から約0.1%の減少となりました。繰越高は底であった2012年度の2876億円から2018年度の6013億円まで6年連続の継続的な増加傾向で推移していましたが、2019年度は概ね横ばいも僅かに減少へと転じました。この2019年度の水準は、2012年度の水準と比較して約108.9%増と2倍以上高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が前年度から引き続き非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2019年度における長谷工コーポレーションの手持ち工事月数は11.7ヵ月と2018年度における11.1ヵ月より高い水準となりました。この水準は2011年度からの9年間で3番目に高い水準であることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2019年度における営業利益は687億円と前年度より約15.7%の大幅な減少となりました。長谷工コーポレーションの営業利益は2011年度の152億円から2017年度の847億円まで6年連続の長期的な増加傾向で推移しましたが、2018年度より2年連続で減少となっています。この2019年度の水準は、2011年度と比較すると約4.5倍以上と、前年度から減少したものの、依然として高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
一方、2019年度の営業利益率は11.2%でした。営業利益率は2012年度の4.0%を底として2017年度の14.6%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度からは営業利益の減少を反映するように2年連続で下落しています。
5. 従業員の状況
2019年度における長谷工コーポレーションの従業員数は3352人と2011年度の2586人から8年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。この2019年度の従業員数は2011年度と比較すると約29.6%増加しており、この8年間で3割近くと大きく増加していることが分かります。(下図参照)
続いて、2019年度における従業員の平均年齢は41.6歳、平均勤続年数は17.3年、平均年収は939.2万円でした。
さらに長谷工コーポレーションの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約140.7(百万円/人)、183.2(百万円/人)、179.3(百万円/人)、20.5(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【長谷工コーポレーションの状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 4717億円 | |
② 売上高 | 6141億円 | |
③ 繰越高 | 6008億円 | |
④ 営業利益 | 687億円 | |
⑤ 営業利益率 | 11.2% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 11.7ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 3352人 | |
⑧ 平均年齢 | 41.6歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 17.3年 | |
⑩ 平均年収 | 939.2万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 140.7(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 183.2(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 179.3(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 20.5(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 4530億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 12億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 176億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである長谷工コーポレーションの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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