西松建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2020年版】
【業績から把握する西松建設|2020年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである西松建設について紹介していきます。具体的には、2020年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2019年度における西松建設の受注高は3610億円と前年度から約6.1%の増加となりました。受注高は2015年度の2988億円より2年連続で増加して2017年度の時点では3700億円の水準にありました。その後、2018年度は3403億円まで減少しましたが、2019年度は増加に転じています。この2019年度の水準は、底であった2012年度の2447億円と比較して約47.5%も高い水準に位置していることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約70.1%を占めている一方、土木工事は29.9%となっております。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約65%であることを踏まえると、西松建設は準大手ゼネコンの中でも比較的建築工事の比重が大きいゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2019年度における売上高は3772億円と前年度より約12.0%の大幅な増加となりました。売上高は2016年度の3070億円より2017年度の2762億円まで減少して推移しましたが、2018年度から2年連続の増加となり、2019年度は直近9年間で最も高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2019年度における西松建設の繰越高は5382億円と前年度から約1.1%の減少となりました。繰越高は2011年度の3179億円から2018年度の5443億円まで7年連続の増加傾向にありましたが、2019年度は減少に転じています。この2019年度の水準は、2011年度の水準と比較して約69.3%高い水準にあり、前年度から減少したものの、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量は依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2019年度における西松建設の手持ち工事月数は17.1ヵ月と2018年度における19.4ヵ月より低い水準となりました。手持工事月数は17年度の23.1ヵ月を最も高い水準として2年連続で減少していますが、は過去9年間で3番目に高い水準となっており、引き続き高い水準にあることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2019年度における営業利益は247億円と前年度より約0.5%増加しました。西松建設の営業利益は2012年度の13億円から2016年度の249億円まで4年連続の増加傾向で推移しました。その後、2017年度の228億円まで若干減少しましたが、2018年度から2年連続で増加していることが読み取れます。(下図参照)
一方、2019年度の営業利益率は6.5%となりました。営業利益率は2012年度の0.5%を底として2017年度の8.3%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度から2年連続の減少となっています。
5. 従業員の状況
2019年度における西松建設の従業員数は2684人と2012年度の2309人から7年連続の穏やかな増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
続いて、2019年度における従業員の平均年齢は44.3歳、平均勤続年数は17.9年、平均年収は866.8万円でした。
さらに西松建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約134.5(百万円/人)、140.5(百万円/人)、200.5(百万円/人)、9.2(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【西松建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 3610億円 | |
② 売上高 | 3772億円 | |
③ 繰越高 | 5382億円 | |
④ 営業利益 | 247億円 | |
⑤ 営業利益率 | 6.5% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 17.1ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 2684人 | |
⑧ 平均年齢 | 44.3歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 17.9年 | |
⑩ 平均年収 | 866.8万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 134.5(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 140.5(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 200.5(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 9.2(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 2531億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1079億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである西松建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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