フジタの状況｜準大手ゼネコンの状況把握【2020年版】
【業績から把握するフジタ｜2020年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンであるフジタについて紹介していきます。具体的には、2020年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考｜主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2019年度におけるフジタの受注高は4545億円と前年度から約8.3%の減少となりました。受注高は2016年度より3年連続で増加しておりましたが、2019年度は2017年度と同等の水準まで落ち込んでいることが読み取れます。一方、この2019年度の水準は2011年度や2012年度の水準と比較すると9割程度高い水準にあり、依然として高い水準にあることが分かります。（下図参照）
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約73.7%、土木工事が約26.3%を占め、建築工事の比率が土木工事を大きく上回っています。（下図参照）
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約65%であることを踏まえると、フジタは準大手ゼネコンの中でも建築工事の比重が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2019年度における売上高は5208億円と前年度より約2.2%と若干の増加となりました。売上高は2014年度より5年連続で継続的な増加傾向にあり、この2019年度の水準は2014年度と比較して約121%高い水準と、この5年間で非常に大きく増加したことが読み取れます。（下図参照）
3. 繰越高の状況
続いて、2019年度におけるフジタの繰越高は5546億円と前年度から約2.7%の減少となりました。繰越高は2011年度より2018年度まで7年連続の増加傾向で推移した後、2019年度に減少した形になっています。この2019年度の水準は2011年度の水準と比較して約168.0%増と約2.7倍高い水準にあり、前年度より減少となったものの、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、依然として非常に高い水準にあることが分かります。（下図参照）
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2019年度におけるフジタの手持ち工事月数は12.8ヵ月と2018年度における13.4ヵ月より若干低い水準となりました。手持工事高月数は2015年度の18.5ヵ月をピークとして、2019年度まで4年連続の減少傾向にあります。また、2019年度の水準は2013年度と2014年度の間に位置する水準となっていることが読み取れます。（下図参照）
4. 営業利益・営業利益率の状況
2019年度における営業利益は99億円と前年度より約54.9%の大幅な減少となりました。フジタの営業利益は2012年度から2016年度の231億円まで4年連続の増加傾向で推移しました。そして、2017年度と2018年度の水準はそれぞれ218億円、219億円と2016年度の水準を若干下回る水準でしたが、2019年度の水準は前年度より半減していることが読み取れます。（下図参照）
一方、2019年度の営業利益率は1.9%と直近の6年間では最も低い水準となりました。営業利益率は2012年度の−1.4%を底として2016年度の6.0%まで4年間の継続的な上昇傾向で推移した後、2019年度まで3年連続の下落傾向で推移しています。
5. 従業員の状況
2019年度におけるフジタの従業員数は3223人と2013年度より6年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。（下図参照）
続いて、2019年度における従業員の平均年齢は40.3歳、平均勤続年数は13.8年、平均年収は909.0万円でした。
さらにフジタの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約141.0（百万円/人）、161.6（百万円/人）、172.1（百万円/人）、3.1（百万円/人）となっていることが分かります。（下図参照）
参考｜主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【フジタの状況｜主要データ一覧】
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 受注高 | 4545億円 | |
| ② 売上高 | 5208億円 | |
| ③ 繰越高 | 5546億円 | |
| ④ 営業利益 | 99億円 | |
| ⑤ 営業利益率 | 1.9% | ④÷② |
| ⑥ 手持ち工事月数 | 12.8ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
| ⑦ 従業員数 | 3223人 | |
| ⑧ 平均年齢 | 40.3歳 | |
| ⑨ 平均勤続年数 | 13.8年 | |
| ⑩ 平均年収 | 909.0万円 | |
| ⑪ 従業員あたり受注高 | 141.0（百万円/人） | ①÷⑦ |
| ⑫ 従業員あたり売上高 | 161.6（百万円/人） | ②÷⑦ |
| ⑬ 従業員あたり繰越高 | 172.1（百万円/人） | ③÷⑦ |
| ⑭ 従業員あたり営業利益 | 3.1（百万円/人） | ④÷⑦ |
| ⑮ 受注高（建築） | 3349億円 | |
| ⑯ 受注高（土木） | 1196億円 | |
| ⑰ 受注高（その他） | 0億円 | ① －（⑮＋⑯） |
注）値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンであるフジタの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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