長谷工コーポレーションの状況|準大手ゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する長谷工コーポレーション|2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである長谷工コーポレーションについて紹介していきます。具体的には、2021年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2020年度における長谷工コーポレーションの受注高は4303億円と前年度から約8.8%の減少となりました。受注高は2016年度の5022億円まで5年連続の増加傾向で推移していましたが、2017年度に若干減少しました。そして、2018年度まで概ね横ばいで推移した後、2019年度から2年連続で減少しています。この2020年度の水準は、底であった2011年度の水準と比較すると約53.4%高い水準にあり、2年連続の減少となったものの、依然として高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、住宅が全体の約88.4%、非住宅が約7.6%を占め、大半が住宅となっていることが分かります。(下図参照)
2. 売上高の状況
次に、2020年度における売上高は5633億円と前年度より約8.3%の減少となりました。売上高は2011年度の3680億円から2015年度の5609億円まで4年連続の増加傾向で推移しましたが、2016年度に若干減少しています。その後、2018年度の6523億円まで2年連続の増加傾向で推移し、直近の10年間で最も高い水準となりましたが、2019年度から2年連続で減少しています。この2020年度における売上高の水準は、2011年度と比較して約53.1%高い水準に位置していることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2020年度における長谷工コーポレーションの繰越高は6026億円と前年度から約0.3%の増加となりました。繰越高は底であった2012年度の2876億円から2018年度の6013億円まで6年連続の増加傾向で推移していましたが、2019年度から概ね横ばい傾向で推移していることが読み取れます。この2020年度の水準は、2012年度の水準と比較して約2.1倍高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年度における長谷工コーポレーションの手持ち工事月数は12.8ヵ月と2019年度の11.7ヵ月より高い水準となりました。また、この2020年度の水準は過去10年間で最も高い水準であることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年度における長谷工コーポレーションの営業利益は546億円と前年度より約20.5%の減少となりました。営業利益は2011年度の152億円から2017年度の847億円まで6年連続の長期的な増加傾向で推移しましたが、2018年度より3年連続で減少となっています。この2020年度の水準は、2011年度と比較すると約3.6倍と、3年連続で減少したものの、依然として高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
また、2020年度の営業利益率は9.7%でした。営業利益率は2012年度の4.0%を底として2017年度の14.6%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度からは営業利益の減少を反映するように3年連続で下落しています。
5. 従業員の状況
2020年度における長谷工コーポレーションの従業員数は3249人でした。従業員数は2011年度の2586人から2019年度の3352人まで8年連続の増加傾向で推移していましたが、9年ぶりに減少へ転じています。(下図参照)
続いて、2020年度における従業員の平均年齢は41.3歳、平均勤続年数は17.0年、平均年収は923.8万円でした。
さらに長谷工コーポレーションの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約132.4(百万円/人)、173.4(百万円/人)、185.5(百万円/人)、16.8(百万円/人)となっていることが分かります。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【長谷工コーポレーションの状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 4303億円 | |
② 売上高 | 5633億円 | |
③ 繰越高 | 6026億円 | |
④ 営業利益 | 546億円 | |
⑤ 営業利益率 | 9.7% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 12.8ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 3249人 | |
⑧ 平均年齢 | 41.3歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 17.0年 | |
⑩ 平均年収 | 923.8万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 132.4(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 173.4(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 185.5(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 16.8(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(住宅) | 3805億円 | |
⑯ 受注高(非住宅) | 327億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 171億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである長谷工コーポレーションの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
◇実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ
◇業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】TOPへ
◇実務で役立つ建築費の相場【最新版】TOPへ
◇職選びで役に立つ建設業の年収相場【最新版】TOPへ
◇購入の検討に役立つ住宅価格の相場【最新版】TOPへ
◇実務で役立つゼネコンの状況把握【過去データ】TOPへ
「ゼネコンランキング」はこちらから↓
・受注高ランキング
・売上高ランキング
・繰越高ランキング
・手持ち工事月数ランキング
・営業利益ランキング
・営業利益率ランキング
・従業員数ランキング
・平均年齢ランキング
・平均勤続年数ランキング
・平均年収ランキング
「ゼネコン規模別の状況把握」はこちらから↓
・スーパーゼネコン
・準大手ゼネコン
・中堅ゼネコン
・準大手・中堅ゼネコン18社
・ゼネコン大手23社
・ゼネコン規模別の比較
「スーパーゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・清水建設
・大成建設
・大林組
・鹿島建設
・竹中工務店
「準大手ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・五洋建設
・長谷工コーポレーション
・戸田建設
・熊谷組
・前田建設工業
・西松建設
・三井住友建設
・安藤ハザマ
・東急建設
・フジタ
「中堅ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・奥村組
・鉄建建設
・東洋建設
・東亜建設工業
・淺沼組
・飛島建設
・錢高組
・大豊建設
「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!
「関連記事-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「手持ち工事高」の水準は!?