三井住友建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する三井住友建設|2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである三井住友建設について紹介していきます。具体的には、2021年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2020年度における三井住友建設の受注高は3164億円と前年度から約6.5%の減少となりました。受注高は2011年度の2630億円から2014年度の3561億円まで増加傾向で推移し、その後は2017年度まで3500億円前後の水準で推移していました。その後、2018年には5652億円と前年比6割以上の急増となりましたが、2019年度から2年連続で減少しています。また、この2020年度の水準は2011年度の水準と比較して約20.3%高い水準となっていることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約58.7%を占めている一方、土木工事は41.3%となっております。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約67%であることを踏まえると、三井住友建設は準大手ゼネコンの中でも土木工事の比重が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2020年度における売上高は3222億円と前年度より約12.8%の減少となりました。売上高は2011年度の2470億円から2015年度の3208億円まで継続的な増加傾向で推移した後、2016年度に3057億円まで減少しました。その後、2019年度の3694億円まで3年連続の増加傾向で推移し、2019年度における水準は過去10年間で最も高い水準となりましたが、2020年度は減少に転じていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2020年度における三井住友建設の繰越高は7020億円と前年度から約0.8%の減少となりました。繰越高は2011年度の3039億円から2018年度の7385億円まで7年連続で増加していましたが、2019年度より2年連続で減少しています。この2020年度の繰越高の水準は2011年度の水準と比較して約2.3倍以上高い水準にあり、2年連続で減少したものの、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量は依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年度における三井住友建設の手持ち工事月数は26.1ヵ月と2019年度における23.0ヵ月から増加し、この水準は過去10年間で最も高い水準となっていることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年度における三井住友建設の営業利益は102億円と前年度より約45.0%の減少となりました。営業利益は2013年度の17億円から4年連続の増加傾向で2017年度の253億円まで推移しましたが、その後は2018年度から3年連続で減少していることが読み取れます。(下図参照)
一方、2020年度の営業利益率は3.2%でした。営業利益率は営業利益の推移と同様に、2013年度の0.6%を底として2017年度の8.0%まで継続的な上昇傾向で推移していましたが、2018年度から3年連続で減少した形となっています。
5. 従業員の状況
2020年度における三井住友建設の従業員数は5263人と2012年度の2558人から8年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。また、2020年度の水準を2012年度と比較すると、この8年間で約2700人以上も増加していることが分かります。(下図参照)
続いて、2020年度における従業員の平均年齢は46.0歳、平均勤続年数は21.0年、平均年収は863.6万円でした。
さらに、三井住友建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約60.1(百万円/人)、61.2(百万円/人)、133.4(百万円/人)、1.9(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【三井住友建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 3164億円 | |
② 売上高 | 3222億円 | |
③ 繰越高 | 7020億円 | |
④ 営業利益 | 102億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.2% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 26.1ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 5263人 | |
⑧ 平均年齢 | 46.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 21.0年 | |
⑩ 平均年収 | 863.6万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 60.1(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 61.2(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 133.4(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 1.9(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1858億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1306億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである三井住友建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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