安藤ハザマの状況|準大手ゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する安藤ハザマ|2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである安藤ハザマについて紹介していきます。具体的には、2021年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2020年度における安藤ハザマの受注高は3009億円と前年度から約20.9%の減少となりました。受注高は偶数年度に増加、奇数年度に減少する形で増減を交互に繰り返しながら推移し、2018年度の4277億円からは2年連続で減少していることが読み取れます。また、2020年度の水準は、2011年度の3177億円を下回り、直近の10年間で最も低い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約66.3%、土木工事が約33.7%を占めていることが分かります。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約67%であることを踏まえると、安藤ハザマは建築工事と土木工事の割合が準大手ゼネコンの平均に極めて近いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2020年度における売上高は3329億円と前年度より約6.6%の減少となりました。売上高は2011年度の3264億円から2016年度の3826億円まで5年連続の増加傾向で推移しました。そして、2018年度の3327億円まで2年連続の減少傾向で推移した後、2019年度に増加へ転じたものの、2020年度は再び減少となっています。また、この2020年度における売上高の水準は直近の10年間では3番目に低い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2020年度における安藤ハザマの繰越高は5196億円と前年度から約5.0%の減少となりました。繰越高は2013年度の2989億円から2019年度の5467億円まで6年連続の増加傾向で推移し、この10年間で最も高い水準となっていましたが、2020年度は7年ぶりに減少へ転じています。また、この2020年度の水準は、底であった2013年度の水準と比較して約73.8%高い水準にあり、減少したものの、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年度における安藤ハザマの手持ち工事月数は18.7ヵ月と2018年度における18.4ヵ月より若干高い水準となりました。手持ち工事月数は2018年度の18.7カ月から2019年度にかけて減少しましたが、2020年度は再び2018年度の水準まで回復しています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年度における安藤ハザマの営業利益は257億円と前年度より約10.3%増加しました。営業利益は、過去10年で最も高い水準となった2016年度の354億円から2018年の226億円まで減少傾向で推移していましたが、2019年度より2年連続で増加していることが読み取れます。(下図参照)
また、2020年度の営業利益率は7.7%でした。営業利益率は2017年度の9.8%まで5年連続の上昇傾向で推移した後、2019年度の6.5%まで2年連続で下落しましたが、2020年度は営業利益の増加を反映する形で再び上昇していることが分かります。
5. 従業員の状況
2020年度における安藤ハザマの従業員数は3434人と2019年度より若干減少したものの、2013年度より3400人前後の水準で概ね横ばい傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2020年度における従業員の平均年齢は45.7歳、平均勤続年数は17.7年、平均年収は853.2万円でした。
さらに安藤ハザマの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約87.6(百万円/人)、96.9(百万円/人)、151.3(百万円/人)、7.5(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【安藤ハザマの状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 3009億円 | |
② 売上高 | 3329億円 | |
③ 繰越高 | 5196億円 | |
④ 営業利益 | 257億円 | |
⑤ 営業利益率 | 7.7% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 18.7ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 3434人 | |
⑧ 平均年齢 | 45.7歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 17.7年 | |
⑩ 平均年収 | 853.2万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 87.6(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 96.9(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 151.3(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 7.5(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1993億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1015億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである安藤ハザマの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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