西松建設の状況|準大手ゼネコンの状況把握【2023年版】
【業績から把握する西松建設|2023年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである西松建設について紹介していきます。具体的には、2023年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2022年度における西松建設の受注高は3284億円と前年度から約0.1%の増加となりました。受注高は年連続で増加して2017年度の時点では3700億円の水準にありましたが、2018年度は3403億円へ減少しています。そこから、2019年度に3610億円まで増加した後、2020年度は減少しましたが、2021年度から2年連続で増加しています。また、この2022年度の水準は、底であった2012年度の2447億円と比較して約34.2%高い水準に位置していることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約54.5%を占めている一方、土木工事は45.2%となっております。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、西松建設は準大手ゼネコンの中でも土木工事の比重が大きいゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2022年度における売上高は3274億円と前年度より約3.1%の増加となりました。売上高は、2017年度の2762億円から2年連続で増加し、2019年度には3772億円と過去10年間で最も高い水準になりました。その後、2021年度の3177億円まで2年連続で減少していましたが、2022年度は増加に転じていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2022年度における西松建設の繰越高は5958億円と前年度から約5.6%の増加となりました。繰越高は2011年度の3179億円から2018年度の5443億円まで7年連続の増加傾向で推移しました。その後、2019年度から2年連続で減少していましたが、2021年度から2年連続で増加し、2022年度は直近の10年間で最も高い水準となっています。また、2022年度の水準は、2011年度の水準と比較して約87.4%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量は非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2022年度における西松建設の手持ち工事月数は21.8ヵ月となりました。手持工事月数は17年度の23.1ヵ月を最も高い水準として2019年度まで2年連続で減少していましたが、2020年度から3年連続で増加し、2022年度は過去10年間で2番目に高い水準まで増加したことが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2022年度における西松建設の営業利益は121億円と前年度より約49.4%減少しました。営業利益は、2017年度の228億円から2019年度の247億円まで2年連続の増加傾向で推移しました。そして、営業利益は、2020年度に203億円まで減少した後、2021年度は239億円まで増加したものの、2022年度は再び減少に転じていることが読み取れます。(下図参照)
また、2022年度の営業利益率は3.7%となりました。営業利益率は2012年度の0.5%を底として2017年度の8.3%まで継続的な上昇傾向で推移していました。その後、営業利益率は2020年度の6.2%まで3年連続で下落した後、2021年度に7.5%へ上昇しましたが、2022年度は再び下落に転じています。
5. 従業員の状況
2022年度における西松建設の従業員数は2804人と2012年度の2309人から10年連続の穏やかな増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
続いて、2022年度における従業員の平均年齢は44.7歳、平均勤続年数は18.3年、平均年収は861.7万円でした。
さらに西松建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約117.1(百万円/人)、116.8(百万円/人)、212.5(百万円/人)、4.3(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【西松建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 3284億円 | |
② 売上高 | 3274億円 | |
③ 繰越高 | 5958億円 | |
④ 営業利益 | 121億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.7% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 21.8ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 2804人 | |
⑧ 平均年齢 | 44.7歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 18.3年 | |
⑩ 平均年収 | 861.7万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 117.1(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 116.8(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 212.5(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 4.3(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1790億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1484億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 10億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである西松建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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