安藤ハザマの状況|準大手ゼネコンの状況把握【2023年版】
【業績から把握する安藤ハザマ|2023年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は準大手ゼネコンである安藤ハザマについて紹介していきます。具体的には、2023年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2022年度における安藤ハザマの受注高は3482億円と前年度から約12.4%の増加となりました。受注高は、2018年度の4277億円から2年連続で減少した後、2021年度から2年連続で増加していることが読み取れます。また、2022年度の水準は、直近の10年間で3番目に低い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約63.6%、土木工事が約28.5%を占めていることが分かります。(下図参照)
準大手ゼネコン10社の受注高における建築工事割合が平均で約66%であることを踏まえると、安藤ハザマは準大手ゼネコンの中でも、建築工事と土木工事のバランスが準大手ゼネコンの平均に近いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2022年度における売上高は3448億円と前年度より約9.2%の増加となりました。売上高は、2011年度の3264億円から2016年度の3826億円まで5年連続で増加した後、2018年度の3327億円まで2年連続で減少しました。そして、2019年度の3564億円まで増加した後、2020年度から2年連続で減少しましたが、2022年度は再び増加に転じています。また、この2022年度における売上高の水準は、直近の10年間で4番目に低い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2022年度における安藤ハザマの繰越高は5281億円と前年度から約1.8%の増加となりました。繰越高は、2013年度の2989億円から2019年度の5467億円まで6年連続の増加傾向で推移し、この10年間で最も高い水準となっていました。その後、2021年度の5187億円まで2年連続で減少しましたが、2022年度は増加に転じています。また、この2022年度の水準は、底であった2013年度の水準と比較して約76.7%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2022年度における安藤ハザマの手持ち工事月数は18.4ヵ月と2021年度の19.7ヵ月より減少しました。手持ち工事月数は、2019年度の18.4ヵ月まで減少した後、この10年間で最も高い水準である2021年度まで2年連続で上昇したものの、2022年度は減少に転じたことが読み取れます。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2022年度における安藤ハザマの営業利益は183億円と前年度より約24.3%減少しました。営業利益は、過去10年で最も高い水準となった2016年度の354億円から2018年の226億円まで減少傾向で推移していました。その後、2020年度まで2年連続で増加していましたが、2021年度から2年連続で減少していることが読み取れます。(下図参照)
また、2022年度の営業利益率は5.3%でした。営業利益率は2017年度の9.8%まで5年連続で上昇した後、2019年度の6.5%まで2年連続で下落しました。そして、営業利益の推移を反映する形で、2020年度の7.7%まで上昇した後、2021年度から2年連続で下落していることが分かります。
5. 従業員の状況
2022年度における安藤ハザマの従業員数は3283人と2021年度の3261人から増加に転じて推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2022年度における従業員の平均年齢は46.0歳、平均勤続年数は17.6年、平均年収は882.4万円でした。
さらに安藤ハザマの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約106.1(百万円/人)、105.0(百万円/人)、160.8(百万円/人)、5.6(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【安藤ハザマの状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 3482億円 | |
② 売上高 | 3448億円 | |
③ 繰越高 | 5281億円 | |
④ 営業利益 | 183億円 | |
⑤ 営業利益率 | 5.3% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 18.4ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 3283人 | |
⑧ 平均年齢 | 46.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 17.6年 | |
⑩ 平均年収 | 882.4万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 106.1(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 105.0(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 160.8(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 5.6(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 2215億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 993億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 274億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして準大手ゼネコンである安藤ハザマの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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