アーキブックコスト

準大手・中堅ゼネコン17社の状況|ゼネコン規模別の状況把握【2019年版】

【業績から把握する準大手・中堅ゼネコン|2019年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点から、準大手・中堅ゼネコンの状況について紹介していきます。

業績から把握する準大手・中堅ゼネコンの状況
具体的には、2019年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに以下の点より紹介します。

  • 1. 受注高の状況

  • 2. 売上高の状況

  • 3. 繰越高の状況

  • 4. 営業利益と営業利益率の状況

  • 5. 従業員の状況

  • 参考|主要データ一覧

  • 1. 受注高の状況


    まず、2018年度における準大手・中堅ゼネコン17社の受注高は平均で3212億円と前年度から約11.6%の増加となりました。受注高は2011年度から2014年度の2982億円まで増加傾向で推移した後、2015年度に2676億円まで減少しました。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの受注高


    その後、2016年度から3年連続の増加傾向で推移し、2018年度は過去8年間で見た場合に最も高い水準となっています。また、この2018年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較してみると約57.7%高い水準にあり、この6年間で6割近くも増加していることが分かります。

    ここで、準大手・中堅ゼネコンの業界シェアを受注高ベースで見てみると、建設業全体のうち準大手・中堅ゼネコン17社の占める割合は9.1%となっております。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの受注高内訳構成


    国内の建設業者数が約46万5000社であることを踏まえると、準大手・中堅ゼネコンが17社で占める業界シェアは大きな水準にあり、建設需要に対して比較的に強い影響力があると考えられます。

    2. 売上高の状況


    次に、2018年度における準大手・中堅ゼネコンの売上高は平均で2864億円と前年度より約5.8%の増加となりました。売上高は2011年度の2130億円から2015年度の2691億円まで増加傾向で推移した後、2016年度の2568億円まで若干減少しました。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの売上高


    その後は、2018年度まで2年連続の増加傾向にあり、受注高と同様に過去8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。この2018年度の水準を底であった2011年度の水準と比較してみると、売上高はこの7年間で3割以上も増加していることが分かります。

    3. 繰越高の状況


    続いて、2018年度における準大手・中堅ゼネコンの繰越高は平均で4280億円と前年度から約12.5%の増加となりました。繰越高は底であった2012年度の2316億円から2018年度まで6年連続で継続的な増加傾向で推移し、過去8年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの繰越高


    また、この2018年度の水準は2012年度の水準と比較して約84.8%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量がこの6年間で1.8倍以上に大きく膨れ上がっていることが分かります。

    ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。

    2018年度における準大手・中堅ゼネコンの手持ち工事月数は17.9ヵ月と2015年度から3年連続の増加傾向で推移して、直近の8年間で見た場合に最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの手持ち工事月数



    4. 営業利益・営業利益率の状況


    2018年度における準大手・中堅ゼネコンの営業利益は198億円と前年度より約4.5%減少しました。営業利益は底となっていた2012年度の損益から2017年度の207億円まで5年連続の増加傾向にありましたが、今回6年ぶりに若干ながら減少へと転じています。しかしながら、この2018年度の水準は直近の8年間で2番目に高い水準にあり、前年度からは減少となったものの依然として高水準にあることが読み取れます。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの営業利益と営業利益率


    また、2018年度の営業利益率は6.9%と前年度から0.7%下落しました。営業利益率は営業利益の推移を反映する形で2012年度を底として6年連続の上昇傾向で推移し、最高水準となった2017年度の7.6%まで上昇した後、2018年度は下落へ転じていることが分かります。

    5. 従業員の状況


    2018年度における準大手・中堅ゼネコンの従業員数は平均で2503人と2013年度の2166人より5年連続で非常に穏やかな増加傾向で推移し、この4年間で約340人増加したことが読み取れます。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの従業員の状況


    また、2018年度の準大手・中堅ゼネコンにおける従業員の平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は18.8年、平均年収は867.4万円でした。

    さらに準大手・中堅ゼネコンの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約128.4(百万円/人)、114.4(百万円/人)、171.0(百万円/人)、7.9(百万円/人)となっています。(下図参照)


    準大手・中堅ゼネコンの従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益



    参考|主要データ一覧


    最後に、今回対象とした準大手・中堅ゼネコン17社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。

    【対象とした準大手・中堅ゼネコン17社】
    ゼネコン規模会社名
    準大手ゼネコン五洋建設 長谷工コーポレーション 戸田建設 熊谷組 前田建設工業 西松建設 三井住友建設 安藤ハザマ 東急建設
    中堅ゼネコン奥村組 鉄建建設 東洋建設 東亜建設工業 淺沼組 飛島建設 錢高組 大豊建設


    【準大手・中堅ゼネコンの状況|主要データ一覧】
    項目備考
    ① 受注高5兆4607億円17社の総額
    ② 売上高4兆8691億円17社の総額
    ③ 繰越高7兆2759億円17社の総額
    ④ 営業利益3362億円17社の総額
    ⑤ 営業利益率6.9%④÷②
    ⑥ 手持ち工事月数17.9ヵ月③÷②×12ヵ月
    ⑦ 従業員数4万2545人17社の総数
    ⑧ 受注高(平均)3212億円①÷17社
    ⑨ 売上高(平均)2864億円②÷17社
    ⑩ 繰越高(平均)4280億円③÷17社
    ⑪ 営業利益(平均)198億円④÷17社
    ⑫ 従業員数(平均)2503人⑦÷17社
    ⑬ 平均年齢44.2歳総年齢÷⑦
    ⑭ 平均勤続年数18.8年総年数÷⑦
    ⑮ 平均年収867.4万円総年収÷⑦
    ⑯ 従業員あたり受注高128.4(百万円/人)①÷⑦
    ⑰ 従業員あたり売上高114.4(百万円/人)②÷⑦
    ⑱ 従業員あたり繰越高171.0(百万円/人)③÷⑦
    ⑲ 従業員あたり営業利益7.9(百万円/人)④÷⑦
    出典|有価証券報告書、決算短信に基づいて作成(2019年3月末時点)
    注)値は「単独」に基づく。

    以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点から準大手・中堅ゼネコンの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

    実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ

    「ゼネコンランキング」はこちらから↓
    受注高ランキング
    売上高ランキング
    繰越高ランキング
    手持ち工事月数ランキング
    営業利益ランキング
    営業利益率ランキング
    従業員数ランキング
    平均年齢ランキング
    平均勤続年数ランキング
    平均年収ランキング
    時価総額ランキング

    「ゼネコン規模別の状況把握」はこちらから↓
    スーパーゼネコン
    準大手ゼネコン
    中堅ゼネコン
    準大手・中堅ゼネコン17社
    ゼネコン大手22社
    ゼネコン規模別の比較

    「スーパーゼネコンの状況把握」はこちらから↓
    清水建設
    大成建設
    大林組
    鹿島建設
    竹中工務店

    「準大手ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
    五洋建設
    長谷工コーポレーション
    戸田建設
    熊谷組
    前田建設工業
    西松建設
    三井住友建設
    安藤ハザマ
    東急建設

    「中堅ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
    奥村組
    鉄建建設
    東洋建設
    東亜建設工業
    淺沼組
    飛島建設
    錢高組
    大豊建設

    「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
    (1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
    (2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
    (3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
    (4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!

    「関連記事-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
    (1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
    (2)建設市場における「受注高」「施工高」「手持ち工事高」の水準は!?

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

記事を気に入ったらシェア!

合わせて読みたい

オススメの最新記事

この記事と同じカテゴリの質問


アーキブックコスト

コラムカテゴリ

カテゴリー

専門家の種類

建物用途

資格

課題解決

サイトニュース

2016.7.19
「アーキブック」をリリースしました。