竹中工務店の状況|スーパーゼネコンの状況把握【2020年版】
【業績から把握する竹中工務店|2020年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである竹中工務店について紹介していきます。具体的には、2019年12月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2019年における竹中工務店の受注高は1兆1081億円と前年から約0.5%の増加となりました。受注高は2015年より4年連続の増加傾向にあることが読み取れます。また、この2019年の水準は底となっていた2011年の7546億円と比較して約46.8%高い水準にあり、この8年間で5割近くも増加していることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約95,4%を占めている一方、土木工事は2.0%となっております。(下図参照)
スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約77%であることを踏まえると、竹中工務店はスーパーゼネコンの中でも建築工事に特化したゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2019年における売上高は1兆539億円と前年より約1.0%の増加となりました。売上高は2013年の7868億円から2015年の1兆97億円まで増加傾向で推移していましたが、2016年に9555億円の水準まで減少しました。(下図参照)
その後、売上高は3年連続で増加しており、2019年は過去9年で最も高い水準にあることが分かります。また、この2019年の水準は底となった2013年の水準と比較すると、約33.9%高い水準にあり、この6年間で3割以上も増加したことが把握できます。
3. 繰越高の状況
続いて、2019年における竹中工務店の繰越高は1兆2968億円と前年から約4.4%の増加となりました。繰越高は2012年の6726億円より7年連続で増加しており、長期的な増加傾向にあることが読み取れます。(下図参照)
この2019年の繰越高の水準は、底となっていた2012年の水準と比較して約92.8%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この7年間で9割以上も増加していることが分かります。
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2019年における竹中工務店の手持ち工事月数は14.8ヵ月と2018年における14.3ヵ月から若干高くなり、この9年間で最も高い水準となっています。(下図参照)
これは、2018年から2019年にかけて繰越高の変動率が売上高の変動率を上回っていることを示しています。実際に、2019年にかけての繰越高は約4.0%、売上高は約1.0%増加しており、繰越高の変動率が売上高の変動率を上回っていることが分かります。
4. 営業利益・営業利益率の状況
2019年における営業利益は664億円と前年より約4.1%減少しました。竹中工務店における営業利益は2012年の−69億円より2017年の927億円まで5年連続の増加傾向で推移していましたが、2018年から2年連続で減少となりました。(下図参照)
また、2019年の営業利益率は6.3%と、減少した営業利益を反映する形で2017年の9.2%から2年連続で下落していることが分かります。
5. 従業員の状況
2019年における竹中工務店の従業員数は8157人と2013年の7311人から6年連続の増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
続いて、竹中工務店における従業員の平均年齢は44.0歳、平均勤続年数は19.1年、平均年収は1042.6万円となっています。
さらに竹中工務店の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約135.8(百万円/人)、129.2(百万円/人)、159.0(百万円/人)、8.1(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【竹中工務店の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1兆1081億円 | |
② 売上高 | 1兆539億円 | |
③ 繰越高 | 1兆2968億円 | |
④ 営業利益 | 664億円 | |
⑤ 営業利益率 | 6.3% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 14.8ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 8157人 | 臨時従業員を含む |
⑧ 平均年齢 | 44.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.1年 | |
⑩ 平均年収 | 1042.6万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 135.8(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 129.2(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 159.0(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 8.1(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 1兆569億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 219億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 292億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである竹中工務店の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
◇実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ
◇業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】TOPへ
◇実務で役立つ建築費の相場【最新版】TOPへ
◇職選びで役に立つ建設業の年収相場【最新版】TOPへ
◇購入の検討に役立つ住宅価格の相場【最新版】TOPへ
◇実務で役立つゼネコンの状況把握【過去データ】TOPへ
「ゼネコンランキング」はこちらから↓
・受注高ランキング
・売上高ランキング
・繰越高ランキング
・手持ち工事月数ランキング
・営業利益ランキング
・営業利益率ランキング
・従業員数ランキング
・平均年齢ランキング
・平均勤続年数ランキング
・平均年収ランキング
「ゼネコン規模別の状況把握」はこちらから↓
・スーパーゼネコン
・準大手ゼネコン
・中堅ゼネコン
・準大手・中堅ゼネコン18社
・ゼネコン大手23社
・ゼネコン規模別の比較
「スーパーゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・清水建設
・大成建設
・大林組
・鹿島建設
・竹中工務店
「準大手ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・五洋建設
・長谷工コーポレーション
・戸田建設
・熊谷組
・前田建設工業
・西松建設
・三井住友建設
・安藤ハザマ
・東急建設
・フジタ
「中堅ゼネコンの状況把握」はこちらから↓
・奥村組
・鉄建建設
・東洋建設
・東亜建設工業
・淺沼組
・飛島建設
・錢高組
・大豊建設
「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!
「関連記事-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「手持ち工事高」の水準は!?