東洋建設の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2020年版】
【業績から把握する東洋建設|2020年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである東洋建設について紹介していきます。具体的には、2020年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2019年度における東洋建設の受注高は1183億円と前年度から約24.0%の大幅な減少となりました。受注高は2016年度の1335億円から2017年度の1627億円まで大きく増加した後、2018年度から2年連続で減少していることが読み取れます。この2019年度の水準は、直近9年間で底となった2012年度の1021億円以来の低水準となっていることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約40.2%、土木工事が約59.5%となっており、6割弱を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約52%であることを踏まえると、東洋建設は中堅ゼネコンの中でも土木工事の比重が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2018年度における売上高は1567億円と前年度より約5.3%の増加となりました。売上高は2011年度の996億円から増加傾向で推移して、2017年度に1582億円と直近の9年間で最も高い水準となりました。その後、2018年度には1488億円へ減少しましたが、2019年度は増加に転じています。この2019年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較すると約57.3%も高い水準にあり、過去9年間で2番目に高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2019年度における東洋建設の繰越高は1234億円と前年度から約23.6%の大幅な減少となりました。繰越高は2011年度から2014年度までは約1100億円前後で推移していましたが、2015年度に1546億円の水準まで急増しました。そこから2017年度まで1500億円前後の水準で推移しています。その後、2018年度は1615億円と直近の9年間で最も高い水準まで増加しましたが、2019年度は減少へ転じました。また、2019年度の水準は、底となった2012年度以来、7年ぶりの低水準となっていることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2019年度における東洋建設の手持ち工事月数は9.4ヵ月と2018年度における13.0ヵ月から大幅に減少しました。また、2019年度の手持ち工事月数は、過去9年間で最も低い水準となっています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2019年度における営業利益は83億円と前年度より約17.3%増加しました。東洋建設の営業利益は、底となった2011年度の17億円から2015年度の72億円まで増加傾向で推移した後、2016年度に63億円と減少するも、そこから2017年度は97億円まで増加しました。その後、2018年度は70億円まで減少しましたが、2019年度に再び増加に転じています。この2019年度の水準は過去9年間で2番目に高い水準となっていることが分かります。(下図参照)
一方、2019年度の営業利益率は5.3%でした。この9年間の営業利益率の推移は、営業利益の推移と極めて類似した推移となっており、2017年度の6.1%を山として2018年度に4.7%まで下落した後、2019年度は上昇へ転じています。
5. 従業員の状況
2019年度における東洋建設の従業員数は1470人でした。また、従業員数は2012年度の1184人から7年連続の増加傾向で推移しており、過去9年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
また、2019年度における従業員の平均年齢は43.2歳、平均勤続年数は19.0年、平均年収は788.9万円でした。
さらに東洋建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約80.5(百万円/人)、106.6(百万円/人)、83.9(百万円/人)、5.6(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【東洋建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1183億円 | |
② 売上高 | 1567億円 | |
③ 繰越高 | 1234億円 | |
④ 営業利益 | 83億円 | |
⑤ 営業利益率 | 5.3% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 9.4ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1470人 | |
⑧ 平均年齢 | 43.2歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.0年 | |
⑩ 平均年収 | 788.9万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 80.5(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 106.6(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 83.9(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 5.6(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 476億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 704億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 3億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである東洋建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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