竹中工務店の状況|スーパーゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する竹中工務店|2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はスーパーゼネコンである竹中工務店について紹介していきます。具体的には、2020年12月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2020年における竹中工務店の受注高は9665億円と前年から約12.8%の減少となりました。受注高は2015年より2019年まで4年連続の増加傾向にありましたが、5年ぶりに減少していることが読み取れます。また、この2020年の水準は底となっていた2011年の7546億円と比較して約28.1%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約93.7%を占めている一方、土木工事は3.4%となっております。(下図参照)
スーパーゼネコン5社の受注高における建築工事割合が平均で約75%であることを踏まえると、竹中工務店はスーパーゼネコンの中でも建築工事に特化したゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2020年における売上高は9711億円と前年より約7.9%の減少となりました。売上高は2013年の7868億円から2015年の1兆97億円まで増加傾向で推移していましたが、2016年に9555億円の水準まで減少しました。(下図参照)
その後、売上高は2019年の1兆539億円まで3年連続で増加していたものの、2020年は減少に転じていることが分かります。また、この2020年の水準は、底となった2013年の水準と比較すると、約23.4%高い水準にあることが把握できます。
3. 繰越高の状況
続いて、2020年における竹中工務店の繰越高は1兆2922億円と前年から約0.4%の減少となりました。繰越高は2012年の6726億円より2019年の1兆2968億円まで7年連続で増加していましたが、2020年は8年ぶりに減少に転じていることが読み取れます。(下図参照)
この2020年の繰越高の水準は、底となっていた2012年の水準と比較して約92.1%高い水準にあり、繰越高は前年より減少したものの、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が依然として非常に高い水準にあることが分かります。
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年における竹中工務店の手持ち工事月数は16.0ヵ月と2019年における14.8ヵ月から増加し、この10年間で最も高い水準となっています。(下図参照)
これは、2019年から2020年にかけて売上高の変動率が繰越高の変動率を下回っていることを示しています。実際に、2020年にかけての売上高は約7.9%、繰越高は約0.4%減少しており、売上高の変動率が繰越高の変動率を下回っていることが分かります。
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年における竹中工務店の営業利益は348億円と前年より約47.6%減少しました。営業利益は2012年の−69億円より2017年の927億円まで5年連続の増加傾向で推移していましたが、2018年から3年連続で減少しています。(下図参照)
また、2020年の営業利益率は3.6%と、減少した営業利益を反映する形で2017年の9.2%から3年連続で下落していることが読み取れます。
5. 従業員の状況
2020年における竹中工務店の従業員数は8042人となりました。従業員数は、2013年の7311人から2019年の8157人まで6年連続の増加傾向で推移していましたが、7年振りの減少に転じています。(下図参照)
続いて、2020年における従業員の平均年齢は44.0歳、平均勤続年数は19.1年、平均年収は1000.7万円となっています。
さらに竹中工務店の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約120.2(百万円/人)、120.7(百万円/人)、160.7(百万円/人)、4.3(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【竹中工務店の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 9665億円 | |
② 売上高 | 9711億円 | |
③ 繰越高 | 1兆2922億円 | |
④ 営業利益 | 348億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.6% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 16.0ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 8042人 | |
⑧ 平均年齢 | 44.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.1年 | |
⑩ 平均年収 | 1007.3万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 120.2(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 120.7(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 160.7(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 4.3(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 9052億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 328億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 284億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとしてスーパーゼネコンである竹中工務店の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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