鉄建建設の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する鉄建建設|2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである鉄建建設について紹介していきます。具体的には、2021年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2019年度における鉄建建設の受注高は1535億円と前年度から約13.3%の減少となりました。受注高は2017年度の1690億円から2018年度は2278億円と大幅な増加になりましたが、2019年度から2年連続で減少していることが読み取れます。この2020年度の水準は、過去10年間で4番目に低い水準で、底となった2011年度の1136億円と比較すると約35.1%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約40.4%、土木工事が約59.6%となっており、約6割を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約43%であることを踏まえると、鉄建建設は建築工事と土木工事のバランスが中堅ゼネコンの平均に比較的近いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2020年度における売上高は1782億円と前年度より約6.3%の減少となりました。売上高は2016年度の1623億円から3年連続の増加傾向で推移して、2019年度には1902億円と直近の10年間で最も高い水準となっていましたが、2020年度は減少へ転じています。この2020年度の水準は、底となった2012年度の水準と比較すると約42.4%高い水準となっており、依然として高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2020年度における鉄建建設の繰越高は2340億円と前年度から約9.4%の減少となりました。繰越高は2011年度の1305億円から2014年度の2144億円まで増加傾向で推移した後、2017年度までは約2000億円から2100億円前後で推移していました。その後、2018年度には2702億円と過去10年間で最も高い水準まで大きく増加しましたが、2019年度から2年連続で減少しています。また、2020年度の水準は底となった2011年度の水準と比較して約79.3%高い水準にあり、前年度から減少したものの、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が依然として非常に高い水準にあることが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年度における鉄建建設の手持ち工事月数は15.8ヵ月と2018年度における16.3ヵ月から減少となりました。手持ち工事月数は2018年度に18.9ヵ月と直近10年間で最も高い水準となりましたが、2019年度から2年連続の減少となっています。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年度における鉄建建設の営業利益は57億円と前年度より約6.7%増加しました。営業利益は2018年度の71億円まで3年連続で増加した後、2019年度の54億円まで減少していましたが、2020年度は再び増加へ転じています。(下図参照)
また、2020年度の営業利益率は3.2%でした。営業利益率は底であった2012年度から2013年度の1.6%まで上昇した後、2015年度までは概ね1%前後の水準で推移しました。その後、営業利益の推移と類似した形で、2018年度まで3年連続の上昇傾向で推移した後、2019年度に下落へ転じ、2020年度に再び上昇しています。
5. 従業員の状況
2020年度における鉄建建設の従業員数は2132人でした。また、従業員数は2012年度の1754人より7年連続の増加傾向で推移しましたが、2020年度は減少していることが読み取れます。(下図参照)
また、2020年度における従業員の平均年齢は41.4歳、平均勤続年数は15.5年、平均年収は848.5万円でした。
さらに鉄建建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約72.0(百万円/人)、83.6(百万円/人)、109.7(百万円/人)、2.7(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【鉄建建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1535億円 | |
② 売上高 | 1782億円 | |
③ 繰越高 | 2340億円 | |
④ 営業利益 | 57億円 | |
⑤ 営業利益率 | 3.2% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 15.8ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 2132人 | |
⑧ 平均年齢 | 41.4歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 15.5年 | |
⑩ 平均年収 | 848.5万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 72.0(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 83.6(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 109.7(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 2.7(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 621億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 914億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである鉄建建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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