東亜建設工業の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する東亜建設工業|2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである東亜建設工業について紹介していきます。具体的には、2021年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2020年度における東亜建設工業の受注高は2487億円と前年度から約19.8%の増加となりました。受注高は2014年度の2377億円から2016年度の1309億円まで大きく減少した後、2018年度の2155億円まで2年連続の増加傾向で推移していました。その後、2019年度は2076億円と減少しましたが、2020年度は再び増加へ転じています。また、この2020年度の水準は、底となった2016年度の水準と比較すると約90.0%高い水準にあり、過去10年間で最も高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約23.4%、土木工事が約75.1%となっており、7割以上を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約43%であることを踏まえると、東亜建設工業は中堅ゼネコンの中でも特に土木工事の割合が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2020年度における売上高は1807億円と前年度より約0.6%の減少となりました。売上高は2011年度の1288億円から増加傾向で推移して、2015年度に1933億円と直近の10年間で最も高い水準となりました。そして、売上高は2017年度の1523億円まで減少した後、2019年度の1819億円まで2年連続で増加しましたが、2020年度は再び減少に転じています。また、この2020年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較すると約40.3%高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2020年度における東亜建設工業の繰越高は3188億円と前年度から約27.8%の増加となりました。繰越高は2014年度の2155億円から2017年度の1719億円まで減少傾向で推移していましたが、2018年度から3年連続の増加となり、直近の10年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。また、2020年度の水準は底となった2011年度の1450億円と比較して約119.9%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この9年間で約2.2倍と大きく増加したことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年度における東亜建設工業の手持ち工事月数は21.2ヵ月と前年度の16.5ヵ月から増加しました。また、手持ち工事月数は2015年度の12.7カ月から5年連続で増加しており、2020年度の水準は過去10年間で最も高い水準となったことが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年度における東亜建設工業の営業利益は73億円と前年度より約6.0%増加しました。営業利益は過去10年間で最も高い水準となった2015年度の109億円から2017年度の25億円まで減少傾向で推移しましたが、2018年度から3年連続で増加していることが分かります。(下図参照)
また、2020年度の営業利益率は4.0%でした。この10年間の営業利益率の推移は営業利益の推移と極めて類似した推移となっています。具体的に、2015年度の5.7%を山として2017年度まで下落した後、2020年度では上昇傾向で推移しています。
5. 従業員の状況
2020年度における東亜建設工業の従業員数は1631人でした。また、従業員数は2011年度の1622人から2017年度の1530人まで非常に緩やかな減少傾向で推移していましたが、2018年度から3年連続で増加していることが読み取れます。(下図参照)
また、2020年度における従業員の平均年齢は46.4歳、平均勤続年数は19.9年、平均年収は913.4万円でした。
さらに東亜建設工業の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約152.5(百万円/人)、110.8(百万円/人)、195.5(百万円/人)、4.5(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【東亜建設工業の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 2487億円 | |
② 売上高 | 1807億円 | |
③ 繰越高 | 3188億円 | |
④ 営業利益 | 73億円 | |
⑤ 営業利益率 | 4.0% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 21.2ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1631人 | |
⑧ 平均年齢 | 46.4歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.9年 | |
⑩ 平均年収 | 913.4万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 152.5(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 110.8(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 195.5(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 4.5(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 582億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 1868億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 38億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである東亜建設工業の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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